武士 潮田又之丞は、「友との約束」とどう向き合ったか
人生最後の時の処し方
「友達と家族、どちらが大切か。」
と聞かれたら、何と答えるだろう。ひいて言えば、
「どちらも大切。比べようがない。」
と言う程度の答えだろうか。
ではもし、
「友とある約束があったとする。しかし、自分は人生最後の日を迎えようとしている。その時あなたは、家族と最後に過ごす時間を犠牲にして、友との約束を果たしますか?」
こう質問されたらどうだろう。
私は、自分と家族の時間を削って友との約束を果たす自信が無い。
しかし、かく在りたいという目標の人物はいる。赤穂浪士の四十七士の一人の潮田又之丞(しおたまたのじょう)という人物だ。
武士 潮田又之丞の最後の時の過ごし方
この潮田は医術にも通じていた。潮田がかつて郡奉行を務めていたころ、穂積村というところに逗留した際に、田中道的という医師と知り合いとなった。
その時道的は、又之丞の知っていた「三味保童図」という薬の秘宝を教えて欲しいと熱心に願い、又之丞はこれを承諾した。
ところがまもなくして赤穂藩に、松の廊下から引き続く大事件が起こってしまう。又之丞は大石内蔵助らとともに、主君の敵討ちに加わることになる。
又之丞は日常のすべてを、仇討ち成功のために使うことになった。当然、道的との約束は果たされずに日々が過ぎていった。
仇討ちも迫ったある日、家族への別れの時間を与えるため大石は、又之丞らを一時故郷に帰す。又之丞も家族の住む赤穂北城村へ帰り、妻子や年老いた老母に会う。そして、密かに自分の死後に備えるための雑事を行った。
そしてその時、道的との約束を忘れず薬の秘方を記した文を道的に送ったのだった。
四十七士はそれからすぐ、元禄15年(1702)12月14日、仇討ちの本懐を見事に達成する。討ち入り後、四十七士の武士たちは、各大名家にお預けの身となり、又之丞は大石らと共に細川家へ預けられる。そして、見事な最後を遂げる。
討入りや、その後の又之丞の結末を知った道的は大いに驚き、次のような言葉を漏らした。
「又之丞が北条家を最後に訪れたのは、まさに討ち入りの機が熟しきった直前の頃だった。老母を憂いてもいたことであろうし、遺される妻子への想いはいかばかりだったろうか。そんなときに、よくぞ昔日の約束を忘れることなく果たしてくれたものだ。又之丞は人の生きるべき立派な道を示したのだ。」
日本例話大全集より
武士 潮田又之丞高教 の大和魂
誰にでも出来ることではない。
だが、日本にはかつてこのような魂をもつ武士がいた。
そして、潮田又之丞のような魂を、尊いと感じる田中道的のような人物もいた。
友との約束を守り、命がつきても果たそうとする人物の心は清く尊い。
道的は、その後又之丞の書を表装して、長く家宝とした。
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