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吉田鈴4度目のプロテスト合格◆姉妹愛と努力が生んだ逆転劇の全貌

目次

1. 導入部:劇的合格の瞬間

2024年11月1日、茨城県の大洗ゴルフ倶楽部

最終日を迎えた日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)最終プロテスト。

吉田鈴は7オーバーという厳しい位置からのスタートだった。

「合格ラインまで5打足りない状況だった」

インスタートから前半は順調に3つスコアを伸ばしたものの、17番、18番で連続ボギー。

後半の2番でバーディを奪うも、その時点では合格ラインまで2〜3打足りない状況だった。

最終ホール。

グリーン奥から5メートルの難しいフックライン。

吉田鈴の心には迷いがなかった。

「途中で速報を見て、17番と18番も(難しい)大洗なので、みんな厳しくなると思っていた。『入れる』って本当にその気持ちだけで打ちました」

そのパットは見事に沈み、この日69で回り、トータル4オーバーまでスコアを戻した。

しかし、ホールアウト時点では合格ラインに達していなかった。

「終わった瞬間は落ちたなと思っていたので、あとはひたすら祈ってました」

インの2組目と早いスタートだった吉田は一度戻って待機していたホテルで結果を待った。

落ち着かない時間は姉の優利とLINEをして過ごした。

「『いけるかな』なんてやり取りをしていたんですけど、決まってすぐに『通ったよ』と伝えました」

後続がスコアを落とし、19位タイでプロとしてのスタートラインに立った瞬間、吉田鈴の表情に安堵の笑顔が広がった。

「実感がないというか、これでもうプロテストを受けなくていいんだという解放感がありました。今まで本当に苦しかったです」

2. 4度目の挑戦までの軌跡

吉田姉妹

吉田鈴のプロテスト挑戦は、17歳だった2021年に始まった。

第1次予選をトップ通過するなど順調なスタートを切ったが、第2次予選では大苦戦。

それでも最終日に68の好スコアで回り、最終プロテストへの進出を決めた。

しかし、運命の最終プロテストでは「わずか1打及ばず不合格」という悔しい結果に終わった。

インスタグラムでは「プレッシャーがかかるとどうしても自分のプレーができない」と心境を吐露しながらも、「また来年強くなって戦う」と決意を新たにした。

翌2022年、2度目の挑戦。

第2次予選では初日-4で首位タイと最高のスタートを切り、最終的に4位で最終プロテスト進出を決めた。

しかし、最終プロテストでは初日+3の57位タイと出遅れ、3日目に2アンダーで回り35位タイまで順位を上げて合格ラインまであと3打差に迫ったものの、最終順位は28位タイ。

前年の1打差に続き、今度は2打届かず再び涙をのんだ。

2023年は第2次予選で54位と敗退。
3年連続の挫折を味わった。

そして2024年、4度目の挑戦。

最終プロテスト初日は7オーバーの90位タイと大きく出遅れた。

合格ラインとは5打差という絶望的な状況だった。

「諦めたら終わりなんで、それだけは絶対に信じようと思ってました」

その強い気持ちが実を結び、最終日に「69」と巻き返し、トータル4オーバーでフィニッシュ。

19位タイで滑り込み合格を果たした。

4度目の挑戦でようやく手にしたプロの切符。

この経験が、吉田鈴のゴルファーとしての強さを一段と増していくことになる。

3. 技術的進化:100ヤード以内の精度向上

吉田鈴のプロテスト合格の裏には、100ヤード以内のショットの精度向上があった。

コーチを務める今野康晴氏(ツアー通算7勝)は、こう語る。

「私が教えている吉田鈴さんは、100ヤード以内の精度が上がったことでJLPGAプロテスト合格につながったと思います」

吉田鈴は飛距離型の選手ではない。

今野コーチは吉田の特徴をこう分析する。

「吉田鈴さんは飛ぶタイプではないけど曲がりません。パー5のティショットではフェアウェイに打てるのに、2打目のレイアップでラフに行く。自分の好きな距離は『100ヤードです』と言うんだけど、それも案外寄っていませんでした」

そこで今野コーチは、パー5の攻略法に着目した。

「4つあるパー5で半分の2個でもバーディを獲れたら良いよねと話して、しっかりレイアップすること、100ヤード以内の精度を上げることに取り組んできました」

この取り組みが実を結び、吉田鈴のゴルフに変化が生まれた。

「2年前くらいから100ヤード以内が大事だと本人も分かってきて、パー5でバーディが計算できるようになりましたね」

ドライバーの飛距離で圧倒するタイプではなく、スコアメイク力で勝負するスタイルが吉田鈴の強み。

特に100ヤード以内のショットの精度向上が、安定したスコアにつながった。

短いパー4の2打目や、パー5の3打目を確実に寄せる技術。

1ピン以内に寄せられる精度。

これらがパー5のバーディ率アップにつながり、トータルスコアの安定をもたらした。

ゴルフは最後の1打が決め手。

100ヤード以内が上手い選手は、パーオンを逃しても”寄せワン”でスコアをまとめられる。

この100ヤード以内の強化が、プロテスト合格を決定づけた最大のポイントだったのだ。

4. 姉・吉田優利の存在と影響

優利選手の優勝を喜ぶ

吉田鈴の挑戦を陰で支えていたのは、姉の吉田優利だった。

2019年にプロ入りし、2022年にはステップ・アップ・ツアー(旧・ステップ・アップ・ツアー)で優勝を果たしている実力者だ。

「姉は私のことを一番分かってくれている存在です。ゴルフの技術面だけでなく、メンタル面でも支えてくれました」

プロテスト期間中、優利は米国ツアーに参戦中だったが、毎日のようにビデオ通話で妹を励まし続けた。

特に初日の大きな出遅れ後には、「諦めないで。あなたならできる」と送ったLINEメッセージが鈴の心を奮い立たせた。

Xでは、姉妹の絆を示すエピソードが拡散され、「#吉田姉妹」がトレンド入りするほどの話題に。

あるファンは「姉が妹のスイング動画を分析して送っている様子がほほえましい」と投稿していた。

優利は妹の合格後、自身のSNSで「この壁を乗り越えた妹子は強いです」とコメント。

さらに「鈴ちゃんおめでとう!これからは一緒に頑張ろうね」というメッセージを添えた写真を投稿し、多くのいいねを集めた。

鈴にとって優利は憧れの存在であり、目標でもある。

「姉の背中を追いかけてきました。プロになった今も、姉を超えることが私の目標です」

姉妹の絆は、ゴルフの技術面でも発揮されている。

優利から教わったグリーン読みの技術は、プロテスト最終日の劇的なバーディパットにつながった。

「姉からは『グリーンの高低差だけでなく、芝目の向きも意識して』とアドバイスをもらっていました。あのパットは姉のおかげです」

2025年3月の「Vポイント×SMBC レディス」では、姉妹がプロとして初めて同じ大会に出場した。

結果はご存じの通り姉・吉田優利のぶっちぎりの優勝。

優勝の瞬間を喜ぶ「吉田姉妹の姿」が話題になっている。

「姉と同じ舞台で戦えることが本当に楽しみです。いつか同じ組で回れたら最高ですね」

と、吉田鈴はコメントしている。

5. 合格後の変化とプロとしての第一歩

吉田鈴

プロテスト合格後、吉田鈴は「合格したら行こう!と決めてたお店」で自分へのご褒美を楽しんだ。

アルバ公式サイトによると、2024年11月15日に自身のインスタグラムを更新し、「合格したら行こう!と決めてたお店に行ってきた!」と投稿している。

この日の吉田は淡いイエローに黒のドットが綺麗に並んだトップスとショートパンツのセットアップを着用。

笑顔を浮かべた後ろ姿と、目の前に置かれたスイーツに視線を落とす姿の2枚の写真を公開した。

2024年11月2日のJLPGA97期生入会式では、吉田鈴の人柄が注目を集めた。

JLPGA公式インスタグラムでは、吉田が撮影した入会式の舞台裏映像が公開され、ファンからは「吉田家の血統はエンターテイナーですわぁ~」「初々しくて良いですね」「姉妹でコミュ力がえぐい」などの声が寄せられた。

プロ入り後、吉田鈴は2025年2月4日パーリーゲイツとウェア契約を結んだことが発表された。

また、1月20日には姉・優利と共に三井住友銀行とのスポンサー契約、3月17日にはソフトバンクとのスポンサー契約も発表され4、プロとしての基盤が整いつつある。

「今年はルーキーとして日本ツアーでプレーできることに、大きな喜びや楽しみと少しの不安はありますが、常に挑戦し、成長できるよう日々努力していきます」と三井住友銀行との契約時にコメントしている。

2025年3月のツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」では、プロ初戦ながら堂々としたプレーを見せた。

初日は雨と強風、寒さという厳しいコンディションの中、6バーディー、3ボギーの「69」をマークし、単独2位の好スタートを切った。

最終的には通算1アンダーの15位タイでプロデビュー戦を終え、「デビュー戦の割には、すごいいいプレーができた」と納得の表情を見せた。

「すごくいいプレーができたと思います」と充実した表情で語った吉田は、「アマチュアの時よりうまくなったと思うところもあるし、技術を磨いていきたい」と今後への向上心をのぞかせてい

第2戦目の「Vポイント×SMBCレディス」では初日71(1アンダー)の8位タイと好スタートを切ったものの、2日目75(3オーバー)で順位を33位に後退。

最終日77(5オーバー)と失速し、通算6オーバー45位タイで大会を終えた。

特にパット面の課題が顕著で、初日1.50パットの好調から2日目1.83、最終日1.90と精度が低下。

フェアウェイキープ率も初日78.6%から最終日57.1%に急落し、コース攻略に苦戦した。

姉・優利の圧勝とは対照的な結果となったが、初日は姉妹でトップ10入りする場面も見せた。

6. 今後の展望と目標

姉・優利の優勝後、抱き合う吉田姉妹

プロ入りを果たした吉田鈴だが、本当の勝負はここからだ。

「コーチからは『プロになってから3年以内が大事』と言われています。この3年で結果を出せるかどうかが、その後のキャリアを左右すると思っています」

具体的な目標を聞くと、吉田鈴の目は輝きを増した。

「まずは国内ツアーで優勝すること。そして将来的には五輪出場と米ツアー参戦を目指しています」

姉・優利との活躍も期待されている。

ゴルフ専門誌「週刊GD」では「吉田姉妹の時代が始まる」と題した特集が組まれ、姉妹での活躍を予想する記事が掲載された。

「姉とは違うタイプのゴルファーなので、お互いに刺激し合いながら成長していきたいです。いつか姉妹で表彰台に立つのが夢です」

プロテスト合格後、吉田鈴の表情には明らかな変化が見られる。

「プロテストに比べたら…本当に解放されました。4年間、プロテストのプレッシャーで苦しかったので、今はゴルフが純粋に楽しいです」

ルーキーイヤーの課題としては、「100ヤード以内の精度をさらに上げること」「メンタル面での安定」を挙げる。

「初日から最終日まで安定したスコアで回れるようになりたい。そのためには練習あるのみです」

練習量も質も変わらない。

むしろプロになってからの方が練習時間は増えた。

朝6時から夕方6時まで、休憩を挟みながらも集中して練習に取り組む日々だ。

「プロテストは通過点に過ぎません。これからが本当の勝負です。応援してくださる皆さんの期待に応えられるよう、一日一日を大切に頑張ります」

7. 読者へのメッセージ性:諦めない心の重要性

吉田鈴選手の4度目の挑戦で成功したプロテスト合格は、私たちに「諦めない心」の大切さを教えてくれる。

2021年から3年連続で挫折を味わいながらも、最後まで諦めずに挑戦し続けた姿勢は、多くの人々に勇気を与えている。

「諦めたら終わり」という言葉の重みを、吉田選手は身をもって示した。

2024年のプロテスト最終日、7オーバーという厳しい状況から「絶対に諦めない」という強い精神力で逆転合格を果たした。

この経験は、どんな困難な状況でも希望を持ち続けることの大切さを教えてくれる。

失敗を糧にする姿勢も、吉田選手から学ぶべき重要なポイント。

過去3回の挫折を単なる失敗として片付けるのではなく、それぞれの経験から学び、技術面やメンタル面での改善につなげていった。

家族のサポートの大切さも忘れてはいけない。

特に、姉の吉田優利選手の存在は大きな支えだった。

プロテスト期間中も、米国ツアーに参戦中にもかかわらず、毎日のようにビデオ通話で妹を励まし続けたという。

家族の絆が、困難を乗り越える力となった。

ゴルフ界の新星として、吉田鈴選手への期待は高まっている。

プロ入り後の初戦となった2025年3月の「ダイキンオーキッドレディス」では、初日69の好スコアで単独2位のスタートを切り、最終的には15位タイという好成績を収めた。

この活躍は、彼女の潜在能力の高さを示すとともに、今後のさらなる成長への期待を抱かせる。

吉田選手の姿勢から学べることは、ゴルフに限らず、人生のあらゆる場面で活かせる。

困難に直面したとき、諦めずに挑戦し続ける勇気、失敗から学ぶ姿勢、そして周囲のサポートを大切にする心。

吉田鈴選手の姿は、私たちに勇気と希望を与えてくれる。

結論部:新時代の幕開け

吉田鈴選手のプロデビューは、まさに新時代の幕開けと言える。

姉の吉田優利選手とともに、「吉田姉妹の時代」の到来を予感させる。

2025年3月の「Vポイント×SMBC レディス」では、姉妹がプロとして初めて同じ大会に出場した。

姉・優利選手のぶっちぎりの優勝後、二人で寄り添う姿はゴルフファンの間で大きな話題となっている。

2025年シーズンは、吉田鈴選手にとって重要な1年となる。

ルーキーイヤーの課題として挙げた「100ヤード以内の精度をさらに上げること」「メンタル面での安定」の克服に向けて、どのような成長を見せてくれるだろうか。

読者の皆さんも、吉田選手の挑戦する姿勢から勇気をもらい、自分の目標に向かって一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。諦めない心と家族や周囲の支えがあれば、きっと夢は叶うはずです。

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