こんにちは、なおじです。
NHK朝ドラ「ばけばけ」第99話(2026年2月19日放送)、見ました?
焼き網ひとつが引き起こした松野家の騒動。
ヘブンの「書けない」という、静かな危機。
そしておクマの「女中を辞める」という衝撃の言葉。
コミカルな表面の下に「善意が人を傷つけることがある」という、このドラマらしい深いテーマが流れていたように感じます。

この記事でわかること
- 正木の焼き網捜査劇がなぜ空虚に終わったのか
- ヘブンの「才能がない」という言葉が意味すること
- おクマが「女中を辞める」と言い出した本当の理由(なおじの考察)
正木の焼き網捜査劇——笑えるようで笑えない
探偵気取りの推理、始まる

さて、今回の騒動の発端は「焼き網がない」という一言。
正木(日高由起刀)が、家族ひとりひとりの動機を推察しながら説を展開していく様子は、たしかにコミカルなんですよねえ。
家族一同が、次第に互いを疑い始めてしまう。
なんか、笑いながら「あ、これ怖いな」と思いませんでしたか。
「全員が疑わしい」という推理の空虚さ
でも、「全員が動機を持てる」という状況で推理を蕩々と述べても、最終的には何も解決しないんですよねえ。
探偵ごっこで家族に笑いをもたらすつもりだったのかもしれないけど、かえっておクマへの余計なプレッシャーを生む布石になっていく。
そのあたりが今回の話の皮肉な構造だったのでは…と感じます。
焼き網を 探す正木の 目が光る
ヘブンの「書けない」——才能の危機
学校でパンを食べる孤独
家で食事が取れず、学校でひとりパンを食べていたヘブン(トミー・バストウ)。
そこに同僚が出勤してきました。
ヘブンが書いた日本滞在記を読んでいると話し、「今は何を書いているのか」と問いかけます。
書けていないと正直に告げると、同僚は核心をつく一言を放ったんです。
「書けないのは熊本のせいか、それともヘブンの心持ちのせいか」と。
絶景の前でヘブンが語った本音

ヘブンは久しぶりにトキを散歩に誘い、熊本の町が一望できる素晴らしい場所へ案内しました。
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その景色を前にトキが「ここのことを書けないか」と問うと、ヘブンはこう答えたんですって。
「書いたら分厚い本が必要になる。でも自分にはその才能がない」と。
淋しげに語るヘブンの表情、なんか胸に刺さりますよねえ。
「才能がない」は危機のサインかもしれない
「自分には才能がない」と思い込んでしまう時、それはその人にとって一番の危機の時なのかもしれません。
なおじは35年の教育現場で、何度もこの場面に立ち会ってきました。
教室で「どうせ自分にはできない」と言い出した子が、後に見違えるほど変わった例を、何人も見ています。
目の前にそびえ立つ山が、とてつもなく高く見えて足がすくんでしまう。
でも、登り切ることができれば、実はほとんどの山はそれほど高くなかった——と気づくことができるのでは…。
そして、頂上に至る道は一本ではないことも、登った人だけが知ることができるように思うんです。
問題は、どちらかというと、その山の麓にたどり着けるかどうか。
麓にさえ立てれば、そびえ立つ山は恐れるべきではないと思うんですよ。
ヘブンが絶景の前に立ち、「分厚い本が書けるくらいの場所だ」と感じた瞬間——なおじには、それが麓に立てた瞬間に見えたんです。
書けぬ夜 絶景だけが 知っている
おクマ「女中辞める」——今週最大の事件

おクマ辞表の衝撃
ヘブンとトキが散歩から帰ると、家ではおクマが「女中を辞める」と騒いでいました。
ってか、これが今回最大の事件ですよ。
焼き網の騒動よりも、はるかに重い話だと思うんです。
なんでこんなことに…。
なぜおクマは辞めると言い出したか
おクマが焼き網を盗んだとは考えにくいように感じます。
なおじの見立てでは、正木の推理劇のなかで「松野家の家族からどう見られていたか」を知ってしまったことが、大きな引き金になったのでは…。
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フミやトキが家事をする自由と居場所を奪われていた。
それが正木の言葉で白日の下に晒されてしまったとしたら——。
「よかれと思ってやってきたことが、家族の居場所を奪っていた」
そう気づいてしまったおクマの切なさ、想像するだけで胸が苦しくなりませんか。
善意が居場所を奪う、という構造

なおじは学校でも似たような場面を見てきました。
「全部先生がやってしまうと、子どもたちが育つ場所がなくなる」。
ベテランの先生ほど、この罠にはまりやすいんですよねえ。
おクマの苦しさは、まさにその構造と重なるように感じます。
善意から始まっているのに、結果として誰かを傷つけてしまうこともある。
このドラマが繰り返し語りかけているテーマのひとつなのかもしれません。
元教師が読む今回の三つのテーマ

今回の99話、表面上は「焼き網コメディ」ですよね。
でも、その下に三つの人間的テーマが流れていたように感じます。
| テーマ | 登場人物 | 内容 |
|---|---|---|
| 役割の喪失 | おクマ | 正木の推理が心を揺さぶった |
| 才能への疑い | ヘブン | 「自分には書けない」という危機 |
| 自由を奪う善意 | 松野家全体 | 善意がかえって誰かの居場所を奪う皮肉 |
どれも「善意」から始まっているところが、このドラマの優しくて深いところだと思いませんか。
正木の犯人捜しも、おクマの働きぶりも、みんな善意。
それでも人を傷つけることがある——。
喜劇のような展開の裏に、ふじきみつ彦さんの仕込みが隠れている‥。
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Q&A|ばけばけ99話のギモンに答えます
Q:焼き網を隠したのは誰?
公式あらすじでは「いったい誰が焼き網を隠したのか」とだけ示され、犯人は明言されていません。
正木の推理で全員が疑わしくなるというのが今回の構造で、むしろ犯人探しそのものが生んだすれ違いが本題なのかもしれません。
Q:おクマが辞めると言い出した理由は?
なおじの考察では、正木の推理劇のなかで「フミやトキから家事をする自由と居場所を奪っていた」ことを突きつけられてしまったからではないかと思うんです。
「善意が人を傷つける」というこのドラマの大きなテーマに直結しているように感じます。
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Q:ヘブンはこれから書けるようになる?
「才能がない」と感じた瞬間こそ、麓に立てた証拠なのかもしれません。
あとは一歩を踏み出すだけ。
次回以降の展開に注目ですよね。
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筆者紹介|なおじ
なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。
退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。
社会科・歴史を長年教えてきたので、時代背景や史実との比較が得意分野です。
指導主事として授業研究にも携わり、教え子からは「歴史が面白くなる先生」と呼ばれていました。