ある夜、猪爪家の前に集まっている記者達の目をかいくぐって猪爪家に二人の男がやって来た。
隣の家の塀を乗り越えての訪問だった。
一人は、寅子の学友の花岡、もう一人は何と穂高教授だった。
さて、二人は何の為に猪爪家を訪れたのだろうか。
穂高教授は、直言のために一肌脱ぎ、花岡は寅子をたすける
寅子の父・直言(なおこと)は、世間を騒がせている贈賄事件・共亞事件(帝人事件がモデルと思われる)で、実務担当の実行犯とされていた。
それに伴い、猪爪家の周りは終日記者たちがうろつき、結果寅子は大学に通えない状態が続いていた。
花岡は、大学に通えない寅子を心配していた。
だが花岡は、寅子の性格を深く考えすぎていて「寅子は、守られたくなど無い」と考えているかもしれないと思い、数日間悶々としていた。
だが、今の状況は、『待つ』状況では無い、と考え行動を起こしたのだった。
寅子にとって、今もっとも必要なのは、『父親を弁護する人材』
そう考えた花岡は、穂高を動かしたのだろう。
穂高にとっては、寅子もその父・直言も教え子。
(もしかすると、寅子以上に直言本人を救いたいという気持ちが強いかもしれない。)
「何とか、救いたい」
という思いをもっていたところに花岡の言葉があって、二人で連れ立って行動に移した。
崖から落ちて、大けがをしたばかりの花岡。
既に、老体に一歩足を踏み入れつつある、穂高教授。
二人は、なんと隣家の承諾を得て塀を乗り越えて、猪爪家への侵入に成功したのだった。
二人の熱い思いが感じられる。
寅子、久しぶりに大学へ登校する
二人(花岡・穂高教授)の熱い思い、そして行動力の結果、寅子は久々に大学へ登校する。
花岡は、そんな寅子を大学の入り口前で出迎え、二人で共に教室まで歩いて行く。
寅子と花岡の周りには、涼子たち女学生達も集まってきて、寅子を守るように教室へ入っていった。
寅子、花岡に感謝の言葉を述べる
授業が終わると、寅子は改めて花岡に感謝の言葉を述べる。
すると、花岡は、
「記者たちから守るためには、やはり君を家まで迎えに行くべきだった。」
「君は、男に守られたくないかもしれないと、日々悩んでいたんだ…。でも、待つだけではいけないと考えて、行動に移した。」
と語る。
寅子は、花岡の思慮深い自分へのいたわりを感じ、キュンキュン!。
穂高教授、弁護団をあつめる
直言逮捕から4ヶ月後の10月 、予審が終わった。
予審という制度は、現在の裁判制度には無い。
この予審中は、一切情報が外にもれない。
流石の穂高教授もこの期間は、動けない。
だが、予審が終了し、直言は裁判にかけられることに決定した。
さらに、新聞には、
『猪爪直言が贈賄罪で起訴され、罪を自白した』
と、書かれていたのだった。
このような状況下で、直言を弁護しようと積極的に動く弁護士は一人もいなかったのだ。
穂高教授が動いた。
寅子を法曹会館のラウンジに呼び出す。
するとそこには、直言を含め共亞事件の被疑者を弁護しようとする弁護士達がいたのだった。
穂高教授は、居並んだ弁護士達に、
「こんなこと(無罪の者を有罪にしてしまう社会の横暴)が、赦されて良いのか」
と、力を込めて言い放った。
こうして、寅子は、花岡と日高教授の行動力に背中を押され、裁判で戦うことを決意する。
そして、この裁判の裁判官は、何と桂場等一郎(松山ケンイチ)だった。
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