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風、薫る第6話|直美が理不尽に負けなかった理由を元教師が読む

こんにちは、なおじです。

今回は朝ドラ「風、薫る第6話「灯の道」の感想です。

タイトルどおり「灯」がテーマ。

今日は直美の回でした。

りんはほんの少しだけ登場して、縁談への覚悟を語ります。

後はほぼ全部、直美の話。

泥棒扱いされても、カラカラとしている直美。

「強い子だなあ」と思いながら見ていたら、あの言葉が出てきた。

教会にかかっていた額「敬天愛人」。

これ、どこかで聞いたことあるよなあ、と思ったそこのあなた。

正解です。改めて調べてみました。

🖊️ この記事でわかること

  • 「敬天愛人」の出典と西郷隆盛との関係
  • 直美が泥棒扱いされて工場を止められた場面の意味
  • 「この国から出たい」と願う直美の心理
  • 6話のキモとなる「灯の道」というタイトルの意味
  • なおじが教師時代に見た「似たような子」の話

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目次

りんの話はこれだけ・縁談への覚悟

りん

仏壇の前で母に告げた言葉

りんは、縁談に向き合う心構えができていた。

一ノ瀬家の娘として、望んで嫁ぎます」と、父の仏壇の前で母・美津に告げます。

家の娘として嫁ぐのではなく、「望んで」嫁ぐ。

この一言の違い、わかりますかね。

自分の意志で決めた、という宣言なんです。

押しつけられたわけじゃない。

覚悟の作り方が、りんらしいなあと感じました。

6話はここまで

りんの話はこの一場面だけ。

後は東京・直美の話になります。

「今週は直美週間なのかな」という感じで、6話はりんはほぼ脇に回ります。

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直美の日常・マッチ工場と英語の勉強

1日働いてマッチ一箱分の給料

直美は東京の町工場で働いています。

1日働いて、マッチ一箱分の給料

これ、明治時代の女工の待遇をきちんと描いているんですよねえ。

社会科の授業で「明治の女工は過酷な環境で働いていた」と教えてきたなおじとしては、うんうん、そうだよな、という気持ちで見ていました。

ただ「過酷」で終わらせず、直美はその合間に英語の勉強をしている

ここが直美の人物像の核心なんだと思います。

「今いる場所」に甘んじず、出口を探し続けている。

はつという女性と本の謎

赤ん坊を抱えるはつという女性が、本を一冊持ち出して工場を出ていきます。

「ああ、なんか起きるな」と思ったら、そのとおりでした。

経営者が女工たちに語りかけている場面もあって、「学問のすすめが工場からなくなった」と言っている。

これは直美の学ぶ意欲と呼応しているような気がします。

学ぶ場を奪おうとする社会と、それでも学ぼうとする直美。

対比がきれいだなあと感じました。

敬天愛人とは何か・西郷隆盛との関係

出典は『南洲遺訓』

教会にかかっていた額「敬天愛人」(けいてんあいじん)。

「変と言えば変だが、日本の教会だから良いんだろう」というなおじの感想は、実は的を射ていると思います。

これは西郷隆盛の座右の銘として有名な言葉で、出典は西郷隆盛の『南洲遺訓』(なんしゅういくん)です。

意味は「天を敬い、人を愛する」。

天地自然の理を敬い、そのうえで人を愛するという、西郷の学問観・人生観の核にある言葉です。

造語したのは中村正直だが…

実は「敬天愛人」という四字熟語自体は、明治の啓蒙思想家・中村正直の造語という説もあります。

ただ、西郷隆盛が1875年ごろ来訪者のために揮毫したことで広く知られるようになり、今日では「西郷の言葉」として定着しています。

社会科の授業で「西郷隆盛ゆかりの言葉」として紹介するなら、この出典の複雑さまで教えると面白いんですけどね。

なおじが教壇に立っていたとき、「名言の出典を調べると意外な発見がある」という授業をよくやっていました。

生徒たちの「えっ、そうなの!?」という顔が好きでした。

日本の教会に「敬天愛人」の額がかかっているのは、明治期のキリスト教と儒教的道徳が混在していた時代の空気を感じさせる、ドラマらしい細工だなあと思います。

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直美が泥棒にされた場面・理不尽の正体

はつが盗んだのに直美が工場を止めさせられた

直美が盗難事件に巻き込まれます。

お金を盗んだのははつ。

直美はすぐにそれを見抜きます。

ところが、工場をやめさせられたのは直美でした。

理不尽ですねえ。

なぜこんなことが起きるか。

身元不明のみなしご」という直美の境遇が、こういう場面でモロに出るんですよね。

証明してくれる人間も、庇ってくれる人間もいない。

だから「疑わしい」とされる。

「敬天愛人か」と直美

直美は何も言わずに工場を出る。

はつを責めない。泣かない。

そして神父・吉江さんに話を聞いてもらう場面で、神父の方が涙ぐみます

「理不尽な話に涙するのは神父の方で、表面上 直美はカラカラしている」。

この対比が鮮やかで、「強い子だなあ」と思いました。

教会に掲げられている額‥。

敬天愛人」という言葉が直美の心に浮かんでいたのでは‥、
天を敬い人を愛するという言葉が、理不尽への対処の仕方になっている‥。

直美にとって「敬天愛人」は、怒りを抑える呪文ではなく、歩き続けるための灯なのかもしれません。

泥棒と 呼ばれても尚 灯を持つ

「この国を出たい」という直美の願い

英語で外人の通訳・かんざしが売れた

街に出た直美が、得意の英語で外国人の通訳をします。

おかげでかんざしが売れました。

直美、英語力、本物ですね。

「雇ってくれ」と店主に頼みます。

ところが店主は「あんたはどこへ行っても雇ってもらえない。教会に捨てられた子だから」と言います。

理不尽その2です。

アメリカへ連れて行ってほしいとメアリーに頼む

直美は教会でメアリーに「いつかアメリカに連れて行ってほしい」と頼みます。

「この国から出て行きたい」という気持ち。

これは現代の若者にも刺さる場面じゃないかと思いながら見ていました。

なおじが長く教師をやってきて、似たような気持ちを抱えていた子を何人も見てきました。

この街には何もない。いつかここを出て行きたい」と話していた中学生の女の子。

当時は「そうか」と聞き流してしまった。

20年、30年経った今、あの子はあの時、心に何を抱えていたのだろうかと、たまに思い出します。

もう少し丁寧に聞いてあげられたかもな、という後悔が今もあります。

直美の願いが、当時の教え子のあの子の願いと重なりました。

明治の少女だって、現代の子どもだって、「ここじゃない場所へ行きたい」という気持ちは変わらないんだろうなあと、改めて感じた6話でした。

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よくある疑問・Q&A

Q1. 敬天愛人の出典は何ですか?

A. 西郷隆盛の『南洲遺訓』が出典として有名です。

意味は「天を敬い、人を愛する」。

西郷が1875年ごろ揮毫したことで知られるようになりました。

なお「敬天愛人」という四字熟語そのものは啓蒙思想家・中村正直の造語という説もあり、出典には複数の見方があります。

Q2. はつはなぜ本を盗んだのですか?

A. 詳しくはドラマで描かれていませんが、赤ん坊を抱えた女性が「本」を持ち出したのは、子どもへの教育への思いや将来への不安が背景にあるのかもしれません。

なおじは「はつなりの必死さがあった」と受け取りました。

直美が何も言わなかったことで、視聴者への問いとして残されているのかも。

Q3. 直美が何も言わずに工場を出た理由は?

A. 「証明できる人間がいない」という境遇を、直美はよく知っていたからではないでしょうか。

言っても信じてもらえないと。

それよりも自分の足で次へ進む方を選んだ。

「敬天愛人」という言葉が、直美の内なる言葉として、その選択を支えているように見えました。

Q4. 吉江という神父はどんな人物ですか?

A. 直美の話を聞いて涙ぐむほど共感力の高い人物として描かれています。

直美がカラカラとしているのとの対比が印象的でした。

今後、直美の「灯」として機能するキャラクターになるのかもしれません。

Q5. 第2週のタイトル「灯の道」はどういう意味ですか?

A. 直美にとっての英語の勉強、教会の敬天愛人、街での通訳。

小さな「灯」をひとつひとつ手がかりに、前へ進む道が示されているんだと思います。

「まだ暗い場所にいるけど、灯はある」というタイトルではないかとなおじは感じました。

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筆者紹介|なおじ

なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。

社会科・歴史を長く教えてきたので、「敬天愛人」のような歴史的背景のある言葉が朝ドラに登場すると、つい授業モードで調べてしまいます。教え子から「歴史が面白くなる先生」と言われていたことが、今も記事を書く原動力です。

現在は8つのブログでドラマ芸能政治歴史スポーツ学び書評を書いています。

大谷直美

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