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ばけばけ82話|おサワの本音と錦織の秘密を元教師が味わう

こんにちは、なおじです。
ばけばけ 82話 感想を書こうと思ったのですが、見終わってしばらくは、画面を思い出してはため息が出ました。
サワ応援の記事、錦織の「無免許」、そして幼馴染ふたりのすれ違い。どれも「ああ、これは教室や職員室でもよく見た光景だなあ」と感じる場面ばかりだったんです。

この記事では、

  • サワ応援記事の光と影
  • 錦織の秘密と史実モデルとの違い
  • 庄田が松江に戻ってきた「本当の理由」
  • おサワとおトキ、それぞれの胸の内

を、なおじの元教師目線と、明治の教育制度の背景をそっと添えながら、いっしょに味わっていきます。

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この記事でわかること

  • サワ応援記事が生まれた経緯と、記事を読んだおサワの微妙な表情が、なぜ視聴者の胸をざわつかせるのか。
  • 錦織の「無免許・学歴詐称」というドラマ設定と、史実モデル・西田千太郎の教員検定試験の結果との違い。
  • 庄田が錦織の後任校長を断ったとき、そこに重なっている友情・嫉妬・正義感をどう受け取れるか。
  • おサワの「うらめしいけど嫌いじゃない」という感情と、おトキのスキップする笑顔から見えてくる“幼馴染”の難しさ。
  • 明治の教員制度と、令和の教員免許制度の違いから、「無免許教師」というドラマ設定の重さを考える視点。
目次

サワ応援記事とおサワの複雑な表情

このシーン、本当にぐっときますよね。
「応援したい」という思いが、必ずしも相手に“いい形”で届くとは限らない。82話は、その痛さを静かに見せてくれました。

ヘブンの「新聞に載せよう」提案にトキは戸惑う

ヘブンが「おサワさんを応援するという話を新聞に載せよう」と言い出す場面。
トキはすぐさま、「派手なことをしたら、おサワさんは余計に嫌がる」とブレーキをかけます。

ここ、なおじは思わずうなずきました。
教室でも、「がんばっている子をみんなで褒めよう」と盛り上がった結果、その子がいたたまれない思いをする、ということがあったんですよ…。

ヘブンは「名前は出さないようにする」と配慮し、梶谷も同意します。
善意で考えついた案だけれど、トキの胸の中には「それでもあの人は、こういうの苦手なんよ」という、長年の付き合いの感覚があったのだと思う…。
この“正しさ”と“その人らしさ”のズレが、すでにここで描かれていました。

ここ、見ていてどう感じましたか。

ミートパイ騒動と、おサワの「勉強する覚悟」

一方そのころ、おサワは庄田に勉強を見てもらっています。
日本家屋のちゃぶ台ではなく、西洋風の机と椅子。そして、ミートパイという“ハイカラ”な食べ物。

初めてのミートパイに、おサワたちは大騒ぎです。
「なんじゃこりゃ」とでも言いたげな顔。そこに、笑いと戸惑いと、ちょっとした誇らしさが混ざっているように見えました。

なおじはここ、「勉強って、こういう『自分の世界がちょっと広がる瞬間』なんだよな」と感じました。
江戸から明治へ、和食から洋食へ。価値観の変わり目を、ミートパイ一つで表現しているところがうまい。

明治期の「女の子が勉強する」こと自体がまだ珍しい時代、という背景があります。
ただのグルメ描写ではなく、「学びの喜び」と「居心地の悪さ」が同居したワンシーンでしたね。

松江新報の記事を読んだ一瞬の沈黙

やがて、おサワをモデルにした記事が松江新報に載り、町で話題になります。
本人が記事を手に取って読むシーン。

読んだ瞬間、おサワの顔色がスッと変わる。
嬉しさ、恥ずかしさ、悔しさ、いろんな感情が一度に押し寄せたような、あの一瞬の沈黙。

庄田は、その変化を見逃しません。
その日の帰り際「何か思うところがあるのか」と声をかけるのが、いかにも教員タイプの人間だなあと、なおじはニヤリとしました。

新聞記事は、表向きには「応援」。
でも、おサワにとっては「自分の心の貧しさ」「幼馴染との格差」を、あらためて突きつけられる鏡でもあったはずです。

ここ、見ていて胸がざわついた方、多いのではないでしょうか。

錦織の「無免許」と史実モデルのギャップ

錦織パートは、82話のもう一つの爆弾でした。
「え、無免許だったの?」「それに学歴まで?」と、画面の前で声が出た方もいるはずです。

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知事が告げる「教員免許なし・学歴詐称」

江藤知事と錦織の会話で、「教員免許を持っていない」「帝大卒という学歴は偽り」という事実が示されます。
知事はそれを把握したうえで、なお錦織を重用しようとしている。

令和の感覚で見れば、「全国紙を賑わす大スキャンダル」です。
なおじも、元教員として思わず「これは完全アウト案件だよ」と心の中でつぶやきました。

ただし、ここで大事なのは、「ドラマの設定」と「史実」が必ずしも同じではない、という点です。

西田千太郎の教員検定試験と英語不合格

錦織のモデルとされるのは、島根県尋常中学校で「教頭」「校長心得」まで務めた教育者・西田千太郎です。

西田は中等教員検定試験に合格し、心理学・倫理学・経済学・教育学の4科目で免許状を受けていますが、英語については合格科目に含まれていません(=少なくとも英語の免許は確認できない状態です)。

一方で、西田が松江で「英語教師」として正式に教壇に立っていたかどうかを示す一次史料は、なおじが確認した範囲では見つかっていません。

教頭・校長心得として学校運営を担い、小泉八雲を英語教師として招いた人物であることは確かですが、「自ら英語を教えたかどうか」は史料からは断定できない、というのが正直なところです。

ですから、史実の西田氏は

  • 教員としての能力や資格がまったくない「偽教師」ではない
  • ただし英語に関しては、ドラマの錦織ほど単純ではない事情がある

という、微妙な立ち位置だった可能性が高いと感じています。

また、「帝大卒そのものを偽った」という確かな史料も見つからず、この点はドラマ側がエンタメとして“盛っている”部分と見るのが自然だろう、というのがなおじの現時点での結論です。

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明治の「検定試験」と、令和の免許制度

明治の教員検定試験は、今のような「教職課程を修了して免許状を取得」という仕組みとは違い、「各科目ごとに試験を受ける」古い制度です。
得意科目には通るけれど、全部そろっていない、という人もいたわけですね。

一方、令和の今の教員免許制度は、はるかに厳格です。
なおじは茨城県庁で教員免許担当を5年間していましたが、その経験から言っても、少なくとも茨城県では「完全なニセ免許で教壇に立つ」のは、仕組み上ほぼ不可能です。

ドラマ「下剋上球児」でも“ニセ免許教師”が話題になりましたが、そのときにも、なおじは教員免許の仕組みを詳しく解説しました。

👉関連記事:下剋上球児の南雲はニセ教師?教員免許制度から検証する

明治と令和では、「無免許教師」が生まれる土壌がまったく違います。

だからこそ、錦織の物語は、現代の不祥事ドラマというより「揺れ動く近代化の中で、ギリギリのところを歩いた人」として見ると、少し印象が変わってきます。

ここ、どう感じましたか。

庄田が松江に戻った本当の理由

このあたり、今日いちばんモヤモヤしたところじゃないでしょうか。
「偽教師だと知っているのに、なんでわざわざ松江に戻ってきたの?」と。

正直、なおじもここは引っかかりました。
もし本当に「無免許の人の下では働けません」というだけなら、最初から東京に残ればよかったはずですよね。

むしろ今回の描かれ方を見ていると、
「危なっかしい友だちを、放っておけなかったんじゃないか」
そんな匂いが、セリフの行間からじわっとなおじには感じられる。

「あえて松江に戻った」庄田のねらい

考えてみると、庄田は東京時代から、錦織が試験に落ちたことを知っていたはずです。
ということは、「偽教師状態」であることも、とうの昔からわかっていた仲ですよね。

それなのに、一度は松江中学の話を受けて帰ってきている。
ここが、なおじにはいちばんの謎であり、逆にいちばんのヒントにも見えました。

「本当は、見張るつもり…」では…。
「いざというときは、錦織を守って自分が矢面に立つ覚悟も、どこかにあるんじゃないかな」

そんなふうに感じるのは、なおじだけでしょうか…。

嫉妬はある、でも「悪感情」じゃない

もちろん、嫉妬はあると思います。
一緒に試験を受けた相手が、先に“出世コース”に乗っているわけですから。

なおじも教師時代、同僚同士で似た空気を何度も味わいました。
「おめでとう」と笑いながら、心のどこかでザワザワしている感じ。

ただ、82話の庄田の目つきや声のトーンを見ていると、
「引きずり下ろしてやろう」という黒い感じとは、ちょっと違う気がします。

どちらかと言えば、
「お前、これ以上無茶するなよ」
と、ブレーキをかけようとしているような、苦い優しさ。

この“苦い優しさ”が当たっていたら、なおじはぐっと来ちまうゼ…。

元教師目線で見る「友人を止める」勇気

世の中って、「仲間の違反を見て見ぬふりをする」ほうが、ある意味ラクなんですよね。
保身もできますし、波風も立たない。

でも、本当に相手のことを思ったら、ときには止めなきゃいけない場面があります。
「それ以上やったら、生徒も、自分も、もう戻れなくなるよ」と。

82話の庄田は、まさにその“手前”に立っている人に見えました。
錦織を切り捨てたいのではなく、どこかで「これ以上は危ない」と感じている人。

「助けるために距離を取る」って、いちばんしんどい選択です。
そこに、自分のことより相手を気にしてしまう、不器用な友情を感じるんです。

ここ、皆さんはどう受け取りましたか。

👉関連記事:ばけばけ81話|庄田の利用してくれに込めた思い

おサワの「うらめしい」告白と、おトキのスキップ

82話でなおじが一番胸に刺さったのは、このパートかもしれません。
「うらめしいけど、嫌いじゃない」。この一言に、どれだけの感情が詰まっているか。

幼馴染なのに「差がついた」と感じる痛さ

庄田に引き止められたおサワは、おトキとの関係を静かに語り始めます。
小学校も、長屋も一緒。貧しさも分け合ってきた幼馴染。

「うらめしい、うらめしいと言いながら傷をなめ合ってきた一番の親友だった」。
それが、ヘブンとの結婚を境に、“シンデレラ側”と“置いていかれた側”に分かれてしまった。

「わたしはそげなこと…」と言いかけて、言葉を飲み込むおサワ。
あの一瞬の間で、自分の中の「うらめしさ」を、はっきり自覚したように見えました。

そして、「思っちょります。でも嫌いと言うことではない」と続ける。
この正直さに、なおじは胸を打たれます。

庄田が寄り添う「わしにも友人がいるんじゃ」

おサワの言葉を受けて、庄田も「実はわしにも友人がいる」と話し出します。
シンデレラではないけれど、みるみるうちに出世していった友人。

もちろん、これは錦織のこと。
庄田もまた、「うらやましいけど、嫌いじゃない」感情を抱えている。

ここで、おサワの感情と庄田の感情が、静かに重なります。
片やシンデレラと貧民街の娘。片や校長候補と平教師(元)。立場は違うのに、抱えているモヤモヤはよく似ている。

「ああ、人間って立場が違っても、同じようなところでつまずくんだな」(なおじの心のつぶやき)
こういう“さりげない共鳴”を描くのが、このドラマのうまさですね。

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ビールを振り回すおトキの笑顔にひそむズレ

一方そのころ、おトキは山橋薬舗にビールを買いに行きます。
そこで店主から、「おサワががんばっているのは、あなたの新聞記事がきっかけだ」と教えられる。

おトキの顔がパッと輝きます。
帰り道、ビールを振り回しながらスキップする姿は、「自分のしたことが、誰かの背中を押した」と信じられる喜びそのもの。

でも、視聴者は知っています。
おサワが記事を読んで見せた、あの複雑な顔を。

ここには、「応援した側」と「応援された側」の感情のズレが、痛いほど浮かび上がっています。
どちらも悪くない。むしろどちらも“いい人”だからこそ、余計に切ない。

ミートパイ かじればにじむ うらめしさ

ここ、皆さんはどちらの気持ちに近かったでしょうか。

Q&Aで振り返る第82話の心の揺れ

Q1:サワは新聞記事を読んだとき、どう感じていたように見えましたか?

なおじには、嬉しさと恥ずかしさ、それから「自分だけが取り残される不安」が同時ににじんでいるように見えました。
幼馴染がお嫁に行き、自分だけが長屋側に残っている。そんな立場からすると、「応援されること」自体が、少し痛いものだったのかもしれません。

Q2:錦織の「無免許・学歴詐称」設定は、史実とどこが違いますか?

史実の西田千太郎は、教員検定試験で複数科目に合格し、英語科目は不合格という事情を抱えていました。
「完全な無資格」「帝大卒そのものを詐称」という一次史料は見つかっておらず、ドラマはそのギャップを誇張して、ドラマ性を高めていると見ています。

Q3:庄田の「後任拒否」は、正義感だと思いますか?それとも嫉妬でしょうか?

なおじには、そのどちらの要素もあるように映りました。
資格を重んじる教師としての良心と、「自分より早く出世した友人」への嫉妬が、同じ胸の中でぶつかっているようでした。だからこそ単純なヒーローではなく、“人間くさい教師”に見えて、なおじは好きです。

Q4:おサワとおトキ、どちらの気持ちにより共感しましたか?

読者によって変わると思いますが、なおじは「うらめしいけど嫌いじゃない」と言うおサワに、教室でよく見た“友だち同士の微妙な距離”を重ねました。
一方で、ビールを振り回してスキップするおトキの無邪気さにも、「善意ゆえの鈍感さ」というリアルを感じて、苦笑いしてしまいました。あなたはどちら側に近かったでしょうか。

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82話で揺れた4人の心と背景

人物場面の前の状態その瞬間の反応表情・仕草背景にある事情
おサワ勉強をがんばり始めたところ新聞記事を読み、顔色が変わる口数が減り、視線を落とす幼馴染は“シンデレラ”、自分は貧しい長屋のまま
おトキサワと距離があき、関係修復を願っている記事がサワのやる気になったと聞き喜ぶビールを振り回してスキップヘブンとの結婚で生活が一変、本人は自覚が薄い
庄田錦織の秘密と松江中学の話を知っている後任校長を断りつつ、サワを励ます静かに問いかけ、話を聞き続ける試験に落ちた過去を共有する友人への複雑な感情
錦織無免許・学歴偽装を抱えたまま重責を担う知事に秘密を知られた中で話を続ける冷静を装うが、目の奥に焦りがにじむ英語不合格という史実モデルと重なる“揺らいだ資格”

筆者紹介|なおじ

なおじ。
元社会科教師として35年間、公立の小・中学校で教壇に立ってきました。
今は、ドラマ芸能政治歴史スポーツ学び書評まで、8つのブログを運営しながら、キャンピングカーで各地をうろうろしています。

ドラマ記事では、登場人物の「心の揺れ」をていねいに「感受」しつつ、社会科教師として培った背景知識で、シーンの奥行きをそっと照らす記事作りを心がけています。

おサワ

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