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風、薫る第7週「届かぬ声」31〜35話まとめ・元教師が読む5日間の核心

声は、すぐには届かない。
でも、届かなくても、動き続けた人だけが——最終的に相手の心を変える。

第7週「届かぬ声」は、そういう5日間でした。
りんが担当を外され、直美が院内を動かし、シマケンが行き詰まり、そして——仲間由紀恵演じる千佳子が現れる。

こんにちは、なおじです。
35年間、教育現場にいたなおじには、「伝えても伝わらない」という状況が、他人事には思えませんでした。

ベテランの看病婦たち、権威に守られた医師たち、患者・園部弥一郎。
りんたちの声が、どれだけ正しくても、届かなかった。

でも、ドラマはそこで終わりませんでした。

この記事でわかること

  • 31〜35話の各話あらすじと見どころ
  • 「看病婦」と「看護婦」が対立した明治の構造
  • りんが担当を外された本当の理由とバーンズの真意
  • 直美の「したたかな立ち回り」の意味と史実
  • 仲間由紀恵演じる千佳子のモデルと史実
  • シマケンの行き詰まりが意味すること

目次

31話・看病婦に冷たくされた初日

りん 看護婦見習い 実習生

紺のドレスと白いエプロン・実習初日

1888年(明治21年)。
紺色のスタンドカラーのロングドレスに、胸当てのある白いエプロン。
りんと直美たちが、帝都医科大学付属病院での実習をついにスタートさせました。

でも、最初に出迎えたのは「歓迎の空気」ではありませんでした。

院長の多田(筒井道隆)も、先輩の看病婦たちも、明らかに冷ややか。
言葉を選ばずに言うと——「来なくていい」という空気です。

なおじ、この場面を見ながら、しみじみ思いました。
「これ、教育実習そのままや……」と(笑)。

35年間、毎年のように教育実習生を受け入れてきましたが、受け入れる側の本音はなかなか複雑なものです。

「忙しい時期に来られても」「自分たちのやり方を否定されるかも」——そういう空気が、看病婦の側にも確実にあったはずです。

「看病婦」と「看護婦」は何が違うのか

ここで少し、なおじらしく背景を整理させてください。

「看病婦」と「看護婦(トレインドナース)」は、似て非なる存在でした。

項目看病婦看護婦(トレインドナース)
訓練・資格なし(経験・慣習のみ)専門の養成所で訓練を受けた
業務内容患者の世話・雑用全般科学的知識に基づく看護
位置づけ使用人的な存在専門職(当時は確立途上)
社会的評価低く見られることも多いまだ認知されていない

看病婦は、訓練を受けていない「慣習でやってきた先輩」です。
そこへ、バーンズ先生(エマ・ハワード(Emma Howard))から近代看護を叩き込まれたりんや直美が「実習生」として入ってくる。

そりゃあ摩擦が起きますよね(笑)。

「医者が治す、看病婦は世話をする」——それが明治21年の病院の常識でした。
ナイチンゲールの「患者の生命力の消耗を最小限にするよう整えること」という概念は、まだほとんど日本に届いていなかった時代です。

看病婦 実習生にも 壁がある(なおじ)

苦笑しながら詠みました。

👉関連記事:風、薫る26話感想|バーンズ先生の厳しさはシーツ引きから!

りんと園部、直美と忠蔵のそれぞれの壁

りんが担当になったのは、足の肉腫を手術したばかりの元警察署長・園部弥一郎野添義弘)。
プライドが高い元署長は、りんとうまくコミュニケーションができません。

一方の直美は、疥癬でひと月も入院している「学用患者」・丸山忠蔵を担当することに。
薬は1日1回、シーツ交換もされていない。直美はすぐに問題意識を持ちます。

二人とも初日から「壁」の前に立たされました。
でも、その壁の越え方がまったく違う——それが第7週の最大の見どころです。

32話・届かない声と「学びがいのある患者」

りん 下女風情が

「下女風情が」と罵られたりん

りんは、園部の患部を心配して今井教授(古川雄大)に進言しますが、まったく相手にされませんでした。

さらに、「下女風情が」と园部弥一郎に面と向かって罵られてしまう。

元警察署長の威圧感、医師の権威、そして「看護婦はお邪魔虫」という空気——りんにとっては、三方向から壁が来た状態です。

バーンズ先生はそんなりんにこう言います。
「学びがいがある患者ね」——と。

このひと言、最初は「突き放しているのかな」と思いませんでしたか?

でも、なおじはここに、バーンズ先生の「教育者としての深さ」を感じました。
「あなたが壁にぶつかっているこの患者こそが、あなたを一番成長させる」という意味だと思うんです。

教育現場でも、同じことがありました。
問題行動を起こす子、反抗ばかりする子——そういう子と向き合い続けた教師が、一番伸びるんです。

「正しいことを 正しく言われて腹がたった」

第32話で、りんがこんな言葉を口にします。

「正しいことを正しく言われて腹がたった」

なおじ、この台詞に、しばらく手が止まりました。

これ、ものすごく正直な言葉ですよね。
正論を言われるのが一番しんどい、というのは、教育現場でも同じです。

授業がうまくいかない新任教師が、指導主事に的確なアドバイスをされて——なぜか反発してしまう。
正しいからこそ、認めるのが辛い。

りんの腹立ちは、未熟さの証明ではなく、真剣に向き合っている証明だとなおじは思います。

33話・担当を外されたりんとバーンズの深い問い

バーンズ先生

園部が出血・倒れた日

患部が炎症を起こしていた園部弥一郎が、出血して倒れ込みます。

りんは——「患者に嫌われている」という理由で、担当を外されてしまいました。

再手術をして回復した園部に、退院の挨拶さえできない。
そのことを悔しがるりんに、バーンズ先生がこう問いかけます。

「患者は無事退院した。それの何が悔しいのですか?
どんな会話がしたかったのですか?
感謝されたかった?——ごうつくばりですね」

看護は見返りを求めるものではない。
たとえ罵られたとしても、患者が回復すればそれでいい——という意味です。

なおじ、最初に聞いたとき、正直「バーンズ先生、厳しすぎない?」と思いました(笑)。

でも、しばらくして思い直しました。
教育も同じです。
子どもが「わかった!」と言って巣立っていく。
そこに「ありがとう先生」がなくても、それでいいんです。
いや、それが普通なんです。

バーンズ先生の問いは、「感謝を求めていないか?」という、看護師として最も本質的な問いかけでした。

「花瓶の水を足を引きずってかえていた」

そんな悔しいりんのもとに、直美がやってきて、こっそり教えてくれます。

「園部さん、あなたが生けた花瓶の水を、足を引きずってかえていたわよ」——と。

この台詞、ずるいですよね(笑)。

りんの看護は、確かに届いていた。
言葉にならない形で、届いていた。

見返りを求めなかった分だけ——本当の形で、伝わっていたのです。

声届く 言葉にならぬ その背中(なおじ)

👉関連記事:風、薫る33話・担当を外されたりんとバーンズの深い問い

シマケンが行き詰まった本当の理由

シマケン

同じ頃、シマケンの部屋では——。

同人誌『黎明』に掲載された槇村の「つづれおり」が大好評。
シマケンは、その評判を聞いて行き詰まりを感じています。

槇村が、先に認められてしまった。

これ、よくある話ですよね。
同期が先に出世した、同僚が先に結婚した——自分のペースで歩いていたはずが、気づいたら焦っている。

シマケンの行き詰まりは「才能がない」ということではなく、「比べてしまっている」ということだとなおじは思います。
りんが実習で壁にぶつかっているのと、実は構造が同じなんです。

34話・直美の「したたかさ」が病院を動かした

看る

正しいだけでは人は動かない

34話で、直美が外科助教授・藤田邦夫(坂口涼太郎)に取り入り、丸山忠蔵の薬の回数を増やすことに成功します。

そのとき直美が言った言葉。

正しいことを正しく言うだけじゃ、人は動かない。

なおじ、この台詞に本当にうなりました。

実社会でも、これは真実です。
いくら正しい提案でも、相手の「利害」「プライド」「タイミング」を読まないと——動いてもらえない。

「直美のしたたかさ」は、ずるさではありません。
「人間を見ている」ということです。

したたかさ 直美

ちなみに、史実には実にリアルなエピソードがあります。
疥癬でひと月入院していた相馬愛蔵(のちの「新宿中村屋」創業者)が、退院を急いでいると伝えたとき——りんのモデル・大関和さんが、誰も嫌がる硫黄の塗り薬を率先して塗り、他の看護師にも指示したといいます。

「正しい行動を、誰より先にやってみせる」——これが大関和さんのやり方でした。
直美の「したたかさ」と、りんの「誠実さ」は、実は史実の大関和さんの中に両方あったのかもしれません。

👉関連記事:朝ドラ風薫る全26週130回と実在モデル2人の史実

勝海舟・りん・そして伏線回収

勝海舟

休日。瑞穂屋を訪ねたりんが、卯三郎から勝海舟(片岡鶴太郎)に紹介されます。

りんが帰った後、勝が言います。
「帝都医大病院っていやあ、園部っていう、前に海軍で面倒見た奴がこの前まで入院してたらしくてね。洋服を着た女中がえらくハイカラだったと自慢してたよ」——と。

「洋服を着た女中がえらくハイカラ」——それは、りんのことです。

担当を外されて直接の言葉は聞けなかったりんに、回り回って「あなたの看護は届いていた」という証拠が届いた瞬間でした。

なおじ、ここで思わず「やった!」と声が出ました(笑)。

ドラマの作りとして、これは絶妙な伏線回収です。

👉関連記事:風、薫る11話|謎の男は何者か?勝海舟も登場の濃密回

モヤモヤをカレーライスと分かち合う

帰宅したりんは、玄関を直しているシマケンに遭遇します。

行き詰まっているシマケンを「無理してるんじゃありませんか?」と気遣うりん。
互いのモヤモヤを打ち明け、励まし合いながら——美津が作った苦いカレーライスを一緒に食べる場面。

「苦いカレー」というのが、また絶妙ですよね(笑)。
甘くないけど、食べると温かくなる——りんとシマケンの関係そのものみたいで。

35話・仲間由紀恵登場!千佳子という存在

直美のお守りと、長屋の再会

35話は、まず直美の静かな場面から始まります。

長屋に顔を出した直美が、行方知れずになっていた親子の再会を知る。
少し考えてから、母からもらったお守りをそっと開けてみる。

直美が、ずっとお守りを開けずにいたこと——なおじはそこが気になっていました。
母との関係、自分の過去、東京で育った理由……。
お守りを開けた直美の表情には、35話で初めて見えた「柔らかさ」がありました。

和泉千佳子・仲間由紀恵が病院を震わせた

いよいよ、仲間由紀恵演じる和泉侯爵夫人・千佳子が登場しました。

乳がんの手術のため入院してきた千佳子。
しかし——何もかもが気に入らない。退院すると息巻くばかり。

病院の評判を気にして必死に引き止める医師たちが、なすすべもなく困り果てているところに——りんと直美が院長室に呼び出されます。

ここでの仲間由紀恵さんの登場は、まさに「圧」でしたね。

華族の夫人という圧倒的な存在感。
ワガママという言葉では片付けられない「千佳子さまの本音」が、そこにある予感がして——続きが気になって仕方ありませんでした。

千佳子のモデルは英国人女性・三宮八重野

ここで元社会科教師らしく、史実を一つ。

千佳子のモデルとなっているのは、三宮八重野(Alethea Raynor)という人物です。

イギリス出身で、1880年に来日。
日本では、皇族や華族の女性たちに西洋の社交上の慣習を助言する役割を果たしました。

史実では——大関和さんは、三宮八重野が乳がんで入院した際、泊まり込みで献身的に看護を行ったといいます。
病室には銀食器が持ち込まれ、皇后の名代がお見舞いに訪れることもあった。

さらに、心中未遂の花魁が運び込まれたとき、八重野さんは果物籠と聖書を大関和さんに託して、花魁のもとへ届けさせたというエピソードまであります。

ドラマの千佳子と、史実の三宮八重野は——単なる「ワガママなお嬢様」では、ない。
その深さが、これから描かれていくはずです。

👉関連記事:仲間由紀恵の朝ドラ歴代出演4作品一覧|役柄と28年の変化

第7週を振り返って・なおじの考察

直美 お守り 中身

「届かぬ声」は、届いていた

第7週のサブタイトルは「届かぬ声」。

りんの声は、直接は届かなかった。
でも——花瓶の水をかえていた園部の背中に、勝海舟の「えらくハイカラ」という言葉の中に——確かに届いていた。

「届かない」と「届いていた」が、同時に存在している週でした。

なおじが35年間教育現場にいて、一番何度も感じたことがあります。

「先生の授業、面白かった」と、10年後に卒業した子が言いに来る。
授業をしている間は、わかっているのかいないのかさえわからなかった子が——です。

声は、時間をかけて届く。
だから、届かなくても続けることが大事なんだと思います。

届かなくて それでも育つ 種がある(なおじ)

直美の成長が静かにすごい

一方、直美の成長も第7週で大きく描かれました。

りんが「正しいことを正しく言う」人間なら、直美は「正しいことを届く形で言う」人間。

これ、どちらが優れているという話ではありません。
りんと直美、両方が揃って初めて「看護が動く」という構造です。

バディドラマとして、このW主演の組み合わせは本当によくできている。

👉関連記事:見上愛×上坂樹里W主演「風、薫る」評判と見どころ

よくある質問(Q&A)

Q1. 第7週「届かぬ声」は、どんな週だったひとことで言うと?

A. 「正しいことは、正しく言うだけでは届かない」ということを、りんと直美それぞれの方法で示した週です。
りんは誠実に動き続け、直美は人間関係を読みながら動いた。
どちらも「届けようとする意志」は同じでした。

結果として、りんの声は回り道をして届き、直美の手は直接、患者の生活を変えた。
この対比が、第7週の核心です。

Q2. りんが担当を外されたのは、りんのせいなのですか?

A. ドラマの描き方では、「患者に嫌われた」という理由でしたが、バーンズ先生の問いかけを聞く限り、外された理由はそれだけではないように思います。

りんが「見返りを求めていた」——感謝されたかった、という気持ちが看護の妨げになっていたと、バーンズ先生は見抜いていたのかもしれません。

外されたことそのものが、りんにとっての「最大の学び」だったのでしょう。

Q3. 仲間由紀恵さんが演じる千佳子は史実の人物ですか?

A. はい、モデルがいます。英国出身で来日した三宮八重野(Alethea Raynor)という女性です。
皇族・華族の女性たちに西洋の礼儀作法を助言する立場で、乳がんで入院した際に大関和さん(りんのモデル)が献身的に看護したという史実があります。

史実の三宮八重野は、単なる「ワガママな夫人」ではなく、心中未遂の花魁に聖書を届けさせるなど、信仰に篤い人物でもありました。

👉関連記事:仲間由紀恵登場で病院が震えた|風、薫る35話感想

Q4. シマケンの行き詰まりは今後どうなる?

A. シマケンのモデルは小説家・木下尚江とされています。
史実では、木下尚江は後に社会主義運動・廃娼運動の重要人物となります。
槇村の「つづれおり」の評判に焦りを感じているシマケンが、これからどんな作品を生み出すのか——りんとの関係もふくめ、なおじは注目しています。

👉関連記事:風、薫る29話・シマケンの夢とりんの覚悟

Q5. 第8週はどんな内容になりそうですか?

A. 千佳子(仲間由紀恵)の手術を巡って、病院中が動く展開になりそうです。

史実の三宮八重野のエピソードには「心中未遂の花魁に果物籠と聖書を届けさせた」という場面もあり、千佳子が単純な「ワガママ夫人」ではなく、信仰・覚悟・社会への視点を持つ複雑な人物として描かれる可能性があります。

さらに、院内での看護婦の立場がどう変わっていくのか——第8週は「届いた声」が形になる週になるのではないかと、なおじは読んでいます。

個人的には、直美と千佳子の関係が気になっています。

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筆者紹介|なおじ

なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。

社会科・歴史を長年教えてきたので、明治時代の制度や史実の読み解きが得意分野です。実習生を毎年受け入れてきた経験から、「来なくていい」という空気の中で頑張るりんたちの場面は、完全に他人事とは思えませんでした。教室でも病院でも、「届かない声」を届かせようと動き続けた人だけが、最終的に何かを変えてきたと思います。

現在は8つのブログでドラマ芸能政治歴史スポーツ学び書評を書いています。

風、薫る第7週まとめ

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