4月1日からは「ブギウギ」に代わって「虎に翼」が始まります。日本法曹界初の女性弁護士・そして裁判所所長になった女性、三淵嘉子さんをモデルとした物語です。
「虎に翼」の主人公の名は、猪爪寅子(いのつめともこ)。
演じるのは伊藤沙莉さん。
女性の権利獲得のために奔走し、裁判など法律に関わる世界を通じて、様々な事件や問題に直面しながら成長して行く寅子(ともこ)の姿を描く、朝ドラの王道的な作品となるでしょう。
キャスト陣も豪華です。
どんなお話になるのか、ちょっとだけ「予習」をしてみませんか。
「虎に翼」の意味
「虎に翼」とは、もともとは韓非子の言葉とされます。
この言葉を聞くと、私は、どうしても壬申の乱を思い出してしまいます。
天智天皇の息子の大友と、天智天皇の弟の大海(後の天武天皇)が戦った古代の最大の戦いです。
天智天皇が病の時に、出家姿で現れた大海を天智天皇は自分の元をさらせてしまいます。
それを見た天智天皇の重臣たちは、「大海人皇子をそのままさらせてしまったら、虎に翼を与えるようなものだ」と、言ったといいます。
つまり、「虎に翼」とは、「力のある者に、さらに強さがプラスされる」ことを意味しています。
主人公の伊藤沙莉さん演じる猪爪寅子(いのつめともこ)は、戦前・戦中・戦後の激動期の日本女性としては、「虎」だったのでしょう。
その寅子に、さらに「法律」の力が加わり、自分を、そして日本における女性の地位を変えていく。
「虎に翼」というタイトルは、そういう意味だと思われます。
「虎に翼」は、どんなお話になりそうか
ドラマ「虎に翼」は、伊藤沙莉演じる猪爪寅子(いのつめともこ)が法律という翼を手に入れ、女性初の弁護士や裁判官・裁判所所長となっていく姿を描く物語です。
寅子とその仲間たちの奮闘や成長、時代背景の中での戦いなど見所となるはずです。
女性の社会進出や、人権獲得をテーマに進行していくことが予想されます。
面白いのは、前作「ブギウギ」の福来鈴子(笠置シヅ子)と、全く同時代を生きた女性の物語だという点です。
今までの朝ドラでも見られたことですが、「虎に翼」の中に、ちょこちょこっと笠置シヅ子を登場させてくることが予想されます。
猪爪寅子が立ち寄るどこかの店で、笠置の曲がかかっているとか、笠置のレコードが何気なく置かれているとか……。
どこで、仕掛けてくるか、ちょっと楽しみです。
ちょっと、横道にそれました。
話を戻して「虎に翼」とは、鬼に金棒と同じく強いものにさらに強さが加わるという意味です。
このことわざをタイトルにした物語ですから、物語は女性の権利獲得への奮闘や裁判を通して様々な問題が解決される爽快な展開が期待されます。
演技力抜群で独特の空気感を創れる伊藤沙莉さんなので、コミカルな場面、シリアスな場面、涙なくして見られない場面も、見事にヒロインたちの活躍や成長を描いてくれることでしょう。
また、法律という翼を得て力強く成長した猪爪寅子は、弱き者や人々のために自らの力を使うことでしょう。
この物語では、ヒロインの猪爪寅子が法曹の世界へ飛び込み、日本初の女性裁判官として活躍する実話に基づいて展開されます。
女性の職業選択の自由が制約されていた時代です。
ヒロイン猪爪寅子の活躍により、男社会でガチガチの男尊女卑の社会に、女性ならではの人情深い審判が行われる。
そんな展開が予想されます。
寅子たち、法曹界に挑もうとする女性たちに対し、旧態依然とした価値観で「男らしく振る舞う男子学生や先輩の裁判官との関係、また良き理解者となる人々も現れるかな。
ヒロイン周囲のキャラクターたちとの交流や対立が物語に厚みを与えるはずです。
ヒロインの前に立ちはだかる高い壁や困難にどのように立ち向かっていくか、彼らとの関わりが物語の展開にどう影響を与えていくのか、楽しみです。
伊藤沙莉が演じる猪爪寅子のモデル、三淵嘉子とはどのような人物だったか
三淵嘉子さんのプロフィール
三淵嘉子さんは、女性初の弁護士・判事であり、日本の女性法律家の先駆者です。1914年にシンガポールで生まれ、父は台湾出身で母はシンガポール出身でした。結婚後、夫が病死し、シングルマザーとして子供を育てました。
兄弟や家族
お父さんは、台湾銀行勤務に努めていました。
名前は、武藤貞雄〈劇中・直言)。
母親は。武藤ノブ(劇中・はる)。
彼女は、二人の長女として、シンガポールで生まれました。
シンガポールは、漢字で「新嘉波」と表記しました。(別の表記法もある)
三淵嘉子さんの「嘉」の字は、「新嘉波」の「嘉」の字からとって名付けられたわけですね。
嘉子には、4人の弟たちが射ました。
長男:一郎
次男:輝彦
三男:晟造
四男:泰夫
さんたちです。
三淵さんは結婚を2回経験しています。
最初の夫は、和田芳夫さん。
実家に書生として下宿していた書生さんでした。彼は明治大学を卒業しています。
二人は結婚し、昭和18年1月には長男の芳武が誕生しました。
しかし、昭和18年は戦争まっただ中です。戦争にかり出された芳夫さんは中国で病気になり、日本に帰国したものの、長崎の病院で亡くなってしまいます。昭和19年6月のことでした。
夫を亡くした後、嘉子は子どもを抱えたままシングルマザーとして頑張ります。
このあたり「ブギウギ」のスズ子に重なりますね。
そして、戦後はもう終わったと言われる昭和31年8月、最高裁調査官である三淵乾太郎と再婚することになりました。乾太郎は、前妻と死別していました。
彼には、前妻との間に子が3人いました。
長女:那珂
次女:奈津
三女:麻都
長男:力
さんです。
三淵嘉子さんは、三淵乾太郎さんと結婚したことで、子どもが4人になったわけです。。
学歴と経歴
明治大学卒業後、三淵さんは東京地裁判事になり、家庭裁判所で5000人を超える少年少女たちの審判を担当しました。その後、名古屋地方裁判所で初の女性判事として活躍しました。
活躍と業績
三淵さんは裁判官として活躍し、戦後に日本で初めての女性裁判官の座に就き、少年少女たちの審判を通じて人情深く接しました。彼女の温かい言葉で心を開く子供たちが多かったと伝えられています。
人間性とエピソード
三淵嘉子さんは人間らしい優しさを持った方でした。裁判官の仕事だけでなく、女性の権利を獲得するために奔走し、子供たちとの接し方でも人情深い一面が垣間見えます。その生涯は、戦後の日本で女性が法曹の世界で活躍する道を開いた歴史的な功績として称賛されています。
おもな出演者
猪爪家の人々
寅子(伊藤沙莉)の家族である猪爪家の人々について紹介します。
猪爪寅子(ともこ)の母親猪爪はるを演じるのは、石田ゆり子さん。いくつになられても美しい美魔女さんです。
寅子の父、直言を演じるのは岡部たかしさん。
直言は、銀行で働く父親として描かれています。彼は寅子を愛するあまり、甘やかしてしまう娘には甘い人物のようです。
岡部たかしさんは、前作「ブギウギ」ではアホのおっちゃんを演じていました。NHK朝ドラの常連さんですね。
本作では娘には甘いが、東大出のエリート銀行マンとして登場します。
本作でも、岡部たかしさんの人間味あふれる演技力に期待が高まります。
妹思いの兄直道を演じるのは上川周作さん。
そして、森田望智さんが直道の妻花江。
さらに、弟の直明を演じるのは、三山凌輝さん。
さらに猪爪家に下宿し、弁護士を目指す書生の佐田優三を仲野太賀さんが演じています。
この佐田という人物が、寅子(三淵嘉子)の最初の夫になるようです。
法曹界の先輩・先生
穂高重親教授
寅子の恩師として一番に挙げられるのは、穂高重親先生でしょう。
穂高重親先生は、明律大学の教授。
あるとき、寅子の家に同居する書生の佐田優三にお弁当を届けるために明律大学を訪れた寅子。
そこで、寅子は穂高教授と運命の出会いをします。
ほんの一瞬の出会いにもかかわらず、穂高教授は寅子の才能を見抜きました。
そして、明律大学女子部法科に誘われます。
この出会いが、寅子の法律家としての道を開きました。
寅子にとって、足を向けて寝られない大恩人ですね。
ところで、この穂高重親教授のモデルとなった人物は、穂高重遠先生。
この方、何と渋沢栄一の初孫です。
そして、穂高教授を演じているのは、小林薫さん。
そう、NHK大河「青天を衝け」で、渋沢栄一のお父さんを演じていましたねえ。
今回は、自分の子の子の子、つまり曾孫さんを演じているのですねえ。
小林さんご本人も、感慨深いことでしょう。
裁判官 桂場等一郎
裁判官桂場等一郎役を演じるのは、松山ケンイチさん。
堅物で腹の内を見せない裁判官という役どころです。
松山ケンイチさんにぴったりの役どころですねえ。
『女性が法律を学ぶことに疑問』を持ている人物。
ちょっと気難し先輩キャラクターです。
ですが、桂場は実は甘いもの大好き。
このギャップがなんともいえません。こういうところを、憑依型とかカメレオン俳優とか評される松山ケンイチさんが、上手に演じることでしょうね。
ところで、この桂場等一郎のモデルは、石田和外(いぢだかずと)と思われます。
石田和外は、寅子のモデル三淵嘉子が、「私を裁判官に採用して」と、司法省人事課に直談判に行ったときの人事課長さんでした。
何のかんの言って、この気難しげな先輩が寅子を助けてくれるのでしょうね。
寅子の学友
寅子の学ぶ明律大学女子部法科は、明治大学でしょうね。
ここには、個性的な学習がいました。
当時としては異例の「女だてらに、法律を学ぶ」と言われた先進的で、アクティブな女性たちです。
個性的な彼女たちの事ですから、おそらく学びの中で対立や、葛藤、そして友情が描かれるでしょう。
山田よね
山田よねを演じる のは、土井志央梨さん。颯爽とした男装の女性です。女性の社会進出に熱い信念を持ち、誰とも 群れたがらない一匹オオカミというイメージですかね。
なぜ、男装をしているのか。そこには深いエピソードが隠されていそうです。
土井さんは1992年7月23日生まれの31歳、福岡県の出身です。
朝ドラ おちょやんでは芝居茶屋 岡安で働く 富士子を演じていましたね。
桜川涼子
桜川涼子は、成績優秀な華族のお嬢様。このお嬢様、相当の有名人でファッション や行動が雑誌で取り上げられるほどでした。
また、いつもお付きの女性を伴って登校してくる、庶民感覚とはかけ離れた育ちをしているようです。それに、なかなか 癖が強そうなキャラクターです。
演じる のは桜井ユキさん。
桜井さんは1987年2月10日生まれの37歳。桜井さんも福岡県の出身です。
朝ドラ「ちむどんどん」では、原田美枝子さん 演じる 房子の若かりし頃を演じていました。
近頃ではサントリー 翠のCMにも登場しています。
大庭 梅子
大庭梅子は、同級生の中では一番の年上。
弁護士の夫を持ち、3人の息子の母でもあります。
こんな安定している人が、「女は家を守る」ということが常識の時代に、なぜ法曹界を目指したのでしょうか。
寅子たち同級生のために、毎日おにぎりを作ってきてくれる優しいです。
そして、「若いとお腹がすくから」が口癖。
でも、この優しさの裏に梅子さんにしか分からない苦労とか不幸とかが隠れていそう……。
演じるのは、平岩紙さん。
平岩紙さんは 1979年11月3日生まれの43歳 。
大阪府吹田市の出身です。
劇団大人計画に所属する女優さんで、朝ドラには、すでに三作品に出演しています 。
とと姉ちゃんでは仕出し弁当やの森田屋の大将を献身的に支える妻、照代役でした。
崔香淑
崔香淑は、朝鮮半島から来た日本語を流ちょうにしゃべることができる留学生という役です。
演じるのは韓国人のハ・ヨンスさん。
1990年10月10日生まれの32歳だそうです。
韓国でモデルとして活躍された後に女優となり、石原さとみさんが主演した「 リッチマンプアウーマン」の韓国 リメイク版でヒロインを演じたそうです。
2022年から活躍の場を、韓国から日本へ移しています。
今回の朝ドラ出演で、日本でも大ブレイクするかもしれませんね。
轟太一
轟太一は、明律大学法学部の男子学生です。
「男は強くあるべし」という信念をもち、努めて男らしく振る舞うことをポリシーとする男子学生。
この信念は、下手をすると「男尊女卑」という気持ちにつながりそうです。
これだと、寅子たち女学生と一悶着起きそうですね。
轟太一を演じるのは、戸塚純貴さん。
戸塚さんは1992年7月22日生まれの31歳。 岩手県盛岡市の出身です。
ジュノン・スーパーボーイコンテストをきっかけに 芸能界入りしました。
ドラマ でお笑いコンビ オードリーの春日俊彰さん役を好演して、その知名度を上げたことでも知られています。
花岡 悟
花岡 悟も、轟と同じく明律大学法学部の男子学生。
こちらは轟とは違って、女学生たちにも心を開く、先進的意識を持つ法学生です。
そのため、女学生からも大人気で、寅子にとっても気になる存在となりそう。
演じる岩田剛典さん。
1989年3月6日生まれの34歳 。愛知県名古屋市の出身です。
3代目J Soul Brothersや EXILEのメンバーとして活躍する岩田さんですが、歌手活動以外にも 映画「 AI 崩壊」 や「新解釈三国志」など、多くの映像作品に出演し、役者としても大活躍です。
まとめ
「虎に翼」は、日本初の女性弁護士をモデルにした物語であり、女性の社会進出や人権獲得を描いたドラマとして期待されています。松山ケンイチさんや岩田剛典さんなど豪華な出演者が登場し、伊藤沙莉演じる猪爪寅子の成長や挑戦、周囲との関わりを通じてどのようなストーリーが展開されるのか、視聴者たちは楽しみにしています。
4月からの「虎に翼」も、、「らんまん」「ブギウギ」に続いて現実のモデルをもとに描く作品となります。
歴史好きの者にとっても、史実との比較という視点からも楽しめる作品になりそうです。
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