中室牧子氏の著書『科学的根拠で子育て』は、教育経済学の視点から、エビデンスに基づいた子育てや教育の実践方法を提案する一冊です。
筆者は、教育や子育ての成果を科学的データで分析し、短期的な学力向上だけでなく、長期的な成果や非認知能力(忍耐力、自制心、やり抜く力など)の重要性を強調しています。
特に、スポーツやリーダーシップ経験が将来の収入や幸福感に与える影響を具体例とともに解説し、「学校内での成功」よりも「卒業後の人生で役立つ力」を育てることが大切だと述べています。
また、親の時間投資や教育環境の質が子どもの成長に与える影響についても触れ、幼少期には親が積極的に関与し、その後は子ども自身の努力が重要になると指摘。
さらに、日本の教育政策にも言及し、「幼児教育無償化」や「1人1台端末政策」などの課題を挙げつつ、エビデンスに基づいた政策形成(EBPM)の必要性を訴えています。
本書は、「エビデンス」の活用方法について注意点を示しながら、科学的根拠をもとにした柔軟な子育て・教育の実践を提案している良書です。
親や教育者が直面する課題への理解を深めるとともに、より良い意思決定を行うためのヒントが満載です。
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