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スズ子は梅吉と本当の親子になれた:史実の笠置は、音吉の墓もつくる

「わては寂しい。飲んべえで働きもせんと、情けのうてだらしない、何の役にもたたへんお父ちゃんやけど、寂しい。」というすず子。それに対して、梅吉は、「決まってるやろ。親子やからや。当たり前やないか」と返す。二人のわだかまりは解け、『ホンマモンの親子』になれた。こうして梅吉は、郷里香川に帰っていった。この先二人は、別々の人生を歩んでいくのだろうか。史実を元に推察する。

目次

スズ子と梅吉のわだかままりは解消し、『本当の親子』に

自分を許せず、自暴自棄

最愛の妻ツヤを失い、さらに実の息子六郎を失った梅吉(柳葉敏郎)は、働く意欲を無くし酒浸りの日々を送っていた。
梅吉は、自分のダメダメさは分かっているが、どうすることも出来ない。

周りの人々もそんな梅吉を哀れに思い、ダメダメ生活を送る梅吉を大目に見ていた。
だが、1年たっても梅吉の生活は改善しなかった。

スズ子自身も苦しい。
梅吉と言い争いになったとき、つい口が滑り、
「(私が)ホンマの娘やないからか」
と口走ってしまった。

おそらく梅吉は、『ぎくっ』としたはずだ。
梅吉の心の奥底には、スズ子が言ったように、『自分の本当の子どもは、一人もいなくなった。スズ子は義理の娘にすぎない』という気持ちがあっただろう。

そして、スズ子を『義理の娘』と感じてしまう自分が許せなかったのだと思う。
スズ子の元から離れ、郷里の香川に帰る決心は、
『こんな自分には、スズ子と一緒にいる資格は無い』
という気持ちからだったのだと想像する。

六郎の歌、『大空の弟』を聴いて

梅吉は、スズ子(趣里)の歌を聴いた。
『大空の弟』という曲は、弟の六郎を思う姉の心情が歌われていた。

スズ子の『大空の弟』の歌を聴いた梅吉は、『スズ子が間違いなく六郎の姉』であることを再認識した。
血のつながりなど関係ない。
スズ子は心から『弟、六郎を愛する姉』、『安否を気遣う姉』、そして、『弟の戦死を悲しむ姉』だった。

そして、三尺四方の限られた空間の中で『ラッパと娘』をパワフルに踊り歌うスズ子の姿も見た。
スズ子の立ち直りを見て、梅吉もついに次のステップに進む勇気が湧いてくる。
ツヤの死、六郎の死を受け入れ次へ進む気持ちを固める。
梅吉は、今までのように後ろ向きな気持ちで逃げるのでは無く、前進するために、改めて香川へ帰る気持ちを固めた。

帰り道、いつものおでん屋台で梅吉は一人飲んでいた。
スズ子も梅吉の隣に座る。
梅吉は、スズ子に改めて郷里の香川に帰ることを告げた。

スズ子は「わては寂しい。飲んべえで働きもせんと、情けのうてだらしない、何の役にもたたへんお父ちゃんやけど、寂しい。なんでやろう」と呟く。

すると梅吉は、「決まってるやろ。親子やからや。当たり前やないか」とほほ笑んだ。
そして、「ワシはお前が娘でホンマに良かった」と…。

それを聞いてスズ子も、「わてもや。お父ちゃんがお父ちゃんで本当に良かった」と伝えた。

二人が『本当の親子』になれた瞬間に、また涙が流れそうになった。

史実は、東京大空襲で下宿が焼かれたのが原因

史実でも、笠置の義父音吉は郷里香川に帰っている。
だが、その原因は「東京大空襲で下宿が焼けてしまった」ため。

だから、ブギウギの時期より後のことになる。
音吉が東京にいる間に笠置は、「10歳年下の運命の人吉本穎右(えいすけ)と付き合いだす。

穎右は、笠置の下宿を訪ねることもあったという。
そのとき音吉は、身の置き所に困っただろう。
だがブギウギでは、スズ子が最愛の人との出会いの前に東京を離れたので、次週の恋の季節を梅吉は見られない。
恋する娘の姿を見られない梅吉が、ちょっとかわいそうではある。

音吉は、郷里香川で笠置の公演を成功させる

郷里に帰った音吉は、郷里の友人たちと協力して笠置の香川公演を企画・実行し、成功させている。

笠置の香川公演をブギウギでも描いてくれるといいのだが…。
ダメダメ父ちゃんが娘のために頑張り、娘の晴れ姿を郷里の人々に自慢げに見せる姿を見たいものだ。

郷里、香川に笠置が建立した墓

笠置は、1952年(昭和27年)4月、郷里の香川県東かがわ市引田の萬生寺に亀井家の墓を二基建立している。

一つは、養母亀井うめの墓(水川あさみ・ツヤ)。
もう一つは、25歳で戦地に散った弟八郎(黒崎煌代・六郎)の墓だった。

そして後年、亀井音吉もツヤと八郎とともにそこに眠ることになる。
すべて笠置の采配であった。

まとめにかえて:史実をもとに推察:今後のスズ子と梅吉

おそらくブギウギでも、今後のスズ子と梅吉の物語は何らかの形で描かれるだろう。
史実通りに「笠置の香川公演」が描かれ、『故郷に錦を飾るスズ子』の姿が見られるかもしれない。
そのときは、香川組のメンバーがもう一度登場するかも…。

笠置にとって、うめも音吉も、そして八郎も『本当の家族』だったのだ。

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