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斎藤道三が学んだ中国の兵法書「六韜」

六韜
目次

「六韜」とは

 「六韜:(りくとう)」とは、中国の兵法書。「韜」とは、剣や弓を射れる袋を意味する。一巻「文韜」「武韜」、二巻「龍韜」「虎韜」、三巻「豹韜」「犬韜」からなり、太公望が周の文王と武王に兵学を教えるために書かれた。

『虎韜(ことう)』武力に依らず敵を倒す12の法

 斎藤道三は、一介の油売りから美濃一国を手に入れた室町末期の武将。マムシの異名を持ち、戦国武将の中でもファンが多い一人だ。

 この道三、これだけの出世をするほどだから頭もよい。さらに、相当な勉強家だった。特に兵法書をよく読んだという。ではその兵法書とは何か。中国の軍学書「六韜」だ。その中でも特に「虎韜」中の「武力に依らず敵を倒す12の法」を実践に用いていた。

ウィキペディア:斎藤道三

敵を倒す12の法

1 敵の関心を買うように仕向ける
2 敵の君主が信頼する部下に接近し、君主と対立させる。
3 敵側の重要人物を買収する。
4 敵の君主を放蕩にふけらせる。
5 忠実な部下を、君主から引き離す
6 敵の部下を懐柔して、利用する。
7 敵の君主を、周囲の離反で無防備にする。
8 敵を信頼させる。
9 敵にお世辞を使い、甘言を以て籠絡する。
10 誠意をもって、相手に接する。
11 敵の君主を孤立させる。
12 あらゆる方法で、敵の君主を惑わす

「虎韜」意訳

 さもありなん。
 「兵は詭道なり。」

● ①「敵の関心を引く。」
 一つには、⑧「敵の信頼を勝ち得る。」⑩「誠意」をもって接し⑨「お世辞」「甘言」④「放蕩にふけらせる」試みなど、⑫あらゆる方法で「惑わす。」
 ①また、「敵の関心を引く」には、「自分の意図する場面とは違う場所に敵の関心を引きつける」、という意味もあるだろう。

● 敵の君主を⑪「孤立させる。」例えば③④「信頼する部下を買収し」②「君主と対立させ」たり、⑤忠実な部下と「引き離す」手立てを講じたり、⑦周囲が君主に「離反」するように仕組んだりする。

● あたかも君主側に立っている如くに見せかけ、⑥「懐柔」して、こちらの意のままに動く者をつくる。

斎藤道三とはどのような人か

  斎藤道三は、いわば流れ者。元は僧として美濃へ流れてきたようだ。その僧が油屋の娘を娶り、あれよあれよという間に商才を発揮して家勢を高める。

 さらに、土岐家の家臣となると、鷺山城主の土岐頼芸(よりのり)を虎韜の極意を使ってそそのかし、守護の土岐盛頼(もりより)を討たせる。そして自分は土岐家の執事に納まってしまった。

 自分が土岐家の執事になると、主家の頼芸の嫡子を国外へ追放してしまう。そしてついには、自分が美濃一国の支配者にのし上がる。

詭略は、悪ではなかった

 戦国の世では、嘘はダメだが、「詭略」は武士の才能として高く評価された。私には、このあたりが良く理解できない。
 ただし、現代の企業間の在り方に置き換えてみると、「詭道」を用いるのは自分では嫌だが、相手企業が「詭道」を用いる場面は、十分考えられる。
 相手企業の「詭道」に惑わされ、それにのって自らの墓穴を掘ったとしたら、相手も憎むだろうが、自らの不甲斐なさも相当憎む気がする。

 自分では使わないまでも、相手の「詭道」をみやぶるためにこの12か条は知っておいて損はない。
 ちなみに、「虎の巻」という言葉があるが、その「虎」とは、この「虎韜」から来ている。皆さんも「虎」に惑わされませんように。

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