こんにちは、なおじです。
教員時代、新年といえば、毎年「今年こそはノートをためこまない」「職員会議で居眠りしない」と心に誓っては、三が日であっさり崩してきたなおじ。
人間、年の初めに口から出る言葉というのは、だいたい守れないか、守ると大騒ぎになるかのどちらかですよね 。ところが『ばけばけ』第51話のヘブンはちがったんですねぇ。
「ツギ、フユ、ワタシ、マツエ、イナイ」。その一言で、花田旅館の空気がスーッと変わる。今日は、この“新年の一席”がトキ・リヨ・錦織の心にどんな「転機のスイッチ」を入れたのか、元教師の目線でのぞいていきます。

この記事でわかること
- ヘブンが「次の冬は松江にいない」と宣言したタイミングに込めた優しさと誠実さ
- トキが感じた「恋心だけではない」ざわつきと、自分も変わらなきゃいけない予感
- リヨの表情ににじんだプライドの傷と、「引き止めたいけど言えない」切なさ
- 錦織が見せた、友として祝福したい気持ちと「置いていかれる寂しさ」の同居
- 楽しい新年の宴が、一瞬で「別れの予告」に変わった瞬間の空気の変化
- ヘブンの一言が、三人に「これからどう生きるか?」という問いを突きつけた意味
- 明治という時代のなかで描かれる「終わりを意識したとき、人が本気で向き合い始める」瞬間
ヘブンの「松江を去る」宣言はなぜこのタイミングだったのか
新年を迎えた花田旅館は、みんなの笑い声とお酒で、なんとも言えない「ほんわかした空気感」。
そんな中で、ヘブンに「新年の抱負」のような一言を求める流れになり、本人も最初はいつもの調子で場に合わせているように見えました。
それなのに、口から出てきたのは「ツギ、フユ、ワタシ、マツエ、イナイ」という、場の空気を一気に変えてしまう一言。
ワーオ。
あの場面は、視聴者に向けた“サプライズ告白”であると同時に、登場人物たちにとっても「聞きたくなかった本音」だったんじゃないかな。
これ聞かされたら、心臓バクバクものですよね。
あのタイミングは、「ヘブンの優しさ」と「誠実さ」のギリギリのせめぎ合いだったのかも。
楽しい宴が続いているうちに、本当のことを言わずにやり過ごすこともできたはず。
でも彼は、新しい年のスタートだからこそ、自分の本心と、これからの進路をごまかしたくなかったのだろうな、と。
場の空気を壊してしまうことは分かっていても、「ここで言わないと、もっと言い出せなくなる」と感じた、そのちょっと不器用な正直さが、いかにもヘブンらしいと感じたのですよ。
👉関連記事:清光院ランデブーと明治の恋愛観|ばけばけ第50話
トキ・リヨ・錦織はこの宣言をどう受け取ったのか
ヘブンの「次の冬は松江にいない」という宣言を聞いた三人の反応は、それぞれの立場と関係性によって微妙に異なっていましたよね。
まずは全体像を、次の表で整理してみます。
【表:ヘブンの宣言を聞いた三人の反応比較】
| 人物 | 表情の変化 | 心の揺れの中身 | ヘブンとの関係 |
|---|---|---|---|
| トキ | 驚きと不安が混ざった顔 | 「好きな人を失う」恋心+「自分も変わらなきゃ」という予感 | 支えられてきた存在・恋の対象 |
| リヨ | 目の奥だけがうるむ沈黙 | プライドの傷つき+「引き止めたいけど言えない」もどかしさ | 真正面から見てくれた特別な存在 |
| 錦織 | 笑顔が一瞬固まる | 「友の旅立ちを祝福したい」気持ち+「置いていかれる寂しさ」 | 親友・残る側の人間として |
この表を踏まえて、一人ずつ詳しく見ていきます。
トキの胸がざわついたのは「恋」だけじゃない気がする
ヘブンの宣言を聞いた瞬間のトキの表情は、「えっ?」という驚きと、「まさか本当に行ってしまうの?」という不安が混ざったような顔。
恋心だけでなく、これまでヘブンに支えられてきた自分の居場所が、ふっと足元から抜け落ちるような感覚もあったのではないかな。
なおじとしては、トキのざわつきは「好きな人を失うかもしれない」という気持ちと同時に、「自分も変わらなきゃいけない時期に来ている」という予感に近いものも含まれていたのでは、と。
サバサバしているおトキちゃん、覚悟がある程度できているような。
誰かに頼っていられた時間が終わりに近づいているとき、人はああいう顔になる。
教員時代にも、進路や部活の引退前に、似たような表情を見たことがある気がする 。
リヨの表情ににじむプライドと切なさ
リヨは、ヘブンの宣言をトキから聞かされました。
直接ではなく「トキづて」で知ったことが、彼女のプライドを傷つけたか、と思いきやリヨお嬢様はそんなことでめげない。
知事の娘としての立場もああるかもしれないけど、リヨお嬢様自己肯定感のかたまり。
まったくめげません。
自分の家に暖炉を作って、ヘブン先生と一緒に住む気満々。
「私なら絶対にヘブン先生を引き留められる」と信じ切っている、あの自信の強さ。ある意味すごいですよね。
周りは少し困りそうだけど、そのまっすぐな思い込みの強さがリヨお嬢様らしい 。
👉関連記事:リヨがトキに激怒した理由|ばけばけ47話
錦織が見せた「友としての複雑な顔」
錦織の反応は、トキやリヨとはまた少し違っていて、ヘブンの宣言を聞いたあと、一瞬だけ笑顔が固まるような表情を見せていたのが印象的。
友として「お前、そういうことはもう少し言い方考えろよ」とツッコミたくなる気持ちと、「やっぱり来たか」という覚悟のようなものが、同時に浮かんでは消えていたように見えます。
なおじには、錦織があの瞬間、「自分は残る側」の人間として、ヘブンの決断をどう受け止めるかを必死に整理しようとしているように感じられました。
友だちの旅立ちを心から祝福したいけれど、心のどこかで「置いていかれる寂しさ」も抱えている。
その揺れ動きが、あの微妙な表情に表れていたような。
👉関連記事:ヘブン風邪トキ看病不安|ばけばけ48話あらすじ感想
第51話を見てなおじが一番グッときたポイント
新年の宴が「別れの予告」に変わった瞬間
なおじが一番グッときたのは、やっぱり「楽しい新年の宴」が、一瞬で「別れの予告」に切り替わってしまうあの瞬間。
事前の笑いの場面、ヘブンさんの「草履、ソーリー」という小ネタには、なおじも思わずクスッ、でした。
だからこそ、その直後に「ツギ、フユ、ワタシ、マツエ、イナイ」が来る落とし方のうまさに、うわぁ…と膝を打っちまった。
うますぎですよ、この展開。
さっきまで笑っていた顔が、一人ひとり固まっていくあの空気の変わり方。
言葉に出さなくても、登場人物たちの心の中で何かがカチッと音を立てて変わった。
人生の中でも、「あ、ここが転機になるんだろうな」と、後から振り返って分かる場面ってありますよね。
ヘブン先生の一言は、トキたちにとってまさにその「転機のスイッチ」を押すような出来事だったのだろうなと。
視聴者としても、その瞬間を一緒に立ち会わされたような感覚がして、胸の奥がじんわり熱くなりました。
ヘブンの一言が、この先の物語に投げかけた問い
もう一つ心に残ったのは、ヘブンの宣言が「ここから先、この物語をどう変えていく?」という問い。
視聴者にもこの問いを投げかけていたんでしょうね。
ヘブンがいなくなるかもしれない未来を知ってしまったトキたちは、これからどんな選択をしていくのか。
なおじとしては、第51話は「別れを意識し始めた瞬間」からのー、大転換!
なのでは、と予想。
人は、終わりを意識したとき、初めて本気で相手と向き合おうとすることがありますよね。
ヘブンの「ツギ、フユ……」という一言は、トキ・リヨ・錦織の心を動かすきっかけ。
「ここから先の変化を楽しみに見守りたくなるでしょ」、そんな合図のように響きました。
👉関連記事:ばけばけ第31話ネタバレ感想~トキ女中へ!
Q&Aで振り返る第51話
Q1. ヘブンが新年の宴で「次の冬は松江にいない」と宣言したのはなぜ?
A1. 新年という節目に、自分の本心をごまかしたくなかったからだと受け止めています。楽しい場を壊すことは分かっていても、ここで言わないともっと言い出せなくなると感じた、その誠実さがヘブンらしいです。
Q2. トキが動揺したのは恋心だけではない?
A2. 恋心だけでなく、「自分もこれから変わらなきゃいけない」という予感も混ざっていたように見えました。ヘブンに支えられてきた居場所が足元から抜け落ちるような感覚があったのではないかと感じています。
Q3. リヨの表情で一番印象的だったのは?
A3. 「そんな大事なことを、みんなの前で初めて聞かされるの?」というプライドの傷つきと、「引き止めたいけど簡単には言えない」という複雑な感情が目の奥にあふれていた点です。
Q4. 錦織はどんな気持ちでヘブンの宣言を聞いていた?
A4. 「自分は残る側」として、友の旅立ちを祝福したい気持ちと、「置いていかれる寂しさ」の両方を抱えていたように見えました。あの微妙な表情にその揺れが表れていたと感じます。
Q5. 第51話が描いたのは「別れ」ではなく何?
A5. 「別れを意識し始めた瞬間」を描いた回だと受け止めています。ヘブンの一言は、トキたちが本気で相手と向き合い始めるきっかけになったのではないでしょうか。
筆者紹介|なおじ
なおじです。元社会科教師として35年間教壇に立ち、歴史や政治、暮らしの背景を生徒と一緒に考えてきました 。syakaika-turezure
今は7つのブログで、ドラマ・芸能・政治・歴史・スポーツ・旅・学びをテーマに、日常のモヤモヤをほどく記事を書いています 。syakaika-turezure
