30年前の中学生の選択社会の実践より
下のスライドは、平成10年代前半の中学3年生の選択教科の実践です。
選択教科社会で、自分たちが気になる課題を設定して追究する実践でした。
追究の出口は、秋の文化祭での発表としました。ただし全員が全生徒の前で発表するのではなく、クラス内でプレ発表会をして、1位に推薦された者(あるいはグループ)が全校生徒の前で発表するというシステムにしました。
トップ推薦されたのが下の作品です。
当時は、学校のコンピュータではなく個人のコンピュータで学校事務を処理する時代でした。この作品も私のコンピュータを生徒に貸し出して作成しています。
おかげでデータが残っていました。
コンピュータがインターネット接続がされていない時代だから出来たことです。今では考えられません。
さて、この作品ですが、
生徒のハテナは『慶喜は天狗党を裏切ったのか』でした。
天狗党の人たちは、慶喜に会えれば何とかなると考えていたのですが、頼みの慶喜が自分たちを追討する部隊を指揮していることを知ります。
こうなってはもうあきらめざるをえず、降伏することになりました。
生徒たちからすれば、慶喜は藤田幽谷、東湖、そして父である斉昭と同じく尊皇派で天狗党の側のはずです。
『なのにどうして、天狗党を討伐する側なのか?』とハテナを感じたわけです。
ハッキリ言いまして、私自身も生徒に質問されたとき、「分からない」と答えました。
おそらく、著名な学者さん方も明確な回答は持っていらっしゃらないのではないかと思います。
もしかすると、義公が伯夷伝に感銘を受けた際の名分論が理由?
「武力での転覆は大義名分に反する」ということなのでしょうか。
やはり分かりません。
この実践では、「通常授業の歴史学習では、評価が決まっていることを扱うが、実際の歴史上の課題は、評価が定まっていない、分からないことも多い」と知らせました。
その上でこのハテナでは、自分たちなりの歴史評価をして結論を出すように伝えました。
生徒たちが、このハテナに対してどのような事実を調べ、その事実をもとにどのような結論を出したのかを見てあげてください。
生徒の作品
終わりに
この生徒たちは、現在40代の半ばにさしかかろうとしているはずです。
内容云々以上に、この追究の姿勢(ハテナのつくり方や、事実調べ、そして考えのまとめ方など)は今の中学生にも参考になればうれしいです。
また実践者の二人には、このときの学びが少しでも心に引っかかり、自分の郷土について、先人たちの思いについて考える時間をもてていればいいなと願います。
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