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没落士族 家計 管理 ミスを元社会科教師が解説|ばけばけのトキ家とらんまん岸屋の家計簿から学ぶ

こんにちは、なおじです。

この記事では「没落士族 家計 管理 ミス」というキーワードを軸に、「ばけばけ」のトキ家と「らんまん」に登場する酒屋・岸屋の没落を、疑似家計簿と元教師の視点で読み解いていきます。

タエ

この記事でわかること

・没落士族の家計簿を仮定すると、どこで家計が詰むのか
・「士族の商法」と呼ばれた失敗の背景にある家計管理ミス
・らんまんの酒屋・岸屋に見える商家版の落とし穴
・明治の家計トラブルから現代の家計管理に生かせる教訓

目次

没落士族とトキ家の「疑似家計簿」

ばけばけ27

明治の士族解体と家計の現実

明治維新後、武士身分は「士族」として整理され、俸禄は一括支給の公債などの形に変わりました。
その一方で、徴兵制や秩禄処分により、武士としての定期収入は徐々に失われ、多くの家が生活基盤の再構築を迫られています。

「ばけばけ」に登場するトキの家も、元士族としての体面を維持しながら借金を抱え、ぎりぎりで暮らす姿が描かれています。
ここに「家計簿」という現代的なツールを仮置きすると、収入と支出のアンバランスがよりはっきり見えてきます。

収入と支出を家計簿で分析

疑似家計簿で考えると、トキ家の収入側には「かつての俸禄を原資とした資産」や「細々とした商いからの収入」などが想定されます。

しかし、その俸禄は既に一度きりの支給となっており、失敗のリスクを伴う元手資金としてしか機能しにくい状況だったと言えそうです。

ここで決定打になったのが、父・司之助が挑んだウサギ事業の大失敗です。

「一発逆転」を狙って元手の多くをつぎ込んだ結果、在庫だけが残り、家計簿上は資産が一気に目減りする典型的なパターンになってしまいました。

一方の支出は、使用人や親類への扶養、士族としての体面を保つ衣食住、子どもの教育費や嫁入りの準備といった「すぐには削れない固定費」が大きな比重を占めていたと考えられます。

なおじの分析では、ここに「毎月のキャッシュフローを意識しないまま、身分と義理を優先してしまう」という構図が重なっているように見えます。

収入が減っても支出パターンを変えられず、借金でつなぎ続けると、家計簿上は赤字が積み上がる一方という状況。
トキ家の物語は、その行き詰まりをドラマとして見せていると言えるのではないでしょうか。

授業で使える「トキ家の家計簿」ワーク

三之丞石積

元教師の感覚から言うと、ここは中学校社会科の授業ネタとして非常に使いやすい部分です。

例えば、黒板にトキ家の月次家計簿の「仮データ」を書き、収入・支出・借金残高を生徒に計算させるワークが考えられます。

「どこを削れば赤字が減ると思う?」「当時の価値観で本当に削れたかな?」と問いかけると、歴史の出来事が「数字の物語」として立ち上がってくるでしょう。

なおじがバスケ部顧問をしていた頃も、遠征費や部費の配分を生徒と一緒に考えさせると、数字を通して価値観の違いがよく見えてきました。

👉関連記事:司之介落ち武者と家族愛ばけばけ第9話感想

没落士族 家計 管理 ミスの3パターン

ものごい

「身分と固定費」が結びつく構造

史料や解説書では、士族の没落には「士族の商法」と揶揄された失敗がよく挙げられます。
背景には、武士時代の生活水準や交際範囲を、収入構造が変わった後も維持しようとしたことがありました。

冠婚葬祭の規模や衣服の質、使用人の数などは、単なる生活費ではなく「家の格」を示す固定費として機能していました。

こうした支出は、自分たちのプライドや地域社会の目と結びついているため、少々の不況ではなかなか削れなかったようです。

「見栄」と「一発逆転」が家計を壊す

なおじの見解としては、没落士族の家計管理ミスはおおむね三つに整理できます。

一つ目は、身分と結びついた固定費を減らせず、生活水準を落とせないまま赤字を垂れ流すパターン。

二つ目は、金禄公債などの元手資金を、「小さく試して学ぶ」方向ではなく、「一発逆転の事業」に投じてしまうパターンです。

うまくいけば一気に立て直せるかもしれませんが、経験も情報も足りない中で大きな賭けを続ければ、家計簿上は破綻一直線という結果になりがちです。

三つ目は、そもそも家計全体のキャッシュフローを把握する習慣が薄く、「なんとなく大丈夫だろう」と希望的観測に頼ってしまう点です。

月ごとの収支や借金残高が見えない状況では、トキ家のように「気づいたときにはもうどうにもならない」状態に陥りやすくなります。

「数字で考える」感覚をどう育てるか

元教師として授業をしていたとき、「家計簿」や「部活動の予算」を教材にすると、生徒の目つきが変わる瞬間がありました。
自分たちの遠征費や備品購入の話になると、数字が急に「リアルなもの」として伝わり始めるのです。

明治の没落士族を扱うときも、「俸禄いくら」「借金いくら」「冠婚葬祭にこれだけ」というざっくりした数字を黒板に書いてみると、生徒は歴史を身近に感じやすくなります。

なおじの分析では、歴史の授業で数字を避けすぎると、こうした家計管理のリアルが伝わりにくくなるのではないかという印象があります。

👉関連記事:ばけばけ第31話ネタバレ感想~トキ女中へ!

らんまん岸屋に見る「商家版ミス」との比較

らんまん

牧野家の酒屋・岸屋の行方

「らんまん」では、牧野富太郎の実家である酒屋「岸屋」の行方が物語の中で大きな意味を持ちました。
史実でも、牧野家の酒造業はやがて続けることが難しくなり、土佐の老舗酒造会社に吸収される形で幕を閉じています。

表向きには「暖簾が残った」とも言えますが、家業としての酒屋は牧野家の手から離れ、別の経営主体のもとで続いていく形になりました。

これは、士族の松野家とは異なる「商家としての終わり方」として捉えることができそうです。

👉関連記事:牧野富太郎の実家「岸屋」のその後|司牡丹酒造とマキノジン

「夢への投資」と「事業資金」の混線

らんまんの牧野家では、富太郎の学問への情熱を支えるために、多額の送金や支援が行われました。
家族としては当然の愛情表現でもあり、「夢への投資」とも言えるお金の動きです。

しかし、家計簿的に見ると、これは「事業の運転資金」と「家族の夢への投資」が同じ財布から出ていた状態でもあります。
なおじの分析では、ここに岸屋の家計管理ミスの一端があるように思えます。

トキ家の場合も、家族みんなが「誰か一人を見捨てたくない」と踏ん張ることで、結果的に全員が沈んでいく危うさがありました。

家族愛や忠義の物語としては美しくても、家計簿という冷たい表にすると、「どの支出をどこまで許容するか」という厳しい問いに向き合わざるを得ない構図です。

士族と商家の「終わり方」を授業で比べる

授業で扱うなら、トキ家のような士族と、岸屋のような商家を並べて比較する活動がおすすめです。
例えば、「どちらの家計が先に詰みそうか」「どこを変えれば持ちこたえられたか」をグループごとに議論させる形が考えられます。

なおじがかつて中学生と行った「歴史上の人物のライフプランを考えるワーク」でも、生徒たちは驚くほど真剣に「この人、本当にこの支出で大丈夫?」と話し合っていました。

歴史人物の家計簿を作る作業は、過去の物語と現代のライフスキル教育をつなぐ良い橋渡しになると感じています。

Q&A:没落士族 家計 管理 ミスへの素朴な疑問

牧野妻

Q1 没落士族の家計ミスは現代にも当てはまりますか?

固定費を身分やライフスタイルと結びつけてしまう点は、時代を超えて共通しています。
住宅ローンや教育費、車の維持費などを「当然の支出」と思い込みすぎると、収入が少し落ちただけで家計はあっという間に苦しくなります。

なおじの見解としては、「トキ家の家計簿」を自分の家計に重ねてみることで、今の支出を見直すきっかけにできるのではないかという感覚があります。

Q2 士族の商法は全部失敗だったのでしょうか?

「士族の商法」という言葉には失敗のイメージが強いですが、全てがうまくいかなかったわけではありません。
一部の士族は、教育や人脈を駆使して新しい事業を成功させ、銀行や会社経営者として活躍しました。

ただし、そうした成功例の背後には、十分な学習や準備、周囲の支えがあったことも忘れてはいけません。
「士族だから」「元武士だから」というだけで参入した事業は、やはり厳しい結果になりやすかったと考えています。

Q3 ドラマを見るとき、どこに注目すると家計のリアルが見えますか?

「誰がどの支出を負担しているか」「お金の出入りを決めているのは誰か」という視点で登場人物を見ていくと、家計の構造が見えやすくなります。

ばけばけならトキ家の借金と嫁入り準備、らんまんなら富太郎の学問と岸屋の経営をつなぐお金の流れに意識を向けてみると、物語の印象も変わってくるでしょう。

なおじとしては、ドラマを「ただの感動ストーリー」で終わらせず、「家計簿付き歴史ドラマ」として楽しんでみることをおすすめしたいところです。

筆者プロフィール

なおじ:元社会科教師(小中合わせて35年、バスケットボール部顧問歴約15年)。
ドラマ・歴史・スポーツ・旅を「わかりやすく、ちょっとニヤリ」で語るブロガーとして、7つのブログを運営中です。

タエ

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