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『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』:テレビアニメとの「世界線の違い」と評価

2023年11月17日に公開された映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が記録的な大ヒットとなっている。公開から3週間で累計興行収益が11億5,000万円を突破した。どうやらヒットの源は、ネットを含む口コミ『ゲ謎』)にあるらしい。ネット上で口コミが増えるにつれ、リピーターも増加している。この映画がテレビアニメと大きく違っている点は、完全な大人向けのホラーミステリーに仕上がっている点。アニメでも第6期を中心に鬼太郎誕生のエピソードは描かれている。ではテレビアニメと映画は、同じ世界線で描かれているのだろうか。それとも全く新しい鬼太郎誕生エピソードなのだろうか。そして、その評価はどうなっているのか。このブログではテレビアニメと映画の世界線の同違と評価について探る。

目次

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 評価

鬼太郎の父と水木(「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」より)

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』で描かれる「鬼太郎誕生の物語」

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、原作者水木しげる生誕100周年を記念して作成された映画。
水木の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」のTVアニメシリーズは、第1期が1968年(昭和43)年に始まり、2018年~2020年の第6期まで放映されたTVアニメ。
今回の映画は、第6期の前日譚と位置づけられている。

幽霊族の生き残りの少年・鬼太郎の誕生の物語なのだが、中心は“目玉の親父”になる前の鬼太郎の父と人間の水木が出会って活躍するストーリー。
そのため鬼太郎は、オープニングとエンディングのごく一部にしか登場していない。

あらすじ(ネタバレ)

物語の舞台は、昭和31年(1956年)の哭倉村(なぐらむら)
帝国血液銀行に勤務する青年水木は、人里離れた哭倉村を訪れた。
日本の政財界を牛耳っていた龍賀家の当主が急逝したので、葬儀に参加することを名目に、血液製剤「M」の謎に迫るためだった。

哭倉村で水木を待っていたのは、凄惨な殺人事件。
閉鎖的な旧家である龍賀家の跡目をめぐる連続殺人事件だった。

水木

この事件の犯人にでっち上げられ捕えられたのは、身なりがいかにも怪しげな男。
この男こそ、目玉のおやじになる前の鬼太郎の父。

鬼太郎の父は、行方不明になった妻を探すためにこの村にやって来ていた。
事件に巻き込まれた水木と鬼太郎の父は、やがて龍賀家と村に隠されていた恐るべき怪異と、それにかかわる秘密を知る。

龍賀家は、 日本の政財界に大きな影響力を持つ一族。
その当主、龍賀時貞(白鳥哲が死去した。
そこで帝国血液銀行に勤める水木(木内秀信)は、会社にとって都合が良い龍賀製薬社長龍賀克典(山路和弘)が新当主になることを願い、龍賀一族が暮らす哭倉村へ向かったのだった。

龍賀時貞(白鳥哲

龍賀製薬は、戦前から“M“と呼ばれる特殊な血液製剤を軍に供給していた。
これは人間の肉体や精神を大幅に強化するある種の麻薬とされているモノ。
水木の勤める帝国血液銀行は、何としてもMの製法を知りたがっている。そこで、他人を蹴落としてでも出世を願う昭和の男の典型として描かれる水木を哭倉村へと送り込んだのだった。

村に着いた水木は、新当主となるはずの克典の妻で、亡くなった時貞の長女乙米沢海陽子)や、克典と乙米の娘で東京に憧れる沙代種﨑敦美)、そして、時貞の孫の時弥小林由美子)たちと出会う。

龍賀一族が集う屋敷で、時貞の遺言が読み上げられる。
当主に指名されたのは、水木が期待する克典ではなかった。
遺言状には、長男の時麿飛田展男)名が書かれていたのだった。

その頃、哭倉村に怪しげな男が現れていた。その人物こそ鬼太郎の父。
彼は、行方不明の妻を探すためにこの村にやって来た。
閉鎖的な村社会に突然やって来た鬼太郎の父は、村人から警戒される。
水木は成り行きで、鬼太郎の父の監視をすることになり、男をゲゲ郎(関俊彦と呼んだ。

鬼太郎の父・ゲゲ郎(関俊彦

水木がゲゲ郎を監視している最中、龍賀一族の者が次々と何者かに殺される事件が起こった。
犯人として疑われるゲゲ郎。

そんな折、ゲゲ郎は禁足地とされている湖の孤島に向かった。
それを知った水木は、彼の後を追う。
そして水木は、妖怪が跋扈する異世界に迷い込んでしまった。
そこで水木は、あるおぞましい秘密を知る。

水木しげるが描く鬼太郎の世界には、幽霊族と言われる種族が存在している。
幽霊族は人類出現よりもはるか昔からこの地球に存在していた。いわば地球の先住民。
性格はきわめて穏やか。
そのために、後から地球に現れた人類に追われ、地上から地下に逃げて隠れて暮らすようになっていった。

幽霊族の誰かが、たまに地上に出て彷徨うことがある。
その姿を見かけた人間は、彼らを幽霊と呼び、その呼称が族名として定着していった。

文明が発達した世の中で、幽霊族は徐々にその数を減らし衰退の道を歩んでいる。
鬼太郎や目玉のオヤジは、その幽霊族の数少ない生き残りだった。

ただし幽霊族の肉体は強靭で、なおかつさまざまな超能力を持っている。
龍賀一族は、幽霊族の存在とその特性を知っていた。
そして幽霊族をとらえては、その血を抜き取り、人間の肉体や精神を大幅に強化する血液製剤『M』を精製して売り捌いていたのだった。
龍賀一族の「富」は、こうし積み上げられてきた。

では、血を抜かれた幽霊族はどうなるのか。
幽霊族は、血を抜かれても死なない。
その代わり、その魂は深い怨念を抱いた妖怪・狂骨となってしまう。そして、どんどん巨大化する狂骨を封印しているのが湖の孤島だったのだ。

ゲゲ郎は、自分の妻も龍賀一族にとらえられ、血を抜かれたのでは無いかと予想していた。
そこで、龍賀一族の本拠である哭倉村(なぐらむら)に来た。

龍賀一族は『M』の販売で「膨大な富」を得るだけでは飽き足らず、○○のようなおぞましい行為も行い、その結果として人ですらなくなりつつあった。
そして、この怪異が 水木とゲゲ郎の前に立ちはだかる最大の敵となる。

物語は、村の生活に嫌気がさし、東京へ逃げたいと願う龍賀一族の令嬢「沙代」と、彼女を利用しようとする水木の物語が活劇調に描かれる。
そこに、妻を探す鬼太郎の父が絡む。
そして、水木とゲゲ郎のバディーにより、村の妖怪伝説の真実、龍賀一族の謎解きへと収束していく。

人間の欲望と、その欲望から生まれた怪異。
そして、虐げられ滅びかけた幽霊族の底力(希望・愛)との戦い。
ゲゲ郎とバディーを組む水木自身も、欲望に染まった人間の一人というシニカルな構造。
見応えのある、よく考えられたストーリーと言える。


欲望という名の怪物に取り憑かれた人間。
人間の欲望は、自らを滅ぼすまで肥大して行く。
その人間によって虐げられた幽霊族たちにとって、ゆいつ救いとなるのは幽霊族(おそらく、虐げられた人々の象徴)の「愛の結晶」として誕生する鬼太郎。

昭和の男(「他人を蹴落としてでも出世してやる」というむき出しの上昇志向の持ち主として描かれる)水木は、欲望に染まっている自分を、当初は意識していなかった。

それは、水木(昭和期に生きた人々)にとって、「呪い」でもあったというシニカルなメッセージを含んでいる。

この映画は、TVアニメ第6期の前日譚ではあるが、 TVシリーズを観ていなくても鑑賞には問題ない。
だが、出来れば水木しげる氏の初期の作品、「墓場鬼太郎」は読んでおいた方が味わい深いかもしれない。
「墓場鬼太郎」は、水木しげるが1960年に描いた作品。

肯定的な評価

この映画の賛否の比率は、褒める意見がおよそ9割。
評判としては非常に良い。

「横溝正史作品的なミステリーとして、そしてバディー物として文句なしに面白かった」
「アジア太平洋戦争の悲惨さや愚かさをしっかりと描き、水木しげるイズムがしっかりと継承されている」

賛成意見(ネット上より)

評価には上記の様に、
『アニメ全体に水木しげるイズムがしっかりと継承されている点がよい。』
と言う意見も多い。

「評価としてはかなりの賛。
横溝正史 meets 『妖怪アニメ』という取り合わせが好き。~
ストーリーは、ミステリーとしては大人の観客はだいたい先が読める展開~
(だが)丁寧な話の運び~
登場人物のバックボーンや悲劇的な秘密に自然な感情を匂わせる作りがうまい。

賛成意見(ネット上より)

上記の様に、「丁寧な話の運び」と評価する人もいるが、一方では、「話のテンポの都合上仕方が無いかも知れないが、感情描写が粗雑」という意見もあった。

「ゲゲ活が止まりません。20回とも泣いています。『救いがない』とか言う人もいますが、私は好きな話。いろんな愛にあふれる話でした。たしかに切なさは残ります。『墓場鬼太郎』への繋がりや、包帯ぐるぐるになって目玉になるまでわかり、すっきり」。これ、ちょっと後ほども言いますけども。元のね、貸本漫画からある設定ですよね。

TBSラジオキャスター楠葉絵美さん

この方は、20回も『ゲゲゲの謎』を観ているらしい。
すごい。

否定的な評価

「アニメとしてのクオリティは一部を除いて普通」
「ストーリーも先が読める。前評判ほどではなかった」
「ミステリー風のお膳立てはありつつ、謎解き要素はない。拍子抜けした」

否定的意見(ネット上より)

などがある。

また、冒頭部分で山田という廃刊間近の雑誌記者が、かつて野戦病院だったような地下の廃墟に迷い込むシーンがある。このシーンの冒頭で、記者が
『鬼太郎の出生(しゅっせい)の秘密』と言っている。
これをとらえて、

さすがに、山田という人物は廃刊間近の雑誌記者、『出生』を「しゅっしょう」ではなく「しゅっせい」と言っている。記者のくせに漢字の読み方をきちっと把握していないのか。
それとも、この映画の制作者が「出生」の読み方を知らなかったのか。
もしかしたら、この映画の背景としてどうしても「戦争」を絡めたいので「出生」を『出征』とわざと言っているのか。
そうだとしたら「戦争反対」のメッセージの過剰表現、やり過ぎだろう。

という意見もあり、『単純に「戦争反対」と言っていれば戦争を防げる』と、考えることへの反発を示す方もおられた。

さらに、

「前評判の高さに興味を惹かれ、初めて鬼太郎の映画作品を鑑賞しました。アニメ映画としての水準は高いとは思いつつ、心底微妙~。

ネット上の意見

などという意見も一部にみられる。
ただし、否定的な意見は、全体の一割程度だった。

水木と鬼太郎の父(ゲゲ郎)のバディーとしての魅力

この作品の魅力は、水木とゲゲ郎のバディーとしての在り方にある。
水木はもともとは権力志向丸出しで出世への野心を隠さない昭和の男。
どちらかというと、人間浴にまみれる男で他人の不幸や不愉快に全く頓着しない人物として登場する。
タバコを欠かさないスーツ姿のサラリーマン。服装もいかにも昭和くさい。
汽車の中で咳き込む少女がいても気にせずに、たばこに火を付けるような男だ。

一方、鬼太郎の父は着流し姿で、ひょうひょうとした雰囲気。
だが、一本筋が通った男くささも感じさせる。
そして、目玉おやじになる前から温泉を愛する幽霊族の末裔。

そんな正反対の人間性(一方は幽霊姓?)をもつ二人が、最初はお互いの目的のために手を組むことになっていく。
吸いかけのタバコを回して吸ったりするなど、バディーならではの表現がクールだ。

この二人の大きな共通点といえば、二人とも『心に大きな傷を負っている』という点。
劇中の水木は、原作者である水木しげるの体験そのものを反映し、戦時中に理不尽な玉砕命令を受けながら生き残った経験をもっているという設定。
戦争から10年以上時が過ぎたにもかかわらず、今でも悪夢にうなされている。

鬼太郎の父は妻を人間に奪われた悲しみをもつ。
妻だけではない、数少ない幽霊族の同胞も人間にほぼ狩り尽くされたという悲しみをかかえる。
当然、人間には心を閉ざしている。

筆舌に尽くしがたい『悲しみ』を抱えた二人が、龍賀一族の闇を追及する過程で徐々に友情(?)を芽生えさせ、深めていく。そういう、バディーの魅力が女性ファンを中心に観た人たちを虜にしているようだ。

ホラー映画としての魅力

この映画は『犬神家の一族』をはじめとする横溝正史原作、市川崑監督の一連のホラーミステリーを想起させる。
龍賀家の人々が一人ずつ殺されていく描写は、本当におどろおどろしい。
私は、昭和31年生まれだが、この映画に描かれる昭和30年代は、実際の私の記憶より、ずっと殺伐とした空気を感じさせる。
私が実際に生きた昭和30年代は、実に活力に満ちた時代だった。
この点だけは、この映画に引きずられ過ぎないで欲しいと思う。
この映画に描かれる昭和30年代は、古賀豪監督がこだわり抜いた描く演出だ。

活劇としての魅力

鬼太郎の父(ゲゲ郎)と龍賀家に使える陰陽師集団・裏鬼道との戦いは、躍動感と迫力が感じられた。
闇に包まれた生業が行われている場所へ潜入した水木とゲゲ郎の二人が暗殺集団と戦う様子は特に迫力が感じられる。
ある人は、この部分を観てルパン三世の『カリオストロの城』に似ているといった。
暗殺集団から、ヒロインを助け出す場面は、確かに『カリオストロ』に似ているかもしれない。

映像の魅力

映像や音楽に関しては、
哭倉村に入ってからの雰囲気最高。音楽素晴らしい、風景美しい、夏日特有の影の濃さがじっとりとした不穏さを醸し出していて良い~。
など、肯定的な評価が多い。

水木の変化と鬼太郎の父の心理描写の魅力

水木は物語の冒頭、列車の中で咳き込む子どもがいてもタバコを喫おうとしていた。昭和の男はそうだったといえばそれまでだが、弱い者を踏みつけにしても構わないと思うタイプの男として描かれる。そんな男がどうやって戦中から戦後へと敷かれたレールから降りることができたのか、鬼太郎の父が生まれてくる我が子と未来についてどんなことを思っていたか、そして長く人々に愛される鬼太郎がどのように誕生したのか。
それを描いたところも、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』という作品が持つ魅力と言える。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の背景

この映画は、『戦後復興途上の日本』を舞台としている。
映画の世界は『因習と欲望が渦巻く世界』

映画は、TVマンガ「ゲゲゲの鬼太郎」+「犬神家の一族」+「ゴジラ -1.0」が混じったような雰囲気。
実は、鬼太郎とゴジラは同い年。
「ゴジラ」の第一作は、1954年の11月3日に封切られている。

鬼太郎の初登場は、1954年の紙芝居作品。
「墓場鬼太郎」が最初と思っている人もいるだろうが、紙芝居としてそれ以前の1954年に登場していたのだ。
ということで、ゴジラと鬼太郎は同い年。

同い年の両者にかかわる「ゲゲゲの謎」と「ゴジラ -1.0」は、その背景に共通するものがある。
それは、両者とも戦争の影が背景にあるという点。

ゴジラのケロイドの皮膚、放射能の炎は、原爆を象徴している。
神木隆之介が演じた「ゴジラ -1.0」の主人公は、特攻隊くずれ。
彼は特攻から逃げ、さらに不時着した大戸島でゴジラを撃てなかったことで、仲間を見殺しにしてしまい、深い贖罪の念に苛まれている。

「ゲゲゲの謎」でも、水木は戦争の悲惨さを引きずる男として描かれる。
二つの作品とも、戦争へと突っ走った日本への批評的視点が背景にあるのだ。

水木しげるが内地への復員時に乗った駆逐艦こそ、「ゴジラ -1.0」のわだつみ作戦の旗艦となる雪風だという事実も興味深い。

アニメ第6作と「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」との関係性について

ゲゲゲの鬼太郎第6期第1話より

「ゲゲゲの謎」は、テレビシリーズの第6期(2018年から2020年にかけて放送)の世界観をベースに創られている。
特にその第6期の第14話。
このときの監督・脚本は古賀豪さんと吉野弘幸さん。このコンビが、新たに作成したのが今回の『鬼太郎誕生』。

作成者が同じなので、TVアニメ第6期を観ていなくても、今回の映画のストーリーは理解できる。

「ゲゲゲの謎」も、原点である「墓場鬼太郎」も、
包帯グルグルの鬼太郎の父と鬼太郎の母(岩子)の死後に墓場で鬼太郎が生まれるという点、さらに鬼太郎の生まれながらの不遇を救うために、目玉おやじが誕生する点、さらに鬼太郎の誕生の場に水木がいて、鬼太郎を養育する点は同じ。

だが、鬼太郎誕生の地など、細部は異なっている。

押さえておくべきはむしろ貸本時代の『墓場鬼太郎』

だが、今回の映画の内容は、原作漫画でさえ描かれていないスピンオフ的なオリジナルの前日譚と言える。
若き日のその目玉おやじの風貌は、TV6期14話とは全く違うが、映画を鑑賞する上では大きな問題にはならないと思う。

出来れば、鬼太郎の原点である貸本漫画版『墓場鬼太郎』シリーズは読んでおければ読んでおきたい。
現在、復刻版が出ていて、電子版として観ることができる。
これを観ておくと、映画がの原点を知る事ができて面白いだろう。

「墓場鬼太郎」の水木は、地獄から帰れない

「墓場鬼太郎」で描かれた水木と鬼太郎の関係は、救いが無い。
水木は異世界(「地獄?」)行きの片道切符一枚を持って、深夜に出歩く鬼太郎を追った。
水木は、片道切符の効力で異世界に迷い込んでしまう。

水木の持っていた切符は片道切符だったので、異世界から現世に帰ってこれなくなった。
そして、息子がこの世界から消えてしまった水木の母は、鬼太郎に復習を試みる。

水木の母は、鬼太郎と目玉のおやじを地獄に着く落とすことに成功したかのように見えた。
だが、その直後に髪が白髪に変化し、山姥のような姿となって正気を失ってしまう。

鬼太郎と目玉のおやじはどうなったのか。
何事も無かったように、歩いている姿が描かれる。
だが、鬼太郎の顔は、身の毛もよだつような笑みが浮かんでいた。

「父さん、人間って面白い生き物ですね」

そう呟いて、鬼太郎は人間界(水木の住む村)を後にする。
これが、鬼太郎誕生の原点。

鬼太郎誕生の地の違いと、血液製剤「M」

「墓場鬼太郎」の鬼太郎誕生の地は、水木が住まう家の隣にある古寺。
方や「ゲゲゲの謎」では哭倉村(なぐらむら)

場面設定に大きな違いがある。
「墓場鬼太郎」には哭倉村がないので、当然「龍賀一族」も存在しない。
さらに、鬼太郎の母(岩子)の血液で、「人間が死んでも生きている」という幽霊状態になるということも描かれていない。

確かに、病院で「死んでも生きている」老人が描かれているが、それは岩子の血液によるものでは無く、岩子の意志で彼女の能力の一端を老人に移したことによった。

鬼太郎の父の目玉のおやじになる前の姿の違い

「墓場鬼太郎」で描かれる鬼太郎の父は、大男。
『ゲゲゲの謎」(第6期14話のアニメ版は、こちらに近い)は、着流し姿の優男。
断然、「ゲゲゲの謎」の鬼太郎の父の方がかっこいい。

墓場鬼太郎の父と母
左がTVアニメ16期の父・右がゲゲゲの謎の父

まとめ:テレビアニメとの「世界線の違い」と評価

以上観てきたように、「鬼太郎誕生の物語」として包帯グルグルの鬼太郎の父と、妊娠している母。そして二人は死を目前にしている、という物語の骨子は同じ。

だが、「ゲゲゲの謎」は、「TVアニメ第6期の前日譚のスピンオフ」物語を踏まえた、ほぼオリジナルの物語と言ってよい。

評価としては、肯定的評価が9割。
特に女性ファンに受けが良い。
子どもだけでなく大人も楽しめる映画と言える。

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