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「らんまん」万太郎の借金を肩代わりする財閥三菱:皆川猿時演じる岩崎弥之助

「らんまん」槙野万太郎のモデル牧野富太郎先生は、明治26年(1893年)9月に松村任三教授(「らんまん」徳永教授)の計らいで、帝国大学理科大の助手に就任することが出来た。だが月給は15円。このころ2000円の借金があったと言われるので、焼け石に水状態。その窮状に救いの神が現れる。財閥三菱の岩崎家だった。「らんまん」では、皆川猿時さん演じる三菱の当主の岩崎弥之助氏がその人、と描かれている。では、史実ではどうだったのだろうか。また、岩崎弥之助とはどのような人物だったのか。

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目次

「らんまん」万太郎の借金を肩代わりする財閥三菱:皆川猿時演じる岩崎弥之助

「らんまん」槙野家は、借金が膨らみどうにもならない状態になっていた。
そこで寿恵子(浜辺美波)は、疎遠になっていた叔母の笠崎みえ(宮澤エマ)たち夫婦が営む新橋の料亭、「巳佐登(みさと)」に借金を無心しに行った。

「巳佐登」は、江戸時代から続く名店で、新政府の役人や経済界の大物も通う老舗として描かれている。

寿恵子の叔母:宮澤エマさん演じる笠崎みえ(NHK「らんまん」より)

はじめは、寿恵子を怒っていたみえ叔母さんだったが、内心寿恵子を娘のように思っているので、寿恵に「100円」をポンと貸してくれる。

だが、100円を貸す条件として、寿恵は「巳佐登」で仲居として働くことになった。

寿恵さんは、そこで三菱の当主岩崎弥之助(皆川猿時)と出会う。

皆川猿時さんは、どちからというと先代の岩崎弥太郎の方に似ているように私には思えるが、岩崎家の人間らしい良い味を出している。

岩崎弥之助(Wikipediaより)
皆川猿時さん演じる岩崎弥之助(NHK「らんまん」より)

弥之助の提案した「菊比べ」に寿恵も参加する

大秀才岩崎弥之助を皆川猿時さんが演じると、よい意味で力が抜け愛嬌がある岩崎弥之助になる。

その弥之助がお座敷に呼んだ芸者の菊千代(華優希)にちなんで、「菊比べ」をすることになった。

「菊比べ」(NHK「らんまん」より)

それぞれが、見事な菊を披露した。
その中で寿恵は、素朴で飾り気が無い「ノジギク」を皆に見せた。

ノジギク(Wikipediaより)

ノジギクは、日本に自生する全ての菊の原種。

「原種のこの花を人々は創意工夫して、華々しい菊を作り上げた。そこには、日本人の花を愛する気持ちが表れている。」

寿恵子の見事なプレゼンに岩崎弥之助始め参加者たちは、心を動かされた。

雑草という名の草は無い。

とは、牧野富太郎先生の有名な言葉。

だから史実としては、「菊を競わせ、優劣を付ける」などということに、富太郎先生が参加するわけはない。
だが、テレビ的にはとても面白く描かれていた。

「菊比べ」の結果は、寿恵の菊は負け。
視聴者が、がっかりしているところに、岩崎弥之助が、みえ叔母さんの部屋を訪れるシーンが続く。

「おや」と思わせて、

寿恵の「ノジギク」を300円で買い取る。

と、みえ叔母さんに話す。
皆川猿時さん演じる岩崎弥之助、かっこよすぎる。

富太郎先生の借金を建て替えた三菱:岩崎家にまつわるエピソードの真実

富太郎が、岩崎家から借金返済の恩を受けたのは、明治30年代(1897年~)の前半だろうと考えられる。

ちなみに、富太郎が帝国大学理科大学の助手になったのは明治26年(1893年)、31歳の時なので、それから数年後の話だったと思われる。

助手の給料は15円。米価を元に今のお金に直すと、おそらく15万円ぐらいの月給。
このとき、2,000円の(現在の貨幣価値で、約2000万円)の借金があった。

給料がもらえることになったとしても給料の130倍以上の借金なので、ほぼ返せる当てが無い状態だったのだ。

財閥三菱の岩崎家と、どうやって縁を得たのか

牧野富太郎先生の窮状を危惧し、骨を折ってくれたのは、富太郎先生の同郷の政治家、田中光顕(みつあき)らだった。

田中光顕(Wikipediaより)

田中光顕は、あの伊藤蘭林(らんりん)先生門下の先輩に当たる。
田中が、同じ土佐出身の三菱岩崎本家に「牧野富太郎」の窮状を話てくれた。

これにより岩崎本家は、富太郎の借金2,000円をきれいに払ってくれた。
このときの岩崎本家の人間が、岩崎弥之助だろうと言われている。
ただし、岩崎弥太郎だったという「記録は無い」というのが真実。

弥之助は、明治26年(1893年)に、甥の久弥(初代岩崎弥太郎の長男)に、三菱総裁の座を譲っている。
もしかしたら、「槙野万太郎の窮状を救った岩崎本家の人間」というのが、岩崎久弥であった可能性も、無くは無い。

富太郎の借金地獄は、三菱の援助で無くなったのか

2000円の借金を三菱の岩崎本家に肩代わりしてもらい、ひとまず窮地を脱した富太郎と寿恵子だった。

だが借金地獄は、これで終わらなかった。
富太郎の月給15円(およそ15万円)生活は、50歳ごろまで続く。
松村任三教授(徳永教授)は、助手の富太郎の給料を20年間据え置いたからだ。

さらに、松村教授と富太郎の折り合いが歩くなり、再び大学を追い出されてしまう。
つまり、富太郎の借金生活は、またもや深刻さを増していくことになるのだった。

この借金は、どうなるか。
実は、また富太郎と寿恵子を救う人物が現れるのだが、それについては別の機会に…。

万太郎と寿恵子のピンチを救った岩崎弥之助とは、どういう人物だったか

ディーン・フジオカ演じる坂本龍馬(NHK「らんまん」より)

岩崎弥之助は、三菱の創始者岩崎弥太郎の16歳下の弟として、高知県土佐に生を受けた。

三菱は、弥之助の兄弥太郎が、坂本龍馬海援隊の残務を引き継ぎ、『海運と貿易が日本を変える』という考えの実現を目指して生まれた。

明治に入り、岩崎弥太郎は、土佐藩から長崎商会(開成館長崎出張所)の主任に抜擢される。

弥太郎の才能を見抜き、主任に抜擢したのは後藤象二郎
さらに後藤象二郎の後ろ盾で、大阪商会(開成館大阪出張所)に移動。責任者に抜擢された。

明治3年(1870年)、土佐湾の別名にちなんだ九十九商会(つくもしょうかい)が発足し、弥太郎は土佐藩から事業を監督する立場を命ぜられた。

土佐の郷士が、土佐藩の少参事に昇進

九十九商会を監督することになった岩崎弥太郎は、土佐藩の少参事の身分となった。
土佐藩大阪藩邸の責任者であり、少参事は中老格。
押しも押されもせぬ土佐藩の幹部。

弥太郎の身分は、土佐の武士としては最下級の郷士。
その郷士が、藩の中老身分になったのだから大出世だ。

時代の変革期とはいえ、岩崎弥太郎という人物が非凡な才能をもった人物であったことは間違いない。

九十九商会の「海運・貿易」から、主軸を「陸」に移し現在の三菱の枠組みを創った男:岩崎弥之助

三菱は、「最後の財閥」「最後の企業集団」と言われる。
九十九商会が、のちの三菱の母体。
海援隊の後を継いだ九十九商会は、「海運と貿易」を目指していた。

今の三菱の骨組みを作った男:岩崎弥之助とは

弥之助は、嘉永4年(1851年)、兄弥太郎と16歳違いの岩崎家の次男として生まれた。
弥太郎からも、初めての男兄弟として大変にかわいがられていたという。

21歳の時、弥太郎は米国に留学し、英語や民主主義について学んだと言われている。
だが、父の死により、17か月あまりの留学期間で帰国することになった。

「海」から「陸」に舵を切った三菱二代目:岩崎弥之助

帰国後は、兄を助けるため明治6年(1873年)に三菱商会と改称した会社に入社。
弥之助は、弥太郎があまり積極的ではなかった陸の産業「高島炭鉱の買収」を成功させる。

明治18年(1885年)に、創業者の岩崎弥太郎が死去する。
二代目となった弥之助は、それまでの三菱の主力「海運業」を切り離し、『三菱社』を発足させた。

事業の柱を「海」から「陸」へと移し、同時に諸事業の多角化を図った。

明治23年(1890年)には、丸の内と神田三崎町の土地,合わせて約10万7千坪を一気に購入し、西洋建築のビジネスセンターを誕生させた。

このようにして、今の三菱グループの骨格を創り、もう一人の三菱の創業者とまで言われている。

岩崎弥之助の死

現在の三菱グループの骨格を創った岩崎弥之助は、創業者弥太郎の長男久弥に社長の座を明治27年(1894年)に譲っている。
会社を、兄の血筋に返した。

そして、明治41年(1908年)57歳で生涯を閉じた。
病のため病没とあるが、何の病だったのかは明確には記されていない。

ちなみに兄の弥太郎の死因は、胃がんであった。

まとめ

  • 史実でも、岩崎本家の人物に、富太郎は借金の返済をしてもらった。
  • 岩崎本家の人物は、岩崎弥之助と思われるが断定する記録はない。もしかすると、岩崎弥之助の後を継いだ、岩崎久弥であった可能性も残される。
  • 岩崎本家の人間との縁は、笠崎みえ叔母さんの店「巳佐登」で働き始めたことでは無く、富太郎の伊藤蘭林先生門下の先輩、田中光顕の尽力による。
  • 岩崎本家から援助された借金返済の額は、2000円。現在の約2000万円ぐらいか。
  • 岩崎本家から、借金を全て返済してもらったが、この後も借金生活は続く。
  • 富太郎の給料は、50歳まで15円のまま。松村任三教授と折り合いが悪くなり、再度大学から追い出される。
  • 岩崎弥之助は、三菱創業者の岩崎弥太郎の16歳下の弟。
  • 岩崎弥之助は、現在の三菱グループの骨格を創った人物。
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