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べらぼう第47話史実検証|一橋治済暗殺計画の真相を元教師が解説

こんにちは、なおじです。

2025年12月7日に放送されたNHK大河ドラマ「べらぼう」第47話「饅頭こわい」は、最終回を翌週に控えた衝撃の展開でしたね。

一橋治済暗殺計画、将軍が自ら毒を食らうシーン、そして松平定信の「人が良い人」への変貌——。

今まで史実を踏まえて展開してきたこのドラマが、最終回1話前で大きく創作へと舵を切りました。

35年間社会科教師として江戸時代を教えてきたなおじが、史実と創作の境界線を検証します。​

一橋治済と松平定信
目次

第47話「饅頭こわい」あらすじと衝撃の展開

第47話では、松平定信や長谷川平蔵らが一橋治済を暗殺する計画を立て、毒饅頭を使った仇討ちを企てるという、まさにサスペンス劇場のような展開。

蔦重の進言により実行された計画でしたが、治済に気づかれ失敗に終わります。​

さらに驚くべきは、11代将軍・徳川家斉が実父である治済を懲らしめるため、自ら毒を食らうという前代未聞の展開。

これには視聴後、思わず「キャイーン!」と叫んでしまいましたよ。

今まで史実を軸にしていたドラマが、最終回前でここまでぶっ飛んだのです。​

👉関連記事:べらぼう第37話「地獄に京伝」ネタバレ感想~蔦重の闇落ちで政演と決裂

一橋治済暗殺計画は史実に存在したのか?

結論から言うと、ドラマで描かれた暗殺計画は完全な創作ですよね。

なおじも放送直後に慌てて史料を調べましたが、一橋治済を毒饅頭で暗殺しようとした記録はどこにも見当たりませんでした。​

史実の一橋治済(1751-1827)は、田沼意次失脚後の1786年以降も幕政に影響力を持ち続け、1827年まで存命しています。

ドラマのように阿波へ島流しにされたり、暗殺の危機に瀕したりといった記録は存在しません。

つじつまを合わせるための、一橋治済替え玉説ももちろん無し。

ただし、治済が徳川家基(10代将軍候補)や田沼意知を暗殺したのではないかという「説」は後世に存在しますが、これも確証のない憶測です。​

治済は実際には従一位という最高位まで上り詰め、「大御所」として息子・家斉の治世を陰から支配した人物でした。

ドラマでは「悪の黒幕」として描かれていますが、史実では政治的手腕に長けた策士だったのです。serai+1

👉関連記事:寛政の改革と幕藩体制延命策 50年引き延ばした政治

松平定信の「良い人」変貌は史実と違うのか?

第47話でもう一つ気になったのが、松平定信の描かれ方です。ドラマでは定信が蔦重と和解し、まるで根っからの「人の良い人」のように変貌。

しかし史実の定信は、最後まで厳格な改革者であり、出版統制や風俗取締りを徹底した人物です。​

史実では定信は寛政5年(1793年)に老中を辞任し、白河藩へ戻りました。辞任の背景には、将軍・家斉や治済との政治的対立があり、改革の行き詰まりがありました。

ドラマのように治済への仇討ちを企てたという記録はもちろんなく、むしろ政治的敗北という形で幕政から退いたのです。​

教師時代、生徒に「寛政の改革は成功したの?」と聞かれると、なおじはいつも「短期的には失敗、でも50年間は幕府を延命させた」と答えていました。

定信の改革は厳しすぎて民衆に嫌われましたが、幕藩体制を立て直した功績は評価されるべきです。​

ドラマでの「善人化」は、最終回に向けて蔦重との和解を描くための脚色でしょう。

しかし史実を知る視聴者からすると、「あれ?定信ってこんな人だったっけ?」と戸惑う…。

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史実派視聴者は最終回を見るのか?なおじの懸念

Q1: 第47話の創作展開は、史実重視派の視聴者を失望させる?

A: 正直、なおじも心配しています。今まで「べらぼう」は史実をベースにしながら、蔦重の人生をドラマチックに描いてきました。しかし第47話での暗殺計画や将軍の毒饅頭シーンは、完全にぶっ飛んだフィクションです。史実を踏まえて大河ドラマを楽しんできた視聴者が、「もういいや」と最終回を見なくなるのではないか——そんな懸念を抱いています。​

Q2: なぜドラマはここまで創作に振り切ったのか?

A: おそらく、最終回に向けてドラマチックな展開を作るためでしょう。史実の蔦重は1797年に病死しますが、その最期は地味で劇的ではありません。ドラマとして盛り上げるには、治済との対決や定信との和解といった創作が必要だったのだと思います。​

Q3: 史実とドラマ、どう楽しめばいい?

A: なおじとしては、「史実」と「ドラマ」を分けて楽しむことをおすすめします。ドラマはあくまでエンターテインメント。史実にこだわりすぎると、せっかくの物語を楽しめなくなります。一方で、ドラマを見た後に史実を調べるのも面白いですよ。「実際はどうだったの?」という好奇心が、歴史への興味を深めてくれます。

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最終回まであと1話。史実を離れても、蔦重の物語がどう締めくくられるのか、なおじは期待半分、不安半分で見守ります。

【筆者プロフィール】

なおじ|元社会科教師(35年)、元バスケ部顧問。江戸時代の政治・文化史を専門に、ドラマと史実のギャップを楽しく解説するブロガー。キャンピングカーで史跡巡りも趣味。

治済と定信

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