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ばけばけ54話感想|ヘブンとマーサの別れとトキの揺れる心を元教師が考察

こんにちは、なおじです。

先週、孫に「じいじ、昔つらいことあった?」と聞かれて、「修学旅行の引率で寝不足だったことかな」と答えたら、「それ、つらくないじゃん」と一蹴されました。

今日の『ばけばけ』第54話のヘブン先生は、孫にも話せないレベルの重い過去を語っていましたね。

黒人女性マーサとの結婚、人種差別、そして離婚。見ていて胸が苦しくなる展開でした。

ヘブン先生 錦織

この記事でわかること

・トキが白湯を飲みながら一人で悶々としていた理由。
・サワや司之介との会話が、トキの胸のざわつきをどう浮かび上がらせたか。
・ヘブンと黒人女性マーサの結婚が、なぜ新聞社のクビにつながったのか。
・マーサの傷害事件と「私にかかわらなければよかった」の真意。
・ヘブンが「誰とも深くかかわらない」と決めた背景と、その重さ。
・「サムイ」という一言ににじむヘブンの心の温度と孤独。
・チェアを逃がす場面と、湯たんぽを壊そうとするトキの対比が示すテーマ。
・ヘブンとマーサは、なぜ別れざるを得なかったのかという歴史的背景。

目次

トキのモヤモヤと白湯の時間|ばけばけ54話

エール 司之介 サワ

トキとサワの会話と白湯の距離感

トキは、一人で白湯を飲みながら悶々としてる。

サワはトキを慰めますが、気持ちは晴れません。

そこへ司之介が割り込んで、なぜか金の話にすり替わっていきます。

そのため、場の空気は「お嬢様とヘブン先生を応援しよう」という流れに。

しかし、トキは「白湯を飲んだらね」とだけ答え、輪に入りません。

二人のおつむお天気な「お嬢様、がんばれ」は、トキちゃんの心をイラつかせたでしょうね。

明治の娘は、自分の恋心を素直に口にできない。
苦しかったろう、おトキちゃん。

👉関連記事:トキが錦織とリヨで板挟み|ばけばけ43話

ヘブンとマーサの過去|人種差別と離婚の重さ

マーサ

ヘブンと黒人女性マーサの結婚が招いたクビ宣告

場面は知事亭に移り、ヘブンが自分の過去を語り続けていました。

話は、昨日の話から一転。黒人女性マーサと離婚に至った理由を打ち明けます。

黒人女性との結婚が新聞社に知られたことで、ヘブンはクビになったのです。

当時のアメリカでは、人種間結婚に対する偏見が根強かったんですね。

州によっては、異人種間結婚を禁じる法律さえ存在していたという事実。

そのため、白人男性と黒人女性の結婚は、社会的スキャンダルと見なされていた。

新聞社という「世論をつくる場」にとっては、大きなリスクだったでしょう。

つまり、ヘブンとマーサ(ミーシャ・ブルックス)の結婚は、二人の問題ではなく「社会の問題」にされてしまったわけ。

その結果、ヘブンは職を失い、夫婦としての生活基盤も壊れていく。

👉関連記事:ばけばけ53話ヘブンの過去とマーサの結婚を考察

マーサの傷害事件と「私にかかわらなければよかった」の真意

仕事を失い、二人の生活は追い詰められていきます。

その中で、マーサは大家に剃刀で切りつける傷害事件を起こしてしまう。

これは、単なる「短気な行動」では片づけられない。

差別と貧困、孤立が積み重なった末の、爆発。

逮捕されたマーサは、「私に何か、かかわらなければよかったのよ」と言います。

さらに、「恨むなら、自分を恨んで」と。

これは、救いがない言葉…。

でも、このセリフの深淵に、「あなたを巻き込んでしまった。ごめんなさい」という自責の念が…。

同時に、「私と結婚したことで、あなたの人生を壊してしまった」という痛みも…。

それでも、マーサはヘブンの指を、ぎゅっと握っていました。

口では突き放しながら、身体は最後のよりどころを離せない。

そこに、二人の間に確かに愛情があったことがにじんでました。

悲しいねー。

ヘブンの決意と「サムイ」という一言|ばけばけ54話

ヘブン かかわらない 宣言

「誰とも深くかかわらない」と決めたヘブンの心

ヘブンは、最後に「居場所見つける、だれ、一緒になって、できない」と語ります。

そして、「人と深くかかわることはやめたのです」と続けます。

どの国でも、どの町でも「ただの通りすがり」として生きると決めたのです、と…。

心の中を、真冬の風が吹き抜けるよう…。

一方で、リヨは「今度はわからないじゃないですか」と必死に食い下がります。

つまり、過去がどうであっても、未来は変えられると言いたいリヨお嬢様。

しかし、ヘブンは「おリヨさん、ごめんなさい」と、静かに線を引きます。

過去に人を不幸にしたという自責が、ヘブンを縛っているよう。

👉関連記事:リヨの告白とトキの孤独|ばけばけ52話

知事亭から帰宅までの空気と「サムイ」の意味

知事亭で過去を語り終えたヘブンは、トキの待つ家に戻ります。

しかし、帰宅後のヘブンは、ほとんど何も語りません。

場の空気が重い…。

観ているこっちも、心の疲れが…。

そんなヘブン先生にトキが、「寒かったでしょう」と声をかける。

ヘブンは「サムイ」とだけ答えます。

この一言に、ヘブン先生の心の冷え込みが感じられました。

過去をさらけ出したことで、傷口がまた開いたような状態。

だからこそ、余計な言葉を足せないのでしょう。

チェアと湯たんぽが映す二人の距離|ヘブンとトキ

メジロ チェア 逃がす

チェアを逃がすヘブンと「自由」に込めた思い

ヘブンの部屋では、メジロのチェアが鳴いています。

その声を聞いたヘブンは、そっと鳥かごを開けてチェアを逃がしました。

これは、「鳥は鳥らしく、自由に飛ぶべきだ」という判断。

同時に、「誰かを自分のそばに縛りつけることへのためらい」

マーサとの過去を思えば、「自分のそばにいることで不幸になる存在」を恐れているのかもしれません。

だから、チェアには自由を与えようとする。

その姿は、優しさと自己嫌悪が同居したヘブンの心そのもの。

👉関連記事:ヘブン松江去る宣言とトキの揺れ|ばけばけ51話

湯たんぽを壊そうとするトキと「誰のため?」の問い

湯たんぽ 壊す 止めるヘブン

一方で、トキはヘブンの着替えを手伝い、ささやかな気遣いを続けます。

チェアを逃がしたヘブンの行動から、「リヨお嬢様とお別れした」と感じたおトキちゃん。

そして、リヨにもらった湯たんぽを壊そうとする。

すると、ヘブンは慌ててトキを止めました。

「チェアを逃がすのはチェアのため。湯たんぽを壊すのは誰のため」。

この一言で、トキはハッとさせられます。

トキは「すいません」と謝り、二人は少しだけ笑い合います。

重い回の終わりに差し込まれた、ほんの小さな救い。

しかし、その笑いは、互いの心の距離が近づいたサイン?

春は近いか。

👉関連記事:リヨとヘブンのランデブー失敗の理由|ばけばけ45話

本日の主な登場人物|ばけばけ54話

【表:第54話の主な登場人物】

人物名役割・立場第54話でのポイント
トキヘブン先生の女中白湯を飲みながら一人悶々とし、サワに相談。着替えを手伝い、湯たんぽを壊そうとして諭される。
ヘブン英語教師黒人女性マーサとの結婚と離婚を語り、「誰とも深くかかわらない」と決意。チェアを逃がす。
リヨお嬢様知事亭でヘブンの過去を聞き、「今度はわからないじゃないですか」と希望を口にする。
錦織ヘブン先生の面倒を見る同僚教師ヘブンの告白を静かに受け止め、そばで支える立場になる。
サワトキの友達トキの相談相手になりつつ、リヨの恋も応援する立場で場を明るくしようとする。
司之介トキの父トキとサワの会話に割り込み、金の話をして場の空気を変える。
マーサヘブンの元妻黒人女性。新聞社に存在が知られ、ヘブンがクビになる一因となる。大家への傷害事件で逮捕される。

Q&Aで振り返る第54話

ヘブンとマーサはなぜ別れざるを得なかったのか?

ヘブンとマーサは、愛情がありながらも別れざるを得ませんでした。

当時のアメリカでは、人種間結婚への差別が強く、黒人女性との結婚が白人男性のキャリアを奪うことも珍しくなかったんですね。

ヘブンは新聞社をクビになり、生活は不安定に。

さらに、差別やストレスが重なり、マーサは大家への傷害事件を起こしてしまいます。

その結果、マーサは逮捕され、夫婦としての日常は完全に壊れました。

マーサの「私にかかわらなければよかった」という言葉は、愛情ゆえの自己否定。

ヘブンも、自分と一緒にいることで彼女を追い詰めたと感じたはずです。

だからこそ、二人は離婚という形で関係に終止符を打つしかなかったのですね。

筆者紹介|なおじ

元社会科教師として35年間教壇に立ち、歴史や人間関係の背景を生徒と一緒に考えてきました。

現在は7つのブログで、ドラマ・芸能・政治・歴史・スポーツ・旅・学びについて発信しています。

ドラマ記事では、その時代の空気や登場人物の心の揺れを、ゆっくり言葉にしていくスタイルを大切にしています。

ばけばけ54

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