『大空と弟』ブギウギの歌詞は、楽譜をできるだけ忠実に再現

2023年12月7日2023年12月8日

ブギウギで趣里さんが歌った『大空と弟』に、絶賛の嵐。この曲は、存在は明らかだったが、楽譜も無く、音源を記録したものも一切残っていない「幻の曲」として知られていた。だが、2019年に、ひょんなことから「楽譜」が見つかる。今回ブギウギの中で趣里さんが歌った曲は、その楽譜に沿いできるだけ忠実に再現したものだという。そして、劇中で趣里さんが歌うことで、新たな息吹をもってこの曲はよみがえった。このブログでは、「大空の弟」にまつわるエピソードを探る。

ブギウギ中の『大空と弟』の歌詞

かねてより　我らを苦しめた　憎い顔した敵軍ども　日頃鍛えたこの腕で　重い小銃抱え込み　がんと突撃しています　　○○隊にて　六郎より

ラジオや新聞に　もしや六郎の部隊の名が書いてないかと　どこにどうしているのやら
いつも○○○部隊　○○方面　○○隊　○○○ばかりなり　○○○では分からない

姉さんも　弱い体のお父さんと　いつもあなたのお話ばかり

ご親切な　隣組の皆様方の　熱い情けに守られて　何一つ　不自由なことも無く　暮らしています
これもひとえに弟の　お陰と思い　姉さんは　遠い戦地を偲ぶごと　あつい感謝に　泣けている

「あさイチ」の司会を担当している華丸さんが「あんなストレートな歌詞だとは思わなかった。」と述べている。
確かに、感情が前面に出たストレートな歌詞だと言える。

だが、弟の八郎（劇中の六郎）を殺された姉の心情を思うと、ストレートな歌詞でなければ笠置さんの心を癒やせない。
羽鳥善一（服部良一）氏は、そう思ってこの曲を作ったはずだ。

素直でストレートな歌詞だからこそ、この歌を聴いて多くの人が涙した。
劇中でこの歌を歌い終わった後、その場に崩れてしまった趣里さん（福来すず子）の姿、その演技に、思わず鼻をすする人も多かっただろう。

『大空の弟』の楽譜が再発見されたのは、2019年

服部良一氏が弟を失って失意のどん底にある笠置シヅ子さんのために作曲した『大空と弟』という曲があることは分かっていた。
だが、楽譜も曲を記録した音源等も失われていて、長く「幻の曲」とされていた。

そして、ついこないだの2019年、楽譜が見つかった。
これについては、朝日新聞が以下のように伝えている。

「ブギの女王」で知られる歌手笠置シヅ子（１９１４～８５）が、戦時中に戦地で亡くなった愛弟・亀井八郎への思いを込めて歌った「大空の弟」の楽譜が見つかった。作詞・作曲は、笠置を育てた作曲家服部良一（１９０７～９３）。曲名は残されていたが、具体的な内容を示す資料が確認されたのは初めて。この楽譜をもとにした曲を、２３日から始まる笠置の人生を描く公演で、主演する演歌歌手の神野美伽（みか）さんが歌う。
朝日新聞デジタル　2019，11月9日より

『笠置の人生を描く公演』とは

2019年に吉本興業が制作した笠置の伝記ミュージカルのこと。
演題は、「ＳＩＺＵＫＯＩＱＵＥＥＮ　ＯＦ　Ｂ００ＧＩＥ　ハイヒールとつけまつげ」
この上演のために、改めて服部良一の遺品を探したところ、楽譜が発見された。
だが、その楽譜は所々が読めない状態となっていたので、演出の白井晃と曲本のマキノノゾミがアレンジを加え劇中で神野美加が歌った。