こんにちは、なおじです。
『ばけばけ』第79話を見ていて、胸がざわざわしました。
なみに身請けの話が来た。天国町を脱出できるチャンス。
晴れて自由になれるはずなのに、なみは一歩踏み出せない。
その迷いの中に映る「人間らしさ」を、一緒に味わってみたいと思います。

この記事でわかること
✓ なぜなみは身請けの話を受けるか迷うのか、その心理
✓ トキとなみの立場の逆転が意味すること
✓ 「自由」とはなにか、選択肢がある時の人間の複雑さ
✓ 福間という人物の存在がなみに何をもたらすのか
✓ 天国町「川向こう」で生きるなみの視点
あの瞬間、なみは何を思ったか

身請けの話が来た時のなみの表情。
その瞬間、遊郭の女として数年積み重ねてきた「天国町での人生」が、一瞬で揺らぐんです。福間が申し出てくれた身請け。これは選択肢です。これまでなかった、ここまで明確な「脱出口」。
35年間教えてきた進路指導の中で、何度も見てきた光景を思い出します。進学か就職か、その選択の前で立ち止まる生徒の表情。親の期待、自分の夢、現実。そういった複数の思いが交錯する瞬間の、あの「迷い方」。
なみの悩みは、それと同じ…。
でもちょっと違うか。なぜなら、天国町にいるなみにとって、身請けは単なる「選択肢」ではなく、「人生の全否定」にもなりうるから。
身請け話が来た喜びと戸惑い
福間からの身請けの話。普通に考えれば、これ以上ない「幸運」です。
天国町を脱出できる。遊女という身分から解放される。世間体も、人生も、ここから「やり直せる」。その喜びがないわけがない。なみだって、人間だ。自由への憧れがないわけはない。
でも、見ていてぐっときたのは、その喜びと同じくらい、いや、それ以上に「戸惑い」が大きいなみの表情だったんです。
身請けを受けるということは、福間と結ばれるということ。それはもちろん幸せなはずです。でも同時に、それは「天国町での全てを失う」ということでもあるんですよね。サワとの関係。トキとの共有した時間。その場所での「自分の役割」「自分の居場所」。
あの瞬間、なみの迷いの中には、喜びと同じくらい、「何かを失うことへの恐怖」があったんじゃないか。見ていてそう感じました。
福間が映す なみの心の揺らぎ

福間がなみの前に現れた。身請けを申し出に。
その顔を見た時のなみの表情が、本当に複雑でした。
福間は優しい人だ。これまでのやり取りから、そう感じさせてくれます。なみのことを思い、身請けを申し出た。それは誠実さの表れです。
でも、その誠実さが、逆になみを迷わせてしまう。見ていてそう感じたんです。
なぜなら、福間の優しさ=なみが身請けを受けるべき理由に、直結していないから。福間が優しいのと、なみが「天国町を本当に脱出したいのか」は、別の問題なんです。
あの遊郭のシーンで、なみが「福間の顔を見つめる時間が長かった」のは、単なる喜びではなく、「この人のために、自分の全てを置いていくべきなのか」という、深い問い直しなんだと思いました。
トキとなみの「時の人」の格差

ここで気付くのは、トキとなみの立場が、完全に逆転してしまった、ということです。
トキは川向こうの「希望の星」に
『ばけばけ』第79話の一つの大きなテーマは、ヘブンの「日本滞在記」の大盛況。
グッズまで作られ、トキ+ヘブンは、もはや「市民の希望の星」になっている。川向こうの施設で、二人の物語が日々更新されていく。その影響力の大きさ。
トキは、いつの間にか「天国町の外」で生きる人間になってしまったんですね。いや、そうではなくて、トキが「外の世界とつながる」存在になってしまった。
見ていて、このドラマのすごさを感じるのは、ここなんです。トキは「川向こう」に行った。でも、その「川向こう」での活動が、今、「天国町の中」まで、大きな波紋として波及している。
なみは今、何を感じているのか
一方、なみ。
身請けの話を受けるか迷っている。その迷いの中で、なみが見ているのは、おそらく「トキと自分の距離」なんじゃないか。見ていてそう感じました。
トキは「時の人」になった。新聞に載り、グッズになり、多くの人に支持されている。
一方、なみは、天国町の中で、静かに「選択の時」を迎えている。その対比が、本当に切なく見えました。
トキへの羨望もあるだろう。同時に、「自分も、あのように『何かを成し遂げた人』になるべきなのか」という、焦りや問いも、あるのかもしれません。
身請けを受けることは、なみにとって、単なる「幸運」ではなく、「トキと違う人生を選ぶ」という決断でもあるんだと、今、なみは感じているのかもしれません。
決断の前夜:誰も知らない心の奥

ここから先、なみはどうするのか。
その答えは、まだ、画面には映っていない。でも、第79話を見ていて、なみの「迷いの質」が、単なる「優柔不断」ではないことが、伝わってくるんです。
天国町を脱出するチャンス
身請けを受けることは、客観的には、「天国町から脱出する唯一のチャンス」です。
35年間、生徒たちの進路を指導してきた中で、何度も見ました。「選択肢が与えられた時の人間の複雑さ」を。
その時、人は、理屈では「得られる幸せ」を計算します。でも、心は、別のところで「失うもの」を数えている。そのギャップが、人間を迷わせるんです。
なみにとって、身請けは「脱出」です。でも同時に、それは「天国町との別れ」でもあり、「今までの自分との別れ」でもあるんですよね。
福間という「出口」の意味
福間は、確かに、なみにとって「出口」です。
でも、ここで重要なのは、その「出口」が、本当に「自由」に繋がっているのかどうか、ということ。
福間の優しさは本物だ。身請けの申し出も、誠実だ。でも、その先にあるのが、本当になみの「望む人生」なのかは、見ている僕たちにもわかりません。
あの迷いの表情の中に、なみが問い直しているのは、「福間という人と結ばれることが、本当に自由なのか」ということなのかもしれません。
【表:第79話で明かされた「立場の逆転」】
| 人物 | 以前の立場 | 第79話での変化 | 心の奥底にあるもの |
|---|---|---|---|
| トキ | 川向こうで淡々と働く女中 | グッズになる「時の人」へ昇華 | 戸惑いと誇り、そして責任感 |
| なみ | 天国町で勝気さを保つ遊女 | 身請けの「選択肢」を前にして迷う | 自由への憧れと現在への愛執 |
| サワ | トキとの友情を大切にする | トキとの距離を、より深く感じ始める | 複雑な喜びと、どこかの寂しさ |
Q&Aで振り返る第79話

Q. なみが身請けの話に迷う理由、感じましたか?
A. 自由が近いからこそ、失うものが見えるのかもしれません。身請けを受けることで、本当に全てが幸せになるか、確信がないのでは。それまでの「天国町での人生」のすべてを、捨ててまで。
Q. トキとなみの立場の逆転、ぐっときましたか?
A. はい。トキはグッズになるほどの「時の人」になった。一方、なみはその対比で、より深く「選択の重さ」を背負わされている気がします。同じ天国町から始まった二人なのに。
Q. おなみが「傷をなめあっていこう」と言った時、おサワの反応は複雑でしたよね?
A. その通りです。おなみがそう言った瞬間、おサワの顔が複雑になる。おサワは、なみへの同情を向けることで、自分の「選べなかった人生」から目を逸らそうとしていたのかもしれません。でも、その逃避は、トキが現れた瞬間に通用しなくなってしまう。その複雑さが、おサワの本当の苦しさを物語っているんだと思います。
Q. おサワが勉強サロンを「逃げるように去る」理由は?
A. トキが現れた瞬間、おサワは自分が抱いている「負の感情」と向き合わされたんだと思います。羨望、嫉妬、そして、その感情を持つ自分への嫌悪感。その自覚が、おサワを逃げ出させたのかもしれません。
Q. 福間は「あんたは、ここにいる誰より哀しい」と言いました。その言葉、どう感じましたか?
A. その一言で、福間がなみを「哀れな存在」として見ているのか、それとも「愛する相手」として見ているのか、揺らいでしまいました。でも、その直後の「本当は、惚れ著るんだ」という告白が、全てを変えてしまう。それでも、なみは迷っている。
Q. あなたなら、なみの立場で何を選びますか?
A. ぜひコメントで教えてください。
筆者紹介|なおじ
元社会科教師として35年間教壇に立ってきました。現在、8つのブログでドラマ・芸能・政治・歴史・スポーツ・旅・学び・書評を書いています。
ドラマ記事では「時代背景」や「心の揺れ」をゆっくり「感受する」スタイルで、読者と一緒に場面の奥底にある感情を味わっていくことを大切にしています。