こんにちは、なおじです。
今朝の『ばけばけ85話』を見て、35年間の教師生活で何度も見てきた光景を思い出しました。
真面目で、不器用で、自分に厳しすぎる子どもたち。
差し伸べられた手を、つかめない子どもたち。
ばけばけ85話でおサワが庄田の手をつかめなかった瞬間に、胸が締め付けられました。

この記事でわかること
- おサワが庄田のプロポーズを断った理由と「自分の言霊」による呪縛
- 第74話から繋がる野摘みの花束の伏線と対比構造の見事さ
- 円井わんが演じるおサワの微妙な心の揺れと好演技の光り方
- 明治時代の貧民窟と「自力で這い上がる」という強烈な自尊心の背景
- 来週の予告が何も語らない不安と松野家の借金完済後の展開
ヘブンの冗談が庄田を慌てさせた

ばけばけ85話は、ヘブンとおトキが庄田に優しく声をかけるシーンから始まります。
「無理して虫の声を聞かなくてもいい」という何気ない言葉。
この一言に、おトキたちの本音が表れていました。
「奥さんがいる」と断定するヘブン
**おサワは半分弱さん(庄田)**のことが気になって仕方ない様子、と話すおトキ。
おトキは「あんなおサワを初めて見た」と釜をかけるような言い方をします。
すると、ヘブンが庄田に「この人奥さんがいる、いいなずけがいる」と断定的な言い方をするんです。
庄田は大慌て。
「私は奥さんも、いいなずけも、好きな人もいない」と必死に否定します。
おトキとヘブンが「知っちょりますけん」「冗談、冗談」と笑うと、庄田がほっと息をつきました。
「日本語で冗談も言えるんですか」という庄田の言葉に、なおじは思わず笑ってしまいました。
おトキの精一杯の願い|大親友への思い
急に真面目な表情になるおトキ。
一つ唾を飲み込み、「差し出がましいようですが、おサワをお願いしてもええでしょうか」と庄田に頭を下げます。
庄田は向き直り、一呼吸息を整えて「はい、わかりました」と応えました。
深々と頭を下げるおトキの姿に、大親友おサワのためにできる精一杯の気持ちが込められていたんですね。
このシーン、見ていてぐっときました。
おサワの葛藤|元教師という言い訳の裏側

場面は変わり、おサワが夜遅くまで家で勉強していました。
母が「根を詰めると体を壊す」と心配すると、おサワは「壊してもええよ」と応じます。
婿探しの話題に慌てるおサワ
母は、「早いところ婿をもらって稼いでもらった方がいい」とおサワに言いました。
このあたりが、後の展開の伏線になるんですね。
「勉強を教えてくれる人はどげかね」と母親に言われ、ちょっと慌てるおサワ。
教師なら気が合うんじゃないかと言われると、おサワは「教師ではなくて、元教師だ」と変な言い訳をします。
つまり、元教師だから今は無職で婿候補にはならない、と暗に言いたいわけですか…。
心とは裏腹に。
円井わんが演じる微妙な心の揺れ
このあたりのおサワの微妙な心の揺れを、円井わんさんが見事に演じていましたね。
表情の変化、視線の動き、声のトーン。
すべてが「好きだけど認められない」という葛藤を物語っていて…。
元教師として35年間、生徒たちの微妙な心の動きを見てきたなおじには、この演技の繊細さが本当に刺さりました。
目が逸れる 好きと言えない 夜の勉強
庄田のプロポーズ|月25円に込めた覚悟

次の日、ついに錦織と庄田が山橋薬舗の料理屋で面会しました。
👉関連記事:ばけばけ78話|山橋薬舗の謎と白鳥倶楽部
遅い時間になっても、白鳥倶楽部に庄田がやってきません。
やっとのこと、庄田がめかしこんだ格好でやってきます。
錦織との約束と県知事への決意
庄田は、この服装で県知事閣下と会ってきたことをおサワに告げます。
「松江中学校の英語教師をやらせてください」とお願いをして、了解をもらってきたのです。
県知事と会う前に錦織とも話し合ったと告げる庄田。
おそらく、錦織の秘密は誰にも告げないとも話したんでしょう。
もちろん、おサワにもこの件は告げずに…。
庄田なら、間違いなくそうするはずです。
庄田の人柄を知っている錦織は、躊躇なく庄田が後任になることを承諾したのだろうと思います。
👉関連記事:ばけばけ83話感想|サワと庄田の初デートと錦織の決意
「かっこええですけん」と本音が漏れた瞬間
「おしえてる庄田さん、かっこええですけん」とぽろっと本音を言って、自分で慌てるおサワ。
おサワは、本当に庄田君が好きなんだなぁ…。
庄田は、何のために教師になることを決意したのか。
当然、プロポーズするためです。
「惚れてるんだ、おサワさんに。だから教師になることにした。来月から月25円。それでおサワの家の借金を返して、長屋を出よう」とおサワに告げたのです。
明治時代の教師の月給は20〜30円程度。
25円という金額は、決して高給ではありませんが、庄田にとっては精一杯の覚悟だったはず。
野摘みの花束が繋いだ伏線|第74話からの対比

住んでいる貧民窟から、川向こうをぼーっと眺めるおサワ。
そこにおトキがやってきました。
「おトキのせいだわ」という叫び
「ばかだよねえ、わたし」とおサワがつぶやきます。
トキに言ったのか、独り言か。
「うれしいし、うれしかったし、天にも昇るような、なんならもう天にのぼちょったのに、断る理由なんて、これっぽっちもなかったのに……つかめんかった」
「あの人の手、つかめんかった。どげんしてもつかめんかった」とおサワ。
「なして」と問うおトキに、立ち上がって向き直るおサワ。
そして「おトキのせいだわ」と言ったのです。
「私は、おトキにはなれん。おトキと同じ道はあるけん。シンデレラにはなれんけん」
意味がわからず、それでも「ごめん」と謝るおトキ。
おトキの胸で泣きじゃくるおサワ
「あと、ついでにもう一つごめん。こげなもんもってきちゃった」と言いながら、野摘みの花束をおサワに見せるおトキ。
この花束は、第74話でおサワがおトキの家を訪ねたときにお祝いに持ってきた花束と対になっているんです。
👉関連記事:ばけばけ74話ヘブン洋食の秘密|山橋薬舗で判明
第74話では、おサワが松野家の玄関に飾られた高価な生け花を見て、自分の野摘みの花束を捨ててしまいました。
今度は、おトキがその野摘みの花束を持ってきたことで、おサワの感情の糸がプツンと音を立てて切れたんです。
おサワは泣き出して、おトキの胸で泣きじゃくります。
「好きだったのに、おトキのせい、全部おトキのせいだけんね」と、今まで胸の中でくすぶってきた思いを言葉にしておトキにぶつけました。
その言葉も全部受け止めて、おトキは「ごめんね」「ごめん」「ごめん」と何度もつぶやくようにおサワの背を撫でます。
このシーン、見ていて涙が止まりませんでした。
野の花に 言えぬ言葉が こぼれ出る
(花束を見て、自分もおトキに野摘みの花束を持って行ったことを思い出すサワ。お金がかかっていない花束だけど、真心を込めたサワ。同じようにおトキも、この花束に真心を込めたことを瞬時に察するサワ。
その瞬間、庄田には言えなかった本音がどっとあるれ出す。)
おサワの感情を整理すると
| 場面 | おサワの反応 | 表情・仕草 | 背景にある事情 |
|---|---|---|---|
| 母の婿探し発言 | 慌てる | 視線が泳ぐ | 貧困からの脱出を「自力で」と決めている |
| 庄田のプロポーズ | 喜びつつ戸惑い | 「かっこええ」と本音 | 好きだけど世話になることを認められない |
| おトキの花束 | 感情が決壊 | 泣きじゃくる | 第74話で自分が捨てた花束との対比 |
自分の言霊に縛られたおサワ|貧困からの脱出と自尊心

「自分一人の力でここを出ていく」という自分自身の言霊に縛られ、自分に呪詛をかけてしまったおサワ。
どうしようもなく庄田が好きなのに、庄田の世話になって貧民窟を抜け出す自分を認められないサワ。
明治の貧民窟と「自力で這い上がる」という呪縛
明治時代の貧民窟は、現代では想像しがたいほど過酷な環境でした。
日雇い労働、借金取り、栄養失調。
そこから抜け出す方法は、ほとんどありません。
それでも、おサワは「自分の力で」という強烈な自尊心を持っていたんです。
元教師として、35年間さまざまな生徒を見てきました。
不器用で、真面目で、自分に厳しすぎる子どもたち。
彼らは周囲の期待に応えようとしすぎて、自分の幸せを後回しにしてしまう。
おサワも、まさにそういうタイプです。
この真面目さ、不器用さ、生きづらいだろうね。
でも、なおじはこういう人が心底好き。
来週の予告が何も語らない不安
こういう人にこそ幸せになってほしいんです。藤木みつ彦というこの物語の神様は、おサワと庄田にどういう未来を与えようとしているのでしょう。
来週の予告の中に、二人のこれからについて何も伝えていません。
気になるよ。
ほかのことが頭に入ってこなかったので、予告部分を三度も見てしまいました。
どうやら、松野家の借金が全部返済されるらしい。
でも、おタエ様の「気を付けるのですよ、おごれるものは久しからず」の一言。
またまた司之介が何やらやらかしそう。
👉関連記事:『ばけばけ』68話|勘右衛門プロポーズと司之介の致命的失言
Q&Aで振り返るばけばけ85話
Q1:ばけばけ85話でおサワはなぜ庄田の手をつかめなかったの?
A1:「自分一人の力で貧民窟を出る」という自分の言霊に縛られ、庄田の世話になって抜け出すことを認められなかったためです。
明治時代の貧民窟は過酷で、そこから抜け出す手段はほとんどありませんでした。
だからこそ、おサワは「自分の力で」という強烈な自尊心を持っていたんです。
Q2:野摘みの花束は第74話とどう繋がっているの?
A2:第74話でおサワがおトキの結婚祝いに持ってきた野摘みの花束と対になっています。
当時、おサワは松野家の高価な生け花を見て自分の花束を捨てました。
今回、おトキが同じ花束を持ってきたことで、おサワの感情が決壊したんだと思います。
この対比構造が、藤木みつ彦さんの巧みな作劇として評価されています。
Q3:円井わんの演技で特に印象的だった場面は?
A3:母親に「元教師だから婿候補にならない」と言い訳するシーンでの、表情・視線・声のトーンの繊細な変化です。
好きだけど認められない葛藤を、言葉ではなく表情で表現していました。
元教師として35年間生徒を見てきたなおじには、この演技の繊細さが本当に刺さりました。
Q4:明治時代の貧民窟の実態はどうだったの?
A4:現代では想像しがたいほど過酷な環境でした。
日雇い労働、借金取り、栄養失調が日常で、そこから抜け出す方法はほとんどありませんでした。
だからこそ、おサワは「自分の力で」という強烈な自尊心を持っていたんです。
この背景を知ると、おサワの葛藤がより深く理解できます。
Q5:来週の展開で気になるポイントは?
A5:松野家の借金が全額返済される一方、おタエ様の「おごれるものは久しからず」という不穏な一言があります。
司之介が再び問題を起こす可能性が示唆されており、おサワと庄田の今後も予告では何も語られていません。
二人がどうなるのか、本当に気になります。
筆者紹介|なおじ
元社会科教師として35年間教壇に立ち、現在はドラマ・芸能・政治・歴史・スポーツ・旅・学び・書評の8ブログを運営しています。
ドラマ記事では、「心の揺れ」をていねいに「感受」しつつ、社会科教師として培った背景知識でシーンの奥行きを解説するスタイルが特徴です。
ばけばけ85話では、おサワと庄田の不器用な恋を、明治時代の貧民窟という背景とともに読み解きました。