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岐阜城の見所:岐阜城観光の前に押さえておきたい歴史背景と観光スポット

信長を武将として評価した道三

天文18年(1549年)に信長と、帰蝶(濃姫)は、政略結婚で夫婦となった。
それから数年後の天文22年(1553年)に、信長は義理の父となった道三と初めての顔を合わせのために美濃を訪れた。
正徳寺(聖徳寺)の会見」である。

道三は、この会見に先立ち空き家に隠れ、信長の様子を隠れ見たとされる。
その時の信長の格好は、まさに『尾張のうつけ』。
袴も着けず、荒縄を帯代わりにしている。

これは、噂にたがわぬ「阿呆だ」
と、道三はおもった。

だが、信長に付き従う家来がすごかった。数は、およそ800。
朱揃えの長槍が500本、弓・鉄砲が500丁。
見るからに鍛え抜かれた精鋭であることがうかがえる兵たちなのだ。

さらに、会見の場に現れた信長の様子を見て、二度びっくり!
信長の異様な格好は改められ、どこから見ても非の打ち所のない若武者姿となって会見の場に現れた。

道三は、実は「自分の兵を信長に見せ、度肝を抜いてやろう」、と思っていたのだった。
ところが、蓋を開けてみたら、
『びっくりさせられたのは自分の方』
という結末。

この会見後、道三は、
『わしの息子どもは、必ずあの阿呆の門前に馬をつなぐことになろうよ。』
と、呟いたという。

息子義龍による道三の死

信長との会見を果たした翌年(1554年)、道三は家督を嫡男の義龍に譲り、自らは仏門に入り鷺山城に隠居して『道三』と名乗る。

これにより、稲葉山城主は、義龍となった。

織田信秀木像(萬松寺所蔵)

斎藤義龍像(常在寺蔵)

それから2年後の1556年、長良川の戦いで道三は、この嫡男義龍によって殺されている。

義龍は、なぜ父道三を殺したのか

義龍は、実は道三の子ではなく道三の主君だった土岐頼芸(よしあき)の子だという噂が流れていた。

嫡男義龍の母である深芳野(みよしの)はもともとは頼芸の側室だったからだ。
この側室が頼芸から道三に下げ渡されたので、義龍は土岐頼芸の子という噂がたったのも頷ける。

麒麟が来る「深芳野(みよしの)を演じた南かほ」NHKより

そのため、義龍自身も本当の父親は土岐頼芸ではないかと疑っていただろう。
もしそうなら、実の父は道三によって美濃を追われたことになり、「自分の父どころか、敵」と言うことになってしまう。

さらに、道三の評判がよくなかった。
一介の油売りから美濃を実力で奪い取った道三に対し、美濃の有力国人たちはよい感情を持っていなかったのだ。

そのため、長良川の戦いのとき、有力国人のほとんどが義龍に味方した。
道三軍に対し、義龍軍は数で圧倒的に優位だった。

信長も、援軍として駆けつけたが、数の差はいかんともしがたく、道三は討ち死にする。享年63歳と言われる。1556年のことだった。

道三塚(岐阜県岐阜市)「死を目前にして“美濃は娘婿に託すと述べたという」

義龍の死

稲葉山城主となり、美濃を手にした斎藤義龍だったが、道三を討ったわずか5年後の永禄4年(1561年)、桶狭間の戦いの翌年に急死してしまう。

死因は、よく分かっていない。
だが、おそらく『ハンセン病』ではなかったかと考えられている。

しかし、義龍が明確にハンセン病であったという記録はない。

太田牛一が記した『大かうさまぐんきのうち(「たいこうさまぐんきのうち」・「太閤軍記」から一部を抜き出し書写したもの)』には、
『奇病であった』とのみ、記されている。

もちろん、暗殺説も存在する。

義龍の死後は、その子である龍興(たつおき)が後を継いた。生まれは庶子だったとも、嫡男だったとも言われる。
だが、龍興は若くもあり、凡庸でもあったため家臣の間に動揺が見られた。

当然、これを好機として信長は美濃を攻める。
だが、永禄6年(1563年)の新加納の戦いでは、家臣の竹中半兵衛重治の軍略の前に信長は敗れてしまう。

竹中重治像(禅幢寺所蔵)

竹中半兵衛重治による稲葉山城占拠

それから1年後の永禄7年(1564年)、竹中半兵衛重治と、その半兵衛の舅の西美濃三人衆の一人である安藤守就によって、稲葉山城が占拠されるという事件が起きた。

龍興は稲葉山城から逃げ、鵜飼山城、さらに祐向山城へと逃走した。
この竹中半兵衛らの稲葉山城占拠事件は、半兵衛とわずか十数名の家来によって成されたものだった。

だが、半兵衛は、自分が美濃の領主になるのではなく、一年後には稲葉山城を龍興に返還している。
確かに城は返還されたが、この事件によって、斎藤家の衰退は周知の事実となった。

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