「古事記」の国譲り神話
アマテラスは、オオクニヌシのつくった水穂国(みずほのくに)というのは、自分の子アメノオシホミミ(天忍穗耳尊)が治める国だ、と宣言する。
アマテラスのこの宣言によって、国譲りの話が始まる。
ところが、とうのアメノオシホミミは、
「どうも、水穂国というのは、騒がしくまだ治まっていない国だ」と言って、瑞穂の国に行くことを拒否する。
そこで、タカミムスヒ(高御産巣日神)とアマテラスが相談する。
古事記のこの部分の記述を見ると、アマテラスよりタカミムスヒの神の方が主導権を握っているように見える。
タカミムスヒとアマテラスは、高天原の神々を集め、アメノオシホミミに変わって、誰を水穂国へ遣わすかを相談した。
その結果、別の神が遣わされたが、遣わされた神はオオクニヌシ側に寝返り戻ってこない。
タケミカヅチ降臨
そこで、アマテラスたちはタケミカヅチ(建御雷之男神)とアメノトリフネ(天鳥船神)を遣わした。
二柱の神は、伊那佐の浜(島根県出雲市)に降臨した。
二柱の神は、オオクニヌシに高天原の考えを伝えた。
オオクニヌシは弱気になり、「自分だけでは答えられないから、私の子どもたちに聞いてくれ」と言う。
タケミカヅチは、鹿島神宮の神。武神だ。
出雲に降臨した神が、なぜ鹿島に祀られているのかも、興味深い謎の一つだ。
国譲りに話を戻す。
まず、オオクニヌシの子のヤエコトシロヌシ(八重言代主神)に、高天原の考えを伝える。
すると、あっさり「譲る」と、答えた。
次に、タケミナカタ(建御名方神)に尋ねる。
すると、タケミカヅチに「私と力比べをせよ、力比べで天神が勝ったなら国を譲る」と言う。
天神のタケミカヅチと、国神のタケミナカタとの力比べの結果は、タケミカヅチの勝ち。
タケミナカタは、科野国(しなののくに・後の信濃)の州羽の海(諏訪湖のこと)まで逃げ、以後諏訪から一歩も出ないことを誓った。
こうして、オオクニヌシとその息子たちの承諾をとり、国譲りが成立した。
オオクニヌシは、自らは「根の国」に身を隠すことを誓う。
その代わりとして、オオクニヌシを祀る出雲大社が創建された。
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