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学習の仕方が分からないという子に、どう指導するか『10タイプ別指導のポイント』

女生徒

 中学校○年生になるY子は、「私、勉強の仕方分からないから。」と明るく言う。Y子は、とても明るく社交的。しかし、ある理由があり、中学校1学年はほとんど学校に登校していない。当然、学力はすこぶる低かった。

 5教科すべてでテストの点は10点代。

 だが、今は数学だけ、テストで80点以上取れるようになった。
「私、数学は好きなの」と言い、数学だけは授業もよく聞き、努力できるのだという。

「でも、数学だけ。あとは、全部10点代」

と、恥ずかしがること無く、全教科の点数を教えてくれる。

「私、勉強やる気ないもん」「授業も眠ってるか、遊んでる。」

そう言って、アハハと笑う。

だが、本心はどうなのだろう。社会科の教師OBの私に、

「先生、どうやって社会科の勉強したらいいの?」

と聞いて来る。

 Y子にどうやってアドバイスすればよいのか。

 そこで、思い出したのが、偏差値30代の学年最下位の「ビリギャル」が、慶應義塾大学に受かった話。
この子は、どういう指導を受けて、慶應に合格したのか、エッセンスを拾い出してみる。

目次

ビリギャルの指導法に学ぶ
『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶鷹大学に現役合格した話』より

平成27年に刊行された単行本

『学年ビリのギャルが、1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』
この子は、『あなたにはゼッタイ無理』と周りから言われ、自分も『絶対無理』とあきらめてしまっていた。

この、ゼッタイ無理を克服する奇跡は、『ちょっとしたコツを知るだけで実現することができる。』
『あなたにもきっと起こる。』
と筆者は言う。

その『コツ』とは、何か。

「テストって、嫌いだなー。だって、点数が出て終わりでしょ。」

「そっかなあ。僕は点数が出てからが始まりだと思ってる。だって、できないことがわかったら、そこからできるようにすればいいだけじゃん」

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話より;坪田信貴著(角川文庫)

 テストは、返されてからが勝負

 これは、よく言われることだ。

 間違えたところを、次は間違わないように補強する。
 だが、この一手間が出来る子は少ない。

 「Y子も、そんな面倒くさいこと私できないよ。」
 という。Y子は、ビリギャルの主人公のさやかさんとそっくの性格。
 あっけらかん、人なつっこく、明るい。
 「やる気が無いことを公言する。」

さやかさんや、Y子のような子にどう接するべきか

心理学で言う『リフレーミング』

 一言で言えば、教師(出来る人・常識的な人)の発想の枠組みを変えて、『ほめる』

受験で大事な3つの事とは

 「受験で大事なことが3つあるんだけど、何かわかる?」
 と、坪田氏が、ビリギャルさやかさんに、問う。

① メンタル、② 目標、③ 計画

この3 つ。

①メンタル 「無理じゃない」と思える、信じる

コロンブスのタマゴの例を引き、『卵は立つ」てことを”知っている” ことってすごく大事

 そして、『無理じゃ無い』と自分が思い込むためには、「言葉に出して、みんなに言いふらすといいよ」
と、アドバイスする。

「君の目の前に、神様が現われたとする。そして、キラキラ光る銀色のプラチナチケットを渡してくれる。そこに、君のしたいことを書けば、
① どんな大学でも学部でも必ず合格させてくれる
② その実力をつけてくれる
③ 環境も用意してくれるとする。
こんなすごいチケットをもらったら、君は何をしたい?」

 このように質問すると、
 多くの「夢がない」「志望校がない」と言っていた子ども達が、いろいろな答えを出してくれるのだという。

 ビリギャル、さやかちゃんはこう言った。

「私、慶応なら、どこでもいいや。で、もしも神様がならせてくれるんなら・ミス慶応 になろうかな。で、アナウンサーになって、プロ野球選手と結婚して~

ビリギャルさやかさんや、Y子さんはどういう心理状況にあるのか

心理学で言う「自己効力感J (self efficacy) が足りないと見る。
逆カラーバス効果」(何にも興味を抱けないので、それに関連する情報も頭に入ってこない効果)とも言うべき状態が起きている。

 「学習性無力感」とも呼ばれる。

 なるほど、Y子さんの意識を変えること。「学習性無力感」をいかに無くさせるかが、最初の勝負なのだな。

 自分のしたことに達成感を覚えたことがなかったり、周囲にポジティブな影響を与えたと感じたことがなかったりすると、ヒトというのは、何かに興味を持つということ自体が難しくなる。

 その場合、「達成感」をいかに与えるか。そして人から、『ありがとう』と言ってもらえる体験をたくさん与えることがポイントになるな。

苦手とする教科などの、行き詰まっている段階にまで立ち戻る。

無理だと思っていた超絶苦手教科すら、クリアできるんだ」ということをまず体験させる。
 少しずつ「自己効力感」を持てるようにして行くことが大切。

 そういう意味で、実は中学校での5教科の勉強は、体系化されているからこそ、立ち戻る場所、あるいは苦手になった場所が明確になりやすく、「自己効力感」を培いやすい。

 また、教師と一緒に学習することも有効。

 「これ、解けるかな」と聞き、「絶対無理」と答えた問題を、その場でできるようにしてあげる。
 「おお! すげー」となり、意識が変わっていく。
 ヘルプレス(助けようがない状態)じゃないんだよ、やり方次第なんだよ、ということを見せるところから始める。

②夢を語らせて 目標をもたせる

 子どもに夢を書いて、と言っても書けない場合、単純に職業のことを知らないケースが多い。
 そういう場合は、自分の夢を語ったりして、「あ、それいいなあ!」と思わせる。単純に「楽しそうに夢を語るこの人といたら、おもしろそうだな」と思ってもらう。

 すべては、そこから。

「世の中、楽しいこともあるんだな」と思わせること。

 その上で、「勉強ができるようになったら、こんなおもしろい人にも会えるようになるんだよ!」などと、自分や他人の体験談等を話す。

③目標ができたら、あとは計画。

 どれだけ無謀と言われることでも、目標から逆算して、それを達成させる計画を作るのが「プロ」の仕事。残念ながら、計画は子どもだけでは難しい。「プロ」の手助けが必要。

 しかも、あたかも子どもが、自ら自力で立案したかのように、思わせる、難しいがこれが出来れば、成功にグッと近づく。

「計画」を立てる子どもを支援する、プロ教師の仕事とは

 子どもの状況を把握する。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」ということ。受験校に対する現状の学力を知る。

 さらに、その子の「性格や性質、そして何より習慣を把握する。」
 それによって、計画が変わり、指導法が変わるという。

『性格や性質』別『指導法』

「性格や性質」を把握するために、本来は90にわたる質問をするという。
例えば、以下のような質問だという。

① 任された仕事は、責任をもって、しっかりやり遂げるタイプである。
② 人生において最も大切なのは、親密な人間関係だと思う。
③ 人と競争してこそ何かを達成しやすくなるし、そこにやりがいがある。
④ 本当の自分を理解できる人は、、周囲には少ないと感じている。
⑤ 行動する前に、よくよく考えたい。それからでないと動きたくない。
⑥ みんなで議論して、総意を決めてから実行するほうが安心できて良い。
⑦ 好奇心旺盛で、いろいろなことに気軽にチャレンジしていくのが好き。
⑧ 上司や偉い人の言うことでも、おかしいと思うならしっかり反論する。
⑨ 人間関係において波風を立てることは絶対に避けるべきだ。

【判定と学習指導のポイント】

① の、完壁主義者タイプへの指導法

 大局に意識を向けさせる

このタイプの子は、計算ミスがないかどうか何度も検算したりする。プロセスに時間がかかり過ぎることがあるので、タイマーをセヅトし、細かい計算ミスがあるかどうかよりも、「全体の流れ」がうまく行くかどうか、大局のほうへ意識を向けさせることが大切、と言う。

② の、献身家タイプへの指導法

 細かいことにしっかり感謝の言葉を伝える

このタイプには、褒(ほ) めるのではなく、感謝をすることがポイント。自分のためより、人が喜ぶことをやろうとするタイプなので、細かいことにでも感謝をされるとモチベーションが上がる。

③ の、達成者タイプへの指導法

 褒(ま) めると頑張るが細部の詰めの甘さに注意

基本的に、褒めていればドンドン勝手にやって行くタイプ。細部の詰めが甘くなりがちなタイプなので、「成長しているところ」を「人前で」褒めながら、ゆっくり時間をとらせて、検算などをしっかりやらせることが大切。

④ の、芸術家タイプへの指導法

一般論で語らず、個性を認めて指導する

常に、「君は変わっでるね。でも、そこがいいよね」といった声がけをしていくべき。「みんながやっている」など、ひとくくりにされることを極端に嫌うので要注意。集団塾に入れるよりも、家庭教師をつけ、「他の人とは違うテキスト」等を使うほうがよい。

⑤ の、研究者タイプへの指導法

バランスよく受験対策ができるように配慮を

気になると嫌でも勉強をするタイプだが、勉強をする内容が「細かく」なりがち。大学などでは花開くかもしれないが、若い時には不必要なまでに細かい情報を得ようとするので、受験に出ないことに時間を割かないよう注意が必要。

⑥ の、堅実 家タイプへの指導法

細かな計画を一緒に立てる

例えば、1冊の参考書や問題集の5 ページから10 ぺージまでを今日やろう、ゲームはその後にやろう、明日は1ーページから15 ページまでやってから買い物ね、などと、ある程度先が見通せる計画を立てて、それを一緒に実行するとよい。

⑦ の、楽天家タイプへの指導法

バラ色の未来を語ってやる気を出させる

山ほど参考書や問題集(どれも薄いもの) を買い与え、好きなところからやらせるとよい。あるいはマンガでわかるようなものが向いている。ビリギャルさやかちゃんやY子はこのタイプ。薄い問題集をたくさん解かせ、明るい未来について語り続ける。

⑧ の、統率者タイプへの指導法

「勝つか負けるか?」という視点で声がけをする

Y子はこのタイプでもある。指示をされるのを嫌うタイプ。むしろ頼って、相談をすると、やる気になる。白黒をハッキリつけたがるタイプで、「今日中にこの課題を終わらせたら、君の勝ちだね」というもって行き方をすると、勉強を乗り越えようとする。

⑨ の、調停者タイプへの指導法

「タイマー」を使って、時間の意識を強く持たせる

マイペースで、他人のペースに無関係に行動し、すぐに手を抜くタイプ。目標達成を絶対にしないと! という意識が低いので、タイマーで時間をセットして、その間に小さな区切りで勉強をさせる。達成感を積み重ねると意識が変化する。

「ピグマリオン効果」

 教師や親が「本気で」期待した場合、子どもは無意識のうちにそれに応 えるという効果のこと。親御さんや教師、そして部下を持つ管理職は知るべき知識の一つ。

 「うちの子のやる気スイッチは、どこにあるのでしょう? 」「先生、うちの子のやる気スイッチを押してください」という宣伝がある。しかし基本的に、そんな都合のいいものはない。

 小さな「できる」「できた」体験を積み重ね、次第に上達してくる。
 指導者・教師は、勉強を教えるとか、指導するとか、そういうことではなくて、勉強を題材として一緒に遊ぶ。その中で、その子に対する期待を伝える。これが最初の指導者・教師の重要課題。

勉強のことを話題として、子どもと遊べるか。

女の子に多い、「歴史学習嫌い」

 無味乾燥した単語の羅列を嫌う子は多い。講義形式の授業を行うクラスではその傾向が強くなり、特に女子に傾向が顕著に表れる。

「勉強の仕方が分からない」という、偏差値30の子に効果的な歴史学習法

『学習まんが少年少女日本の歴史(23冊セット)』(小学館)を、ひたすら読む。
 歴史は”歴史に名を残すレベルの偉人が出演する昼ドラ” レベルにしてしまうのがよい。自分の息子の奥さんを恋してしまう元天皇のお坊さんとか、現代社会ではありえないようなことをする主人公がたくさんいて、月9 のドラマとか、昼ドラや韓流ドラマが好きな子には、「それの百倍おもしろいストーリーが満載なんだよ」という説明をする。

 『学習まんが少年少女日本の歴史』を読みながら、「自分がドラマの監督だったら、誰をこのキャラの配役にするか、考えてごらん」と言って読ませる。

 時代背景や敵対関係、
仲間関係なども把握 しやすくなる。

「山のてっぺんを見て歩く」学習法と「足下を見て歩く」学習法

山登りで、山のてっぺんだけを見て歩いたら、ガケから落ちて、死んでしまう。
山登りでは、ずうっと足元を見て歩かなければいけない。

 たまに、頂上を見て、あそこまでたどり着いたら、どんな風景が見えるだろうな〜、って思いながら、また目を足元に戻して、また一歩、また一歩って歩んで行く。

 足元しか見えないと、つらくて、悲しくって、つらくて、つらくて、しょうがないんだけど、そうして登っていくと、いつの間にか、思いがけず高いところまで登っていて、すごい風景が見えたりする。

 だから、ステップを小さくわける。
 頂上という目標に行き着くまでの、足下を見続けるための目標を設定することが大切になる。

女生徒

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