MENU

風薫る7話・りんが泣けなかった夜、元教師が読む亀吉という人間

こんにちは、なおじです。

今日の「風、薫る」第7話、見ましたか?

りんが亀吉に嫁ぐ回でしたね。

なおじ、見ていてじんわりと胸が痛くなりました。

結婚式から初夜、そして出産まで。

「風薫る 7話 りん 亀吉」の物語を追っていくと、りんがずっと感じていた「さみしさ」の正体が、だんだんと見えてくる。

元教師の目線で、じっくり深掘りしてみました。

🖊️ この記事でわかること

  • 風薫る第7話のあらすじと注目ポイント
  • 亀吉・貞の言動が示す「奥田家の空気」
  • りんの母・美津が黙った理由と、その意味
  • りんがなぜ泣かなかったのか(泣けなかったのか)
  • 元教師視点で読む「見て見ぬふりをする大人」の影響
  • 史実のモデル・大関和の結婚との比較
  • 直美の2銭が意味するもの
目次

結婚式に漂う「不吉」の空気

「息子と同じ年の嫁」という視線

りんが亀吉と結婚する場面。

祝いの席なのに、どことなく重苦しい空気が漂っていましたよね。

「息子と同じ年の嫁。この旦那でやっていけるのか」という目線を向ける参加客がいて。

品がないといえばそうなんですが、ドラマとしてはこれが「場の空気を示す装置」として機能していた。

りんのこれからへの不安を、台詞ではなく「周囲の視線」で表現する演出。

「風、薫る」という爽やかな題なのに、この物語やけに重い‥。

そんな中、柴田屋と松永屋(ザ・たっち)が顔を出したのは、重苦しい場面のちょっとした息抜きにもなっていました。

ちょっとありがたかった。

りんにとっての結婚の「重さ」

さて、りんの結婚は、「望まぬ嫁ぎ先に行くしかなかった」という側面が強かったですよね。

明治15年(1882年)ごろ、女性が自分の意思で結婚相手を選ぶことは、身分のある家ほど難しかったのでしょうね。

元家老の家の娘であるりんが、運送業者の亀吉のもとへ嫁ぐ。

その背景には、一ノ瀬家の没落という厳しい現実がある。

「望んだ結婚」と「やむを得ぬ結婚」では、その後の気持ちの持ちようが全然違う。

これ、明治女性のあるある‥。

教室でも同じで、「自分で決めた」と思っている生徒と「やらされている」と思っている生徒では、同じことをやっていても顔が全然違う。

何とも悲しい‥。

👉関連記事:一ノ瀬りんが看護を選んだ真相|朝ドラ風薫るWヒロイン

鯛を食い荒らす亀吉と黙るりんの母・美津

美津が「何も言えなかった」理由

祝いの宴で、鯛を食い荒らしている亀吉。

その様子をちらっと見た、りんの母・美津(水野美紀)。

でも、何も言わない。

ここ、なおじはじっと見ていました。

美津の立場で考えると、娘が嫁いだ家の男に、嫁いだその日に口を出せるはずがない。

言いたくても、言えない。

嫁ぎ先の夫に文句を言えば、りんが後で困る。

だから黙った。黙るしかなかった。

これは美津を責められないですよ。

でも、元教師として正直に言うと、問題行動を見て見ぬふりする大人の存在が、その行動をいちばん長引かせるんですよね。

亀吉という人間の周りには、ずっとこういう「黙る大人」がいたんじゃないかな。

本音を、言えない、言わない文化。

それが何年もかけて、今の亀吉を育てたのかもしれない。

なんて、序盤から亀吉の周囲を分析してしまうなおじです(笑)。

鯛を食い荒らす
祝いの宴よりも
胃が満ちる
(なおじ 即吟)

美津の沈黙とりんの孤独

でも、美津の「黙り」は自分を責める気持ちでもあった‥。

りんの手前、何も言えない。
そして、一ノ瀬家のために嫁いだ、りんへの後ろめたい思い‥。

これは、品の悪い婿に、何も言えないよなあ。

おそらく、りんも夫の鯛の食べ方を見て、何かを何かを感じていたはず‥。

この結婚、はじめから破綻要素ばかり‥。

一番しんどいのは、「この二人は合わない」と全部わかっていて黙っていることですよ。

りんが「さみしい」と感じたのは、結婚式のこの瞬間からだったかも‥。

初夜に酔い潰れ・怒鳴り声の正体

「ござる親父」事件をどう読むか

その夜。亀吉は酔い潰れて寝ていた。

初夜に酔い潰れて寝るって、どういうことなんだ(笑)。

今日は何の日だと思ってるんだ、亀吉!
しかも、部屋には母の貞。マザコンかい!(笑)。

で、「ござる、ござる、うるせえ親父はだれだ」と怒鳴り声。

飛脚上がりの自分に頭を下げるのはプライドが許さないだろうと、嫌み。
『なんだ、こいつ』と、日本中の視聴者が呟いたことだろう。

でも、こういう人いますよ。

日頃は黙っているのに、急にどこかでぽーんと爆発する。

抑えてるものが大きいほど、出方がでかくなる。

極めつけは、亀吉に同調して貞も「やっぱり氏族の娘は気位が高い」とりんをチクリ。

やだやだ、この家(笑)。

でも、少し立ち止まって考えると。

明治という時代の「身分の混乱」が、この一家の歪みとして表現されているんですかね。

元武士の家は没落し、元飛脚の商人は力を持つ。

しかしその間で、両方の「プライド」がぶつかり合っている。

亀吉や貞のひがみは、個人の問題というより時代の問題なのかも。

ドラマは「一家族の話」として描きながら、その裏で「明治という時代」を見せている。

そういう構造?

実家のりんと父・信右衛門の思い出

その頃りんの実家では、母と妹が二人話をしていました。

信右衛門とりんの思い出ばなし‥。

縁側にぽつんと座るりん。

「父上は最後まで娘を気遣って、静かに旅立たれました」という言葉。

泣かない、泣けないりん。
対して、号泣する母・美津。

あれほど穏やかで、娘を最後まで気遣った父と、初夜に酔い潰れて怒鳴り散らす夫。

この落差を、りんはどう受け止めたのか。

父・信右衛門を知っているからこそ、亀吉との比較が、りんの心にじわじわと浸み込んでいく。

「男は、本当は亀吉のようなものなのか」。

りんがそう思い始めないかどうか、なおじはちょっと心配でした。

このドラマ、「対比」の使い方が印象に残りますよね。

美津が号泣して、りんが泣かない。

父が穏やかで、夫が怒鳴る。

静と動のコントラストで、りんの「さみしさ」が浮かび上がってくる。

👉関連記事:朝ドラ風、薫る第4話・信右衛門「生きろ」の重みと謎

味噌汁が薄すぎた問題と「仕事するな」発言

貞の「渋い顔で去る」という技術

奥様になったりん。

「味噌汁くらいはわたしが」と張り切って作ったら、貞が一口飲んで渋い顔。

何も言わずにそのまま去ってしまった。

嫌だねえ(笑)。

でも、直接「薄い」と言ってくれる人のほうが、ずっとやさしいですよね。

「渋い顔で去る」というのは、受け取る側が「何がいけなかったんだろう」と一人で答えを探し続けなきゃいけない。

正解がわからないから、ずっとモヤモヤが続く。

女中さんが「薄いんだと思います」とそっとフォローしてくれる場面は、ほっこりしました。

この女中さん、いい人だ。

貞にしてみれば、自分が「嫌みな人間」だということにすら気付いていないでしょうね。

なおじはこれを「嫌み文化で育った人の振る舞い」と読んでいます。

物事のすべてを、斜に構えて受け取る。
斜に構えて表現する。

学校内外でも、こういう伝え方しかできない人はいました。

すべての物事を、斜めから見、斜めから表現する人‥。

そういう人は、そういう見方・行動の仕方に「悪意が満ちている」ことすら自覚していないのでは、と思うことも‥。

まあ、りんはしんどかったでしょうねー。

ばけばけのダメ男、司之介や、勘右衛門おじじさまが恋しい(笑)

笑いがない、救いが無い‥。

「仕事するな」は優しさか支配か

亀吉がりんに「仕事なんかしねえでいい」と言う。

これ、「家にいればいいよ」という優しさでしょうか。

それとも「外に出るな」という支配でしょうか。

明治の世では「女性は家にいるもの」という価値観は普通

社会科の授業でも、明治民法のもとでは妻は「無能力者」とされ、法的な権利がほぼなかったんですよね。

だから亀吉の発言が「時代の常識の範囲内」だとも言えはします。

なぜ亀吉は、「仕事しなくていい」なんて言うのでしょうか‥。

そもそも、りんと亀吉は文化が違いすぎるんですよ。

家老の家で育ち、論語に触れ、父から「学問は翼になる」と教わったりん。

脚上がりの商家で育ち、プライドと劣等感を酒でごまかす亀吉。

うまくいかないよ‥。

同じ時代の同じ日本に生きていても、育ちが違えばこれほど世界が違う。

👉関連記事:朝ドラ「風、薫る」第1週まとめ|翼と刀・5話の見どころ

娘が生まれても・名前はもらえない

「家老の娘が産んだ子」という一言の歪み

りんは女の子を出産。

貞が言う。「家老の娘が産んだ子だ」。

ここ、今回のいちばん複雑な場面‥。

喜んでいるように見えて、その視線は孫ではなく「家の格付け」に向いている。

この子を、家の格を上げる材料としてだけ見ている。

冷たい一言だなあ。

生まれたばかりの子どもに向けられるべき言葉は「かわいい」でも「元気な子だ」でもいい。

それが「家老の娘が産んだ子」ってどういうことなんだ。

りんという個人ではなく、「家老の娘」という記号として利用している。

そして旦那の亀吉は、娘の名前すら付けない。

「さみしい」が7話全体を締めくくる

りんが「さみしい」と呟いた。

この一言が、7話全体を締めくくる言葉として残りました。

鯛を食い荒らし、初夜に酔い潰れ、今月分の酒を抱える夫。

結婚式の日から出産まで、りんがずっと「さみしい」と感じてきたんだなと。

「さみしい」という言葉は、単なる孤独感ではないと思う。

りんが感じているのは、「存在を見てもらえないさみしさ」です。

亀吉も貞も、りんを「一ノ瀬家の娘」「家老の娘」としてしか見ていない。

りんという一人の人間を、見ていない。

元教師として言えば、これは子どもが一番傷つく「見てもらえない孤独」に近いかな。

35年間、教室でいろんな子を見てきて、「自分のことをちゃんと見てもらえている」と感じている子と、そうでない子では、顔が全然違うんですよ。

目の輝きが違う。

りんの目が、この回ずっと曇っていたのは、そういうことだったのかもしれません。

そしてこの「さみしさ」が、りんが看護師を目指す動機のひとつになっていくのだとしたら‥。

人を見て、人に向き合う仕事がしたい。

自分がされなかったことを、誰かにしてあげたい。

りんが看護師を選ぶ理由が、ここからも生まれてくる気がします。

史実の大関和も、結婚に苦しんだ

大関和の最初の結婚と離婚

一ノ瀬りん

りんのモデルは、大田原市出身の看護師・大関和(ちか)(1858〜1932年)です。

史実によると、和は最初の結婚で長男・六郎をもうけた後、2人目の妊娠を機に里帰りを決意。

そのまま離婚するという経緯があります。

義父母が使用人を迎えによこしたものの、和はこれを追い返したんです。

なかなか気丈な人です。

ドラマのりんも、この流れを踏まえていくのかな‥。

苦しみが、看護師への夢を育てた

史実の大関和が看護師を志したのは、結婚の苦しみの「その後」でした。

ドラマのりんも同じ構造になるのかもしれませんね。

亀吉との結婚生活の「さみしさ」「悔しさ」「自分の存在を認めてもらえない経験」が、やがて「人を助ける仕事をしたい」という動機へと結びついていく‥。

苦しみが夢の種になる。

これがこのドラマの骨格なのだとしたら、第7話はりんにとって「旅立ちのための痛み」を描いた回だったことになりますよね。

直美の2銭・もうひとつの受難

大谷直美

マッチ工場での「泥棒女」扱い

一方、東京の直美(上坂樹里)は新しいマッチ工場で、たった2銭の給金をもらっていました。

前の工場で疑いをかけられた直美は、「泥棒女」と足元を見られている。

りんが「さみしい」なら、直美は「悔しい」。

ふたりのヒロインの受難が、静かに積み重なっていく第7話。

2銭が語る明治の女性労働

2銭という給金は、当時の女工の賃金として見ても、かなり低い水準です。

当時の女工の日給は製糸・紡績工場で10〜20銭が相場でした。

2銭は「そば一杯でほぼ終わり」の金額で、史実でもマッチ工場の最底辺水準の日給7銭以下をさらに下回っている。

それほどまでに直美は足元を見られているわけです。

社会科の授業で「女工哀史」や「製糸工場の過酷な労働条件」を教えていたなおじには、直美の現序はとても重く見えました。

直美が英語の勉強を続けているのは、この現実から自分の力で抜け出す武器を持とうとしているからでしょう。

「悔しさ」をバネにする直美と、「さみしさ」を抱えるりん。

ふたりがこの感情をどう昇華していくのか。第8話以降が、なおじは視聴を続けるバネにしたい‥。

でも、今の時点では、見続けるのが相当苦しい。

👉関連記事:朝ドラ風、薫る第6話・直美が涙をこらえた理由と敬天愛人

👉関連記事:風薫る第2週あらすじ・りんが逃げ直美と出会った5日間 

よくある疑問に答えます

Q1. りんのモデル・大関和の結婚はどうなったのですか?

史実によると、大関和は最初の結婚で長男・六郎をもうけた後、2人目の妊娠を機に離婚を決意します。

義父母が使用人を迎えによこしたものの、和はこれを追い返したという記録があります。

その後、母のもとで長女シンを出産。

この経験が、やがて看護師を志す決意へとつながっていきます。

ドラマのりんも、この史実の流れを踏まえていくと思われます。

Q2. 亀吉と義母・貞を演じるのは誰ですか?

亀吉を演じるのは三浦貴大さん、義母・貞を演じるのは根岸季衣さんです。

三浦さんは粗削りながらどこか哀愁のある男を、根岸さんは「言わない系の嫌み義母」を見事に体現していましたよね。

ちなみりんの母・美津(水野美紀)さんの「黙って見守る母」の表情も、今回印象的でした。

Q3. 直美の給金「2銭」は当時の相場として安いのですか?

明治期の女工の賃金は地域や職種によって幅がありますが、2銭は非常に低い水準です。

前の工場で「泥棒疑惑」をかけられた直美が足元を見られているという文脈から、意図的に低く抑えられている描写と考えられます。

社会科的には、当時の女性労働者の置かれた厳しさを示す場面でもあります。

Q4. りんはなぜ泣かなかったのですか?

「泣けない」という方が正確かもしれません。父・信右衛門を看取ったときも泣かなかったりん。りんにとって泣くことは「弱さ」ではなく「まだ終わっていない」証なのかもしれない。亀吉との結婚生活の中で「さみしい」と呟いたように、りんは感情をすぐに言葉にしない。でも最後に一言「さみしい」と言えた。それがりんの誠実さの表れだと、なおじは読んでいます。

Q5. 第7話で生まれた娘の名前は何ですか?

ドラマでは娘の名を環(たまき)とされるそう。

しかし第7話では亀吉が名前をつけることなく、貞が「家老の娘が産んだ子」と言うのみ。

りんが「さみしい」と呟く伏線として機能していました。

史実の大関和には長男・六郎と長女・シンがおり、ドラマでの子どもの描き方がどう変化するかも注目ポイントです。

筆者紹介|なおじ

なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。

社会科・歴史を長年教えてきたので、時代背景や史実との比較が得意分野です。

明治期の女性の立場や結婚制度の問題は、授業でも何度も扱ってきたテーマです。

「風、薫る」のような史実ベースのドラマは、元教師としてつい深読みしてしまいます。

現在は8つのブログでドラマ芸能政治歴史スポーツ学び書評を書いています。

風薫る7話

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次