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風、薫る33話「患者のため」担当外されたりんに元教師が問い直す

こんにちは、なおじです。

今日(5月13日)放送の朝ドラ「風、薫る」33話「患者のため」。

りんが担当を外され、園部さんが退院して、バーンズ先生がまた問いだけ残して去っていく。

そして最後は、紙飛行機が2枚、どちらも飛ばない。

飛行距離は0トンビか‥。

二人の心の有り様が、そのまま紙に折り込まれているようでした。

今回は元教師なおじが、この「患者のため」という問いを、35年の教壇経験と照らしながら読み解いていきます。

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この記事でわかること

  • 園部さんの傷口再開と再手術が意味すること
  • りんが担当を外された本当の背景
  • 藤田さんと直美の距離が縮まった場面
  • 退院前の園部さんがりんに残した「怒ったような一言」
  • バーンズ先生「感謝されたいのは身勝手な欲」発言の核心
  • 0トンビの紙飛行機が暗示する二人の有り様
目次

園部さんの傷口が開いた・再手術の衝撃

傷口が開き、悲鳴を上げた瞬間

33話の冒頭は、園部さんの傷口が開き(化膿し?)、悲鳴を上げるところから始まります。

再手術になった、という展開に「えっ、また?」と思った方も多いはず。

なおじも驚きましたよ。
というか、予想できていましたよね‥。

でも少し立ち止まって考えると、明治時代の手術というのは今とはまったく違います。

現代のような抗菌薬も、無菌手術室も存在しない時代。
素手で手術してましたね‥。

術後に傷口が開いてしまう、感染してしまうというのは、当時としてはそれほど珍しい事態ではなかったはずです。

手術室の清潔操作すら、看護婦たちが現場でゼロから学んでいた頃ですから。

明治の医療の脆さと、それでも必死に前を向いていた人たちの姿が、この場面に凝縮されていた気がします。

バーンズ先生の判断の速さ・経験が生む反射

傷口が開いた瞬間、バーンズ先生は即座に動きます。

まるで体が先に反応している感じ。

なおじも教師時代に思ったことがありますが、ベテランって「あっ」と固まらないんですよ。

子どもが倒れたとき、若い先生は「えっ、どうしよう」と止まる。

ベテランは、すでに保健室に向かって誰かを走らせ、周りに指示を出しています。

あの動き方は、積み重ねた経験が作る反射

頭で判断する前に体が動いているんですよね。

バーンズ先生が怖い(笑)けど、やっぱり信頼できる理由がここにあります。

でも、初心者からしたら、「考える間もない、怒濤の展開」(笑)

りんが担当を外された背景・患者第一の逆転

「患者のため」という言葉が刃になった

再手術は成功しました。

でも、りんは担当を外されてしまいます。

ここが33話の核心部分。

「患者第一」という原則を、逆に使われたような形ですよね。

患者に寄り添おうとするほど、かえって担当から外される。

「感情移入しすぎて、冷静な判断ができなくなっている」と判断された可能性があります。

これって、なかなか残酷な話です。

良かれと思って深く関わろうとした結果、「それが問題だ」と言われてしまう。

教育現場でもありました。

「子どもに寄り添いすぎる先生は、かえって子どもを自立させられない」なんて言われることがあって、なおじも若い頃は「どっちだよ」と思ったものです(笑)。

正論と現場の論理がぶつかる場所、というのはどの世界にもあるんですよね。

丸山さんと直美・距離が縮まった場面

一方、直美は苔癬患者の丸山さんと距離を縮めていきます。

32話でも直美の行動力が目立っていましたが、この回では丸山さんが直美の指示に従い、患部を書かなかったという場面が描かれます。

「え、丸山さん直美の言うことをきいたの?」と思った方もいるかもしれません。

でもここが直美の凄さです。正論は嫌い、と言う割には、直美は正面から「そうしないと治らない」と、ぐいぐい押してくる。

相手が自然に動いてしまうような関係性を作っている。

りんと直美の違いが、ここにはっきり出ていた気がします。

「患者第一」といっても、迷いをもって言うりんと、毅然と言い切る直美。

どちらが正解、ということではないのでしょうが。

👉関連記事:風、薫る32話「届かぬ声」園部急変とシマケンの小説執筆

園部さん退院・怒ったような一言の重さ

年かさの喜代さんが注意を受けた場面

病棟描写で、年かさのきよさんが子どもの抱き方がうまくできず、看病婦から注意を受けていた場面がありました。

看護というのは、「頭で分かること」と「体でできること」は全然別物。

力の加減、体の向き、重さの受け方。

言葉で教わっても、そう簡単には身につかない。

なおじも教師時代に、若い先生に授業技術を教えて「わかりました」と言われたのに、全然できていない、というのを何度も目にしました(笑)。

「分かる」と「できる」の間には、大きな川が流れている。

喜代さんも今まさに、その川を渡ろうとしているところでしょう。

りんが謝った言葉・園部さんの「怒ったような一言」

退院する園部さんに、りんは言います。

「園部さんにもっとうまく話ができていたら、と思って。すみませんでした」と。

りんが謝ったことを、なおじはとても自然な心情だと感じました。

「最後まで担当できなかった」という悔しさと、「もっとできることがあったのではないか」という問いが混じっていたのでしょう。

そのりんに対して、園部さんは怒ったような口調で「ああ」と、一言だけ言って退院していった。

でも、この「怒ったような口調」というのが、なおじには響きました。

怒っているように見えた、その奥には何があったのか。

警察署長という肩書きを持つ園部さんが、最後まで自分の素性を看護婦のりんに明かさなかった。

「地位や肩書きなしで、ただの患者として向き合ってほしかった」という静かなプライドが、あの一言に折り畳まれていたのでは‥。

退院の 怒りのにも 礼はあり  (なおじ)

バーンズ先生「感謝されたい欲は身勝手」発言の核心

りんが打ち明けた「申し訳ありません」

担当を外されたりんは、バーンズ先生に言います。

「最後まで看護することができませんでした。申し訳ありません」と。

この言葉、素直に見えて、実はかなり複雑。

誰への謝罪なのか、りん自身も整理できていないんじゃないかな。

「患者に申し訳ない」のか、「バーンズ先生に申し訳ない」のか、「自分の理想に届かなくて、自分が許せず悔しい」のか。

全部が混ざっているように見えました。

「感謝されたいのは身勝手な欲です」という言葉

バーンズ先生は返します。

看護は見返りを求めてするものではありません。感謝されたいというのはあなたの身勝手な欲です。患者が回復すればそれでいいのです。看護とは何か、よく考えなさい」と。

そしてまた、問いだけ残して立ち去ります(笑)。

一視聴者としての素直な感想、「厳しすぎる!」と‥。

でも教師として考えると、これは正しい。

「生徒に感謝されたくて教えているのか、生徒が伸びるために教えているのか」という問いは、実はなおじも若い頃に突きつけられたことがあるんです。

感謝されたいという気持ちは、自分のための欲なんですよね。

『一匹の魚を与えるより、魚の捕り方を教えよ』という言葉があります。

なおじ達教師は、短絡的に答えを与えることに、ずっと禁欲的でいました。

バーンズ先生が「答えを置いていかない」理由も、まったく同じところにある気がします。

「バーンズ先生、答えも置いていってください」
「答えを置いていく先生など、先生とは呼ばない」
……これ、ツッコミようがないですね(笑)。

👉関連記事:風、薫る29話・シマケンの夢とりんの覚悟

0トンビの紙飛行機・二人の心の飛行距離

丸山さんが語った「花瓶の水換え」

直美からりんへ、丸山さんが話していたことが伝えられます。

園部さん、1人でこっそり足を引きずりながら、花瓶の水を替えていた」と。

冒頭で、窓際の植物が枯れていた描写がありましたよね。

あの枯れた植物が枯れてしまう前に、痛みをこらえながら、誰にも言わずに園部さんは水をやっていた。

「最後まで看護できなかった」と謝っていたりんに、患者さんは自分で動いていた。

この事実が、りんの心にどう刺さったか。刺さるのか‥。

園部さん、いかにもプライド高い明治の男‥。
素直じゃないなあ‥。

でもこの明治の男の有り様が、りんに「看護とは何か」という問いを、もう一段深いところから突きつけてくる気がします。

0トンビ・りんとシマケンの紙飛行機

シマケンとりんが、紙飛行機を飛ばす「回」がありましたよね。

高距離を、「トンビ」という単位で表していました。

👉関連記事:風、薫る18話│シマケン一トンビと環さらわれた

18話と33話は、紙飛行機という道具でしっかり繋がっていました。

そして33話の終盤、りんもシマケンも、それぞれ別の場所で紙飛行機を飛ばします。

でも、どちらも飛ばない。

飛行距離は、0トンビ‥。

まだ届かない。まだ風が吹いていない。

「風、薫る」というタイトルが、このラストシーンに静かに響いてきます。

風が吹いたとき、二人の紙飛行機はどこへ飛んでいくのでしょうか。

Q&A|33話で気になった疑問に答えます

Q1. りんが担当を外されたのは、りんに問題があったから?

必ずしもそうとは言えないと思います。

りんが担当を外された理由は、「患者への感情移入が強すぎる」とみなされたからでしょう。

しかし、患者に寄り添おうとすることと、客観的な判断を保つことは、本来どちらも看護に必要なもの。

「患者第一」という言葉が逆手に使われた、という見方もできます。

りんが「自分に何が足りなかったのか」と悩む場面は、その答えがまだ出ていない、ということを正直に描いているのかもしれません。

Q2. 明治時代の手術は、現代と比べてどれだけ危険だったの?

現代のような抗菌薬も、十分な無菌管理もない時代の手術は、感染リスクが非常に高いものでした。

麻酔の品質も安定しておらず、術後の経過も今とは比べ物になりません。

園部さんが再手術から無事退院できたこと自体、当時としては運と技術が重なった結果といえます。

このドラマの時代背景が、医療の進歩の途上であることを、こうした場面がリアルに伝えてくれています。

Q3. バーンズ先生はなぜいつも「問いだけ」残して立ち去るの?

なおじ的には「それが最も優れた教育法だから」と答えます。

自分で考えた答えは、人に与えられた答えとは比較にならないほど深く身につく。

ただし、考えるための材料をすでに持っている人間に対してのみ有効な手法です。

りんは今まさに、その材料を少しずつ集めているところ。

バーンズ先生の問いが「答え」として輝く瞬間が、この先に必ず来ると思います。

Q4. 紙飛行機の「0トンビ」という表現はどこから来ているの?

シマケンが紙飛行機を飛ばす「回」をやっていて、飛行距離の単位として「トンビ」を使っています。

18話で初めて登場したこの単位。33話ではりんとシマケンの今の心の在り方(落ち込んでいる状態)を表していました。

飛ばしても飛ばない、0トンビ。

「風、薫る」というタイトルが持つ意味を、この単位が静かに代弁しているようです。

Q5. 直美はなぜ丸山さんとの距離が縮まったの?

直美のアプローチは、自信を持って正しいことを主張し、しかも最終的には患者本人に選択させる接し方。

丸山さんが直美の指示に従い患部を書かなかったのも、「従わされた」のではなく、「自分で判断した」という感覚だったのではないでしょうか。

人を動かすのは正論だけでは足りず、関係性だということを、直美は本能的にわかっている気がします。

りんは「正しいこと」を伝えはするが、自信のなさも相手に感じさせてしまう。

この点については直美と対照的です。

ただし、二人のバディとしての補完関係が機能してきたように見えます。
救いの時は、間近なはず‥。

👉関連記事:風、薫る25話感想|りんと直美の心が溶け合った

筆者紹介|なおじ

なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。
退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。

社会科・歴史を長年教えてきたので、明治時代の医療や時代背景を読み解くのは得意分野です。
バーンズ先生の「問いだけ残す」教え方は、なおじも授業で実践してきた手法で、画面に向かって「それ、そうなんだよ」と言いたくなりました。

現在は8つのブログでドラマ芸能政治歴史スポーツ学び書評を書いています。

風、薫る33話

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