最近、虎に翼というドラマを見ていて、寅子と優三の結婚について考えさせられるシーンがありました。
寅子は『社会的地位を確立するために結婚を決めた』というのです。
果たして本当でしょうか。『寅子は自分の気持ちに蓋をしていた』
実は、『優三への思いはずっとあった』…のではないでしょうか。
今回は、寅子の深層心理を掘り下げてみたいと思います。
寅子の結婚決定と社会的地位への思い
『寅子は、優三と結婚することで社会的地位を得る』
寅子は、打算から結婚を決意した、という設定で描かれています。
確かに、「虎と翼」では、寅子の結婚の動機はそう描かれています。
寅子は弁護士としてのキャリアを築くため、結婚を望んでいました。
結婚が社会的地位向上につながるという発想は、現在に生きる若者にはもしかすると、ピンと来ません。
ですが、ほんのこの前まで日本はこういう社会でした。
だから、昭和の前半に生きた寅子が、社会の常識に打ちのめされて、結婚を決意するという姿は、「そういうことも有っただろうな」と、納得はできます。
優三への蓋をしていた思い
一方で、ドラマの中では優三が寅子のことが前から好きだったと描かれています。
優三も『社会的地位を得るため』という打算で、寅子に結婚を申し込んだのだと、寅子は理解しました。
その背後には、ずっと寅子が好きだったという「隠れた思い」が読み取れます。
優三は常に寅子のために行動し、親身になって助けてくれる存在でした。
一言も口には出しませんでしたが、優三はずっと寅子のことを思っていたわけですよね。
では、寅子はどうだったのでしょう。
寅子と優三の関係
寅子と優三は結婚後は、仲睦まじい夫婦となるようです。
お互いに支え合って日々を過ごします。
優三は、『寅子には、本当に愛する人と結婚してほしい』とを願っていました。
「だから、自分は寅子に告白しなかった」
と、本心を明かしたのは結婚後でした。
寅子は、優三の言葉を聞き、結婚しているのに優三に恋心を抱くようになったと描かれます。
これは、これで好い展開ですね。
でも、寅子も、結婚前から、優三を好きだったのではないかと思うのです。
だって、あれだけ寅子に尽くしてくれた優三さん。
寅子も、優三に好意を抱かないはずは無いと思うのです。
ですが、優三は、猪爪家の書生。
同じ家に住む男女が親の前で、色恋沙汰になってはいけなかったのでしょう。
おそらく、寅子も、自分の気持ちに蓋をして、無意識に『優三は兄弟・家族』と思い込むようにしていたのでは、…。
しかし、結婚によって、寅子は自分の気持ちに蓋をする必要がなくなりました。
「自分は、やっまり優三がすきだったんだ」
と、誰に気兼ねすることなく、優三への恋心を膨らませ、その絆を深めていったのだと思います。
寅子と優三のモデル、嘉子さんと和田芳夫さんの結婚は、「虎と翼」とは真逆で、嘉子さんの方から芳夫さんに結婚を申し込んでいます。
このあたりの史実を脚色して、「結婚後に寅子は、優三に恋をした」という設定にしたのでしょうね。
花岡との関係
一方で、寅子がかつて好意を寄せていた花岡は、家庭に入ってくれる美人でおしとやかな女性と婚約しました。
女性に対して、進歩的な考えをもつように描かれていた花岡も、『自分の奥さんになる人には、家にいて、家を守ってほしい』と考えていたようです。
花岡は、自分の本心を理解していました。
おそらく、花岡自身の気持ちと言うより、家・両親への思いが、「女性は家庭を守る」という当時の常識から抜け出せない状況をつくったのでしょう。
花岡は、寅子の夢を潰さないために、自ら身をひいたのだと思います。
世間的には、寅子が花岡に振られたように成っていますが、
実は、『花岡が、寅子を慮って身をひいた』
これが真相のようです。
まとめ
寅子が社会的地位を得るために優三との結婚を決めた一方で、実際には虎子の優三への深い思いが結婚の背後にあったことが史実から連想されます。
「虎に翼」の中では結婚後、二人の関係はお互いを支え合い成長していきます。
「社会的地位を得るため」という打算から結婚した、という点は確かにあったでしょうが、結婚後、愛が深まる寅子と優三。
ですが、ドラマで「幸せ」が描かれるのは、次に来る「不幸」の伏線だったりします。
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