
こんにちは、なおじです。
風、薫る23話、いやあ……これは濃かった。
英語の訳語でもがくところから始まったと思ったら、最後は「嘘つきで不細工」という爆弾発言まで飛び出して。
看護学校の寮という密室に、個性も事情もまるで違う7人が押し込められたら、こうなるよね、と苦笑いしながら見ていました。
元教師のなおじから言わせれば、この23話は「学校あるある」のオンパレードです。
この記事でわかること
- 英語「observe」の訳語をめぐるりんたちのドタバタ
- 直美の毒舌が連続発火した理由
- りんが直美を「嘘つきで不細工」と言い切った真相
- 7人それぞれの本音と背景
- 直美が捨松を訪ねた意味
「observe」の訳語で大混乱・りんたちの英語格闘

オブザーブから生まれる単語の迷宮
観察する(observe)という動詞ひとつから、オブザベーション・オバザーバント・オブザベイション……と、次々と派生語が出てくる。
りんたちが苦しんでいる光景、元教師のなおじには妙にリアルに見えました。
英語って、単語の「幹」を知れば枝葉が読める言語なんですが、最初はその幹が見えないんですよね。
さて、問題の英文はこちら。
「The nurse who never observes her patient’s countenance at all」
「患者の顔色をまったく観察しない看護師」という意味ですが、これがナイチンゲールの言葉の一節とされるもの。
確かに直美に頼むのが最速だとなおじも思いますが、りんが「みんなで助け合って訳そう」と提案するところが、いかにもりんらしい。
けんもほろろに断られた朝
多恵たちは、りんの提案をそっけなく断ります。
「協力するよ」なんて言えるほど、この7人はまだ互いを信頼していない。
でも、一人だけ鏡を見ながら呉服屋のお嬢様しのぶが言うんですよ。
「得意な人が得意な言葉を教え合った方が、はやくありませんこと」と。
深く考えてないのが丸わかりで(笑)、でもそれが逆に火に油を注いでしまう。
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直美の毒舌連発・本当の怒りはどこへ向かっていたか

「私が教えてばかりになる」という本音
しのぶの発言を受けて、直美のスイッチが入る。
「それだと、私が教えてばかりになるけど」と直美。
ここが直美という人物の核心‥、なおじはこのセリフで一挙に心拍数が上がってしまいました。
直美は、「英語ができること」を武器にしながら、その武器を使うたびに疲弊している。
教会育ちだと思われたくない、努力した結果だと認めてほしい。
そういう承認欲求と孤独が、毒舌という形で出てくるわけですかね‥。
「努力していないからでしょう」の残酷さ
「私は、ただ教会で育ったから英語ができるわけじゃない。何日も何日も、親や教師に頼ることなく一人で必死に学んだから英語が分かるの」
このセリフ、社会科教師として35年生きてきたなおじには重く響きます。
学校現場でも、「あの子は頭がいいから」と言われ続けて、陰でどれだけ努力したかを誰にも見てもらえなかった子を何人も見てきましたから。
だからこそ、その次の「あなたが英語が分からないのは、努力していないからでしょう」という言葉は……言ってはいけなかった‥。
言いたい気持ちはわかる。でも、それは人に言う言葉じゃない。
直美、やっちゃったね。
毒舌は 刃になって 自分斬る(なおじ)
7人の本音が次々噴出・看護学校カオス劇場

しのぶ・多江・トメ・喜代‥が次々参戦
呉服屋のお嬢様しのぶが「こんな意地悪な人に看護婦なんてできるのかしら」と反撃。
すると直美が「服に憧れて来た道楽娘だけには言われたくないわ」と返す。
言ってはいけない言葉のオンパレード。直美、完全にやっちゃったね(笑)。
そこへ多江が「暮らしやお金のために看護婦になりたい方は、そういうほかないですよね」と参戦。
田舎から来たトメも「医者の代わりに看護婦さなるっておなごは、ながなが いねえもの」と。
ありゃありゃ、収拾がつかない。
32歳の喜代が「大人の一言」を放つ
混戦の中、32歳の喜代が年の功でひとこと。「人を救済する看護婦にふさわしくありませんよ」と。
これ、極めて正論ですよね。
ところが子爵令嬢が「救済というのは少し傲慢では?」とくってかかる。
そして、彼女はナイチンゲール女史の話を語り始める。「ランプの貴婦人と呼ばれ、戦地の病院の闇の中、深い慈しみをもって傷病兵の看護に当たりました」と‥。
なおじの感想:こういう子、クラスに一人はいたなあ(笑)。
正論すぎて誰も反論できなくて、場が静まり返るやつ‥。
一人だけ自分の世界に没入、夢見る少女‥。
すると直美がりんに向かって「どうすんのよ、これ」と耳打ちする。
笑いしか出てこない。完全にカオスだ。
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りんが直美を「嘘つきで不細工」と言い切った理由

工藤トメへの言葉が引き金になった
日曜日、松井先生から「午後7時の門限を必ず守るように」という指示が出る。
これはフラグだと直感。門限 守れない事件が必ず起きますよ、これは‥。
多江たちお嬢様グループは実家へ。りんたち残り組に、りんが「自分の家に来ないか」と声をかける。
そこでトメが「里の親兄弟に何かを贈りたい」と言うと、直美のスイッチが入る。
「東京の道を覚える前に英単語の一つでも覚えたら」
……なおじも言葉を失いました。やな奴だ、直美。
「不幸ぶって 不細工」りんの反撃
これを聞いたりんが静かに口を開く。
「直美さん、嘘つきです。嘘つきで、不細工」
「直美は、不幸ぶって不細工。苦労を自慢に使うのも不細工」
りん、言い過ぎだよ……と思いつつ、でも的を射ている。
「直美さんがどんな生まれで、どんだけ苦労してきたかなんて、病や怪我に苦しむ人たちにとっては、どうでもいいこと」
これが、核心だと思うんです。
看護とは、自分の物語を患者に押しつける行為ではない。
元教師として言えば、先生も同じです。
「私は35年苦労してきた」という話を生徒にしても、生徒には関係ない。
問題は今この生徒の前に何ができるか、それだけなんですよね。
直美の本音・「他人の一家団欒を見せられて楽しいと思う?」
直美が反撃する。
「あなたは家老の娘で、それを口に出せば仕事もすぐ見つかる。辞書まで、たやすく手に入れることができる」
これが直美の心の底にある本音でしょうね。
すべての人が羨ましい。すべての正論が恨めしい。直美のような育ち方をしたら、そうなるかもしれない、と思う。
「他人の一家団欒を見せられて、私が楽しいと思う?!」
これが核心。直美の怒りと孤独の根っこはここにある。
そして、工藤トメが「東京さ 行くとこがある人は おらさ気いつかわんで いってけろ」と、悲しい建前を口にする。
名のない直美と、家族から「これでおしまいという意味のトメ(いらない子)」という名をつけられた娘の対峙。
直美、気付いてあげろよ、トメの心の隙間風に……。
3人の心に、ビュウビュウと風が吹く。
本音ごと 吹き飛ばしてく 秋の風(なおじ)
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直美が捨松を訪ねた意味・24話への伏線

この面会が直美を変えるか
23話の最後、直美が捨松(多部未華子)を訪ねます。
捨松は以前から、直美の孤独と聡明さを見抜いていた節がある。
「これが私の人生」という捨松の言葉が、直美にどう響くのか。
直美には、彼女のために泣いてくれる吉江さんがいる。捨松もいる。
なおじは、直美が「一人じゃない」と気づく回がそろそろ来ると思っているんですが‥。
環ちゃんの子役が変わっていた

余談ですが、朝方に直美が一人でお守りを見ているシーンがありましたね。
そのころ環はりんに折り鶴を折っていたのですが……あれ、環ちゃんの子役、変わってましたよね?
視聴者の皆さん、気づきましたか(笑)?

環ちゃんの子役は、第4週までの宮島るかちゃんから、第5週では英茉ちゃんにバトンタッチ。成長した環を表現するためのキャスト変更ですね。
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Q&A|風薫る23話の疑問に答える

Q1. 「observe」の訳語がなぜこんなに問題になるの?
A. 明治時代、英語の専門用語にはまだ統一した日本語訳がありませんでした。
「observe」ひとつとっても、「観察する」「診る」「注視する」と複数の意味があり、看護の文脈でどれが適切かを判断する語学力と医療知識の両方が必要でした。
りんたちが苦しむのは当然で、これは単なる勉強不足ではなく、時代そのものの課題だったわけです。
Q2. 直美がトメに厳しくなるのはなぜ?
A. 直美自身が「名前のない子」として、家族の庇護なしに生きてきたからだと思います。
トメが「家族に贈り物をしたい」と言うとき、直美はそれを「自分にはない当たり前の幸せ」として突きつけられる感覚があるのでしょう。
羨ましさが、批判という形で出てしまう。これは直美の弱さであり、人間らしさでもある。
Q3. りんの「嘘つきで不細工」は言い過ぎ?
A. 言い過ぎです(笑)。
ただ、「苦労を自慢に使うのは不細工」というりんの指摘は本質を突いています。
直美の問題は、苦労があることではなく、その苦労を人間関係の武器・免罪符にしてしまっている点にあります。
これは元教師として、学校でも見てきたパターンです。
Q4. 門限のフラグはいつ回収される?
A. 「午後7時の門限を必ず守れ」という松井先生の指示は、明らかな伏線です。
ドラマの定石として、24〜25話あたりで「守れない事件」が起きるはず。
それがりんか直美か、あるいは別の誰かかが見どころになりそうです。
Q5. 捨松と直美の面会は何話まで続く?
A. 捨松(大山捨松)は史実では明治の女性リーダーとして、多くの人を導いた人物です。
ドラマの中でも、捨松は直美のメンターとして機能していくと思われます。直美の孤独に、一番深く共鳴できる存在が捨松だから。
筆者紹介|なおじ
なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。
社会科・歴史を長年教えてきたので、時代背景や人物の心理分析が得意分野です。明治という激動の時代を舞台にした「風、薫る」は、授業で何度も扱ってきた時代そのもので、史実との比較が楽しくてたまりません。