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朝ドラ「風、薫る」第8話感想|亀吉の暴力と捨松の史実を元教師が読む

こんにちは、なおじです。

朝ドラ**「風、薫る」第8話**は、2026年4月8日(水)放送。

娘・環(たまき)を守ろうとするりん、自分の行き先が見えない霧の中にいる直美、そして鹿鳴館の貴婦人として輝きながら内側で疲れ果てている捨松

三人の女性が、それぞれの「霧の中」で、それぞれの戦いをしていることを描いた回でしたね。

今回は、史実との違いも調べながら、なおじが感じたことを書いていきます。

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この記事でわかること

  • 第8話の主なあらすじと見どころ
  • 亀吉の母・奥田貞とはどんな人物か
  • 史実の大山捨松の子供と、ドラマの違い
  • 直美と捨松の「出会いの場面」が意味するもの
  • なおじが感じた「憎々しい亀吉」の演技論
目次

風薫る第8話・娘の名前は「環(たまき)

書きづらい名前と、親の冷たさ

りんと亀吉の娘の名前は、環(たまき)

亀吉が「環、書きずれえ名前だなあ」と呟くんですが、もう笑えません。

娘に向かって最初から文句ですよ。

嫌な親だよなあ、亀吉さん。
娘にまでこんな態度で接するのか、と思わずテレビに語りかけてしまいました。

演じている三浦貴大さんが「亀吉をとことん嫌いになってほしい」とインタビューで語っていたそうです。
なるほどなあ、と思います。

本当に憎々しい。

でも裏を返せば、それだけ三浦貴大さんの演技が巧みだということ。

さすが山口百恵さんと三浦友和さんの息子、という血筋の確かさを感じます。

史実と、ちょっと変えてきた第8話

ここで少しだけ史実の話を。

ドラマ「一ノ瀬りん」のモデルは、大関和(おおぜき ちか)という那須出身の実在の女性です。

史実の大関和には子供が二人います。

最初に生まれたのは長男・六郎(ろくろう)(1877年・明治10年)、次に長女・心(しん)(1880年・明治13年)という順番です。

つまり史実では男の子が先で、女の子が後

ドラマでは最初の子が娘・環(たまき)として描かれていますから、子供の性別を入れ替えてきたということになりますね。

これがドラマが「史実とちょっと変えてきた」ポイントの一つ。

ちなみに心(しん)さんは、わずか20歳という若さで亡くなっています。

母・和の背中を見て看護の道を志した娘の、短い生涯。

ドラマの「環」がこれからどんな運命を歩むのか、史実を知っているだけに少し心配になってしまいます。

亀吉の母・奥田貞という存在

グサグサくる嫌み台詞の連発

亀吉が今夜も飲み歩いて帰ってこない。

そこに登場するのが亀吉の母、奥田貞(おくだ さだ)

演じているのは根岸季衣(ねぎしとしえ)さんです。

「かわいげのねえ嫁が居たら、亭主も家にいたくねえべな」

……グサグサくるねえ。

35年間、教壇に立ってきたなおじからすると、こういう台詞を言う人間が一番怖い(笑)

悪意を「正論っぽい言い方」に包んでくる。

これ、授業参観のあとの保護者会でもたまにいましたよ。
「先生のためを思って言ってるんですけど」って前置きしてから、グサッと来る感じ。

亀吉の劣等感という悲劇

亀吉は、りんの書きかけの手紙の文字を読もうとするけど、読めない。

りんが「こづつみ」と読み上げた瞬間、突然怒りだす。

どうせ俺の悪口を書いていたんだろう、と。

劣等感の塊なんですよね、亀吉という人は。

元家老の家柄を手に入れれば、自分のコンプレックスが解消されると思って縁談を持ち込んだんでしょう。

でも、非の打ち所のない素晴らしい嫁・りんが来たことで、逆に劣等感が増してしまっている。

りんを愛せないのは、りんが悪いんじゃなくて、亀吉自身の内側の問題‥。

亀吉も、ある意味で不幸な人間だよなあ、と思ってしまう。

劣等感育てて 鬼になる かわいそうなひと(なおじ)

👉関連記事:朝ドラ風、薫る第4話・信右衛門「生きろ」の重みと謎

風薫る8話・火事と家出・りんの決断

環を嫁に出す算段と、女学校の夢

環を女学校に入れることを夢見るりん。

将来のある娘の姿を想像して、嬉しそうに微笑む。

でも、その「いいねえ」のトーンが徐々に変わっていく。

娘の未来を喜びながら、自分がそこにいない現実に気づいてしまうような、複雑な表情‥。

一方の亀吉は、環をすぐに嫁に出す算段をしている。

女学校に入れてくれとりんが頼むと、亀吉が激高する。

倒れた行灯の火が燃え移る

亀吉が、りんを押し倒す。

物を投げて、りんにぶつける。

環をかばうりん。

倒れた行灯(あんどん)の火が小物に燃え移る

このとき亀吉の母・貞が入ってくる。

そして亀吉と母は二人で逃げてしまう。

これは、ダメだ。

りん親子を火事の中に残して、二人だけ逃げるのか。

もう見ていられない展開でしたが、でもリアルだよなあ、とも思う。

こういうDVと、DV加害者を守る家族の構図は、昔も今も変わらない。

社会科の授業で「明治の女性の権利」を教えていた頃、教科書の文字ではなかったこの「リアル」を生徒に伝えたかったなあ、と改めて感じました。

ここで爽やかな主題歌がなおじの頭の中に流れたんですが、ドラマの内容に全く合わない(笑)

でも、この爽やかさが救いになっている。

直美と捨松の出会い

霧の中にいる直美と捨松

直美

その頃、江戸(東京)では、直美が野菜を協会に運んでいた。

そこに、捨松の馬車が通りかかる。

足りないところなど何もない身分にハタから見える捨松。

きれいに着飾り、高級な馬車に乗る捨松‥。

しかし捨松は、捨松なりに悩んでいたんですねえ。

「ああ疲れた。私は本当にこの国のためになっているのか。何のために結婚したのか」

と、英語で呟く捨松。

直美は、それを聞き取っていた。

ここ、なおじ、思わずテレビに向かって叫んでしまいましたよ。

「今だ!英語で話しかけろ、直美!」

……でも直美は話しかけなかった。

惜しい。実に惜しい。

でも考えてみれば、直美はまだ自分自身が分かっていない。

自分がどこに向かっているかも分からない。霧の中にいる。

だから話しかけられなかった、というのは、人物の内面として筋が通っているんですよね。

捨松の台詞に鳥肌が立った

捨松

「さあ、戦いましょう。これが私の人生」

捨松がそう呟くとき、なおじは史実の捨松が浮かんでしまって鳥肌が立ちました。

華やかに見える捨松の内側に、何十年分もの「本当に役に立っているのか」という問いが積み重なっていた。

あの一言は、その重さをぜんぶ背負った言葉だったんです。

捨松が史実で本当に戦ったこと

史実の大山捨松は、日本で最初に看護婦免許を取得した女性です。

アメリカ留学中、ニューヘイブン病院で実地看護に従事し、免許を取得して帰国しました。

帰国後、有志共立東京病院(現・東京慈恵会医科大学附属病院)を見学した捨松は、看護婦の姿がないことに愕然とし、院長・高木兼寛に「日本に看護婦養成学校が必要だ」と直談判。

その言葉が、日本初のナイチンゲール式近代看護教育の扉を開けることになります。

「鹿鳴館の貴婦人」は看護の武器だった

さらに1887年(明治20年)には**「日本赤十字篤志婦人会」の発起人**となり、日清・日露の両戦争では自ら日赤の看護婦として戦傷者の介抱にあたりました。

鹿鳴館でのチャリティー・バザーで看護教育の資金を集めたのも捨松です。

「鹿鳴館の貴婦人」は社交のための飾りではなく、看護と女子教育のための武器だった。

直接的な交流の記録は確認できていませんが、捨松が切り開いた看護教育の世界に、大関和(ちか)や鈴木雅という女性たちが続いていったことは間違いありません。

直美はまだ、自分がその流れに乗ることを知らない。

この三人の「霧の中」が少しずつ交差し始める場面が、第8話の白眉だったということだったんですね‥。

👉関連記事:朝ドラ風薫る第5話・捨松が英語堪能だった史実の理由

りん「また間違えた」の意味

実家に逃げ帰るりん

火事のあと、りんと環は実家に逃げ帰る。

「間違えた、また間違えた」と呟くりん。

第3話でも呟いていた台詞です。

👉関連記事:風、薫る第3話|りんが「また間違えた」と泣いた理由

りんが「間違えた」と言うたびに、前の「間違え」が積み重なって見えてきて、胸が痛い。

「やめます、わたし奥様やめる」と宣言するりん。

史実との違い・東京へ向かうのか

史実では、実家に逃げ帰ったりんのモデルは、その後実家の使いを追い返して、自力で次の道を切り開いたようです。

でもドラマでは違う展開になるのかもしれない。

最後、実家の戸をドンドンと叩く音。

怖い響きでしたね。

りんと環は東京に逃げるのか。

それとも、実家が温かく受け入れてくれるのか。

次回が楽しみです。

👉関連記事:風、薫る相関図|登場人物50人を5グループ別に読み解く

よくある質問(Q&A)

Q. 亀吉の母・奥田貞を演じているのは誰ですか?

A. 亀吉(三浦貴大)の母・奥田貞(おくだ さだ)を演じているのは、根岸季衣(ねぎしとしえ)さんです。「亀吉と二人三脚で奥田屋を大きくしてきた」という自負が強く、家柄を手に入れようと一ノ瀬家との縁談を持ち込んだ人物として描かれています。

Q. 史実の大山捨松には子どもが何人いましたか?

A. 史実の大山捨松は大山巌との間に久子(長女)・高(長男)の実子2人を持ちました。また、前妻・沢の子である信子・芙蓉子・留子の3人も分け隔てなく育てました。最初の実子は1884年(明治17年)生まれの長女・久子(女の子)です。ドラマでも最初の子が「環(たまき)」という女の子なので、この点は史実と合っています。

Q. りんの「また間違えた」という台詞はどういう意味?

A. りんが「また間違えた」と呟く場面は第3話から繰り返し登場する台詞です。亀吉との結婚そのものへの後悔、そして自分の判断を信じられない心理を表していると思います。第8話での「やめます、奥様やめる」の宣言と合わせると、りんが一つの殻を破るターニングポイントの台詞として機能しています。

Q. 直美が捨松に英語で話しかけなかったのはなぜ?

A. 直美はアメリカへの強い憧れを持ちながら、この時点ではまだ自分の方向性が定まっていません。「霧の中」にいる状態で、捨松の英語を聞き取りながらも、踏み出す勇気も言葉も見つからなかった。これが直美と捨松の「出会いの場面」として描かれており、二人が本格的に交わるのはこれからの展開になると予想されます。

Q. 第8話のタイトル「灯(ともしび)の道」はどんな意味?

A. 第2週のサブタイトルが「灯(ともしび)の道」です。行灯の火が燃え移る火事の場面、捨松の「戦いましょう」という言葉、りんの「やめます」という決断——すべてが小さな灯を手探りで探している人たちの話であることと重なります。「道を照らす灯」は、まだ誰にも見えていない。でも、必ずどこかにある。そんな意味が込められているのかもしれません。

筆者紹介|なおじ

なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。
退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。

社会科・歴史を長年教えてきたので、明治時代の女性の権利や、史実と朝ドラの比較が得意分野です。「風、薫る」のような歴史ドラマを見るたびに、教壇で語れなかったリアルを今ここで書きたいと思います。

現在は8つのブログでドラマ芸能政治歴史スポーツ学び書評を書いています。

風薫る8話

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