こんにちは、なおじです。
ばけばけ104話 史実の呪い回、かなり濃かったですね。
吉野イセの「人形の墓」の告白と、トキが呪いを自分に移そうとして倒れる流れ、見ながら「いやいや、そこまでやる?」とツッコミ入れた方も多いのではないでしょうか。
でも、夜の書斎でヘブンが「トキの考え方・トキの心が必要だ」と伝えるシーンまで含めて、呪いと物語と史実が一気につながった回でもありました。

この記事でわかること
- ばけばけ104話 史実の呪い「人形の墓」のざっくりあらすじ
- イセが語った呪いと村の「人形の墓」風習の意味
- トキが呪いを引き受けようとした理由と、その危うさ
- 吉野イセと史実のお梅、おクマの立ち位置の整理
- 小泉八雲「人形の墓」とドラマ版の違い
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ばけばけ104話 史実の呪い「人形の墓」あらすじとトキの決断

イセがついに口を開く
トキに連れられてきた吉野イセが、ヘブンの前でついに「人形の墓」の話を始めます。
村の言い伝え。
「一年のうちに一軒で二人死ぬと、三人目も死ぬ。四人目以降は、生き延びても呪われた一生を送る。」
それを止めるには、藁人形を小さな墓に埋めるしかない。
けれどイセと兄は、「迷信たい」と作らなかった。
そうしているうちに父、母、そして兄まで亡くなり、慌てて人形の墓を作ったときには、もう遅かった‥。
そこから大病、借金、奉公先での不幸。
イセは、まるで呪いのチェックリストを全部踏んだかのような人生を、淡々と語っていきます。
座布団に座り込むトキと、突然のバタン
イセが話し終えて立ち上がろうとしたその瞬間。
トキがスッと、温もりの残る座布団に座るんですよね。
「イセさんの不幸は、これでトキがもろうたけん」
そんな声が聞こえてきそうな笑顔。
「呪いを自分の体に移してしまえば、イセは楽になる」と、本気で思っている様子です。
頭はガンガン、手はガタガタ。
それでも「楽しい」「ゾクゾクする」と言ってしまうあたり、優しさが行き過ぎて別の次元に入っています。
で、そのままドサッと失神。
そりゃ倒れるよね、とテレビの前でつぶやいた人、きっと多いはず。
なおじ的一句。
呪いより トキの無茶ぶり こわいのよ
ヘブンの書斎で交わされた言葉
夜。
机に向かって夢中で書いているヘブンのところに、トキがそっとお茶を運んできます。
昼間倒れたばかりなのに、普通に家事をこなしているトキ。
この「働きすぎ感」も、明治の女中らしさ。
ヘブンは机の上の「呪いの人形」を取り出し、トキに向かってこう告げます。
呪いは人形のほうに移った。
そして、もう一言。
「君の言葉、君の考え方。わたしの物語に必要です。」
トキは「ただの呪われたがりですけん」と照れ隠しをしながらも、ちょっと嬉しそう。
この一言で、「呪いを引き受ける道具」から「一緒に物語を作る相棒」に、トキの立ち位置が変わっていった気がしました。
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ばけばけ104話の呪い「人形の墓」と村社会の怖さ
藁人形を埋めて安心‥のはずが

イセの話を整理すると、「人形の墓」の役割はシンプルです。
- 不幸が続いた家
- 藁人形を作る
- 小さな墓に埋める
これで「もうこの家には不幸は来ない」と、村人が安心する。
つまり、理由の分からない不幸を、人形という目に見える形に押し付けて、気持ちを落ち着かせるための儀式なんですよね。
ところがドラマ版では、この「不幸の受け皿」が、いつの間にかイセ本人になってしまう。
本来、土に埋められるべきは藁人形。
実際に押し込められたのは、一人の若い女性の人生だった‥。
そんな皮肉が、静かに描かれていました。
茂吉の「自業自得」は、言葉の暴力
イセが震える声で話を続けている最中。
茂吉が「言い伝えを守らなかったからだ。自業自得たい」と言い放つ場面、きつかったですね。
元教師的には、この一言はかなりアウト。
教室でも、テストで失敗した子に「だから言っただろ」で終わらせると、その子は次からもう相談してこなくなります。
結果だけ見て「自業自得」と切り捨てる。
その瞬間、相手は「話した自分が悪かった」と感じて、心のシャッターをガラガラ閉めてしまうんです。
イセだって同じ。
これまで何度も、似たような言葉を浴びてきたからこそ、「こん話ばすると、こぎゃんことになる」と語るのを怖がっていたのでしょう。
呪いより怖いのは、実は周りの大人の言葉。
社会科教師として、そう実感させられる場面でした。
話せば楽になる‥はずが、話すこと自体が呪いに
本来、辛いことを話すのは、「楽になりたいから」。
でもイセの場合、話せば話すほど立場が悪くなっていきます。
- 不幸を打ち明ける
- 「だから呪われちょる」と言われる
- ますます話せなくなる
このループ。
なおじの教員時代にも、いじめの被害を相談してくれた子が、「あの子が先生に言ったせいで」と逆恨みされるケース、少なくありませんでした。
声を上げたほうが損をする。
そういう空気は、教室でも村社会でも一番の「呪い」かもしれません。
小泉八雲の短編「人形の墓」との違い
史実の小泉八雲は、「人形の墓」という短編で、熊本の人形の墓の風習と、ある少女の不幸な人生を描いています。
そこでも、不幸が続く家、人形の墓、三つ目の墓に入れられる藁人形‥といった要素はほぼ共通。
ただ決定的に違うのがラスト。
原作では、話を聞いた語り手(八雲側)が、少女の座っていた場所に自分から座る形で終わり、「呪いを引き受けるのは大人側」みたいなニュアンスが漂います。
ドラマ版ばけばけ104話では、その役割をトキに渡したうえで、さらにヘブンの創作へつなげている。
- 原作:八雲が呪いを背負うかのような余韻
- ドラマ:トキが呪いを背負い、ヘブンが物語化する
同じ史実の呪いでも、「誰が受け止めるのか」をずらしたアレンジ。
ここが、ばけばけらしい面白さだと感じました。
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トキはなぜ呪いを引き受けたのか|自己犠牲のスレスレを歩く子

ラシャメン事件の記憶が、イセに重なる
トキといえば、「ラシャメン」と噂されて石を投げられた過去。
あの痛いエピソード、覚えている方も多いですよね。
噂という名の呪い。
目に見えない石つぶて。
それを全身で浴びてきたトキだからこそ、「呪われた女」とされているイセを見捨てられなかった。
同じ匂いを感じてしまうから。
なおじのクラスにも、いじめ経験のある子ほど、転校生や浮きがちな子に妙に優しい、ということがよくありました。
自分がされて嫌だったことは、人にはしたくない。
トキの「呪いをもらいますけん」発言の根っこにも、そういう感覚がある気がします。
「呪われたがり」という危険な優しさ
ただ、今回のトキには、ちょっと危うさも。
「呪われるとか、楽しくてゾクゾクします」と笑いながら倒れていく姿。
ネットでも「ただの呪われたがりでは」と突っ込まれていましたが、あながち冗談だけとも言い切れません。
誰かの不幸を背負っていないと、自分の価値を感じられない。
そんな自己犠牲モードに入りすぎると、心も体もぼろぼろになります。
教室でも、「全部自分が悪いので、ほかの子は責めないでください」と言う子がいました。
立派だけれど、とても心配な台詞。
トキもまさに、そのラインぎりぎりのところを歩いているように見えました。
優しさと自己否定は、紙一重。
明るく笑っている分、よけいに怖い‥。
ヘブンの「君の心が必要」の意味
そんなトキに向かって、ヘブンは「君のことば、君の考え。ぼくには必要です」とはっきり言いました。
ここ、なおじは一時停止ボタン案件。
「呪いを受けてくれるトキ」が必要なんじゃない。
「ものごとをどう見るか」という、その視点が必要なんだと示してくれた。
これは、教師でいうところの「点数じゃなく、考え方そのものを認める」感覚に近いです。
なおじも学級通信で、「怒り方も泣き方も、あなたの大事な一部」と書いてきました。
トキにとって、この一言はかなり大きいはず。
呪いの身代わり役から、「物語を一緒に作るパートナー」へ。
ばけばけ104話は、その一歩目の回にも見えました。
吉野イセは史実のお梅? おクマとの二人体制説
史実のお梅と、ドラマ版イセ

史実の小泉八雲の妻セツには、「お梅」という実姉がいました。
熊本時代、八雲一家の子守や家事を担った女性として、資料にもたびたび登場します。
さらに、小泉八雲の短編「人形の墓」は、このお梅の身の上話を元にしていると言われています。
ただし、史料のお梅は、ドラマのイセほど徹底的に「呪われた女」として扱われてはいません。
- 苦労は多い
- でも、八雲夫妻に支えられ、最後は落ち着いた暮らし
ざっくり言うと、こういう筋。
つまり、ばけばけ104話 史実の呪いエピソードは、お梅の人生にフィクションのスパイスをかなり足した形、と見るのが自然です。
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おクマは「家を支えたお梅」の側面担当

一方で、おクマ。
松野家の女中として、長年家を回し、トキの相談にも乗ってきた人物です。
史実のお梅も、八雲一家の生活インフラを支えた人。
そう考えると、
- 呪われた身の上 → イセ
- 家を支える実務能力 → おクマ
と、梅のイメージを二人に分割しているようにも見えます。
99話で「女中を辞める」と言い出したおクマの叫び。
あれも、「ここまで支えてきたのに」という梅の声が、ドラマの中で別の形を取ったものかもしれません。
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二人の「外側の女」が照らす明治の狭さ
イセもおクマも、「外側の女」。
- イセ:村の伝承と結びついた「呪い側」の外側
- おクマ:家の中で働きながらも、血のつながりがない家族の外側
どちらも真ん中には座らせてもらえない。
でも、彼女たち抜きでは、村も家も回らない。
明治という時代の、女性の居場所の狭さ。
そこを、二人のキャラクターが別々の角度から照らしているように感じます。
なおじ的には、ばけばけ104話 史実の呪い回は、「呪われた女」の話であると同時に、「居場所のない女たち」の話でもあるなあ‥としみじみ。
Q&A|ばけばけ104話 史実の呪いやトキの気絶、ここが気になる
Q1:トキの気絶、あれは本当に呪い?
A:公式のコメントでも、「実際に呪いが移ったかどうかは、視聴者の解釈に委ねたい」といったニュアンスが示されています。
なおじとしては、
- 差別されてきた過去
- 熊本に来てからの過重労働
- イセを救いたい気持ちの張り詰め
この三つが重なった結果の失神、という見方がしっくりきます。
呪いというより、「優しさと疲れが一気に噴き出した」ところ、でしょうか。
Q2:イセの「人形の墓」は史実どおり?
A:風習の骨格は、史実どおり。
「一年に二つの墓」「三つ目の墓に藁人形」というあたりは、熊本の伝承にも出てきます。
ただし、ドラマ版イセの細かな人生(熊本に来るタイミング、借金の経緯など)は、かなり創作が入っている印象です。
史実の梅や短編「人形の墓」のイネに、明治の村社会イメージを乗せて脚色したもの、と見ておくと、ちょうどいい距離感かなと。
Q3:イセは最終的に報われるの?
A:104話時点では、まだ「呪いの告白」を終えた段階。
この先、トキやヘブンとどんな関係になっていくかは、まさにこれから描かれる部分です。
歴史的には、お梅のその後はそこまで悲惨な結末ではないので、ドラマでも完全なバッドエンドにはしないだろうな‥と期待半分、覚悟半分で見守っています。
Q4:トキの自己犠牲、今後も続きそう?
A:ばけばけ104話 史実の呪い回を見る限り、トキはかなり「人のために無茶をしがち」なキャラ設定です。
ただ、ヘブンが「君の心が必要」と言ってくれたことで、
- 呪いを背負う役
- 物語を一緒に作る役
この二つのうち、後者が少しずつ前に出てくるのでは、と期待しています。
教師目線では、「自分の感情を大事にする練習」を、ここからしていってほしいところ。
Q5:今回、一番刺さったのはどこ?
A:なおじ的ベストシーンは、やっぱりヘブンの「すばらしい心」連発シーン。
「呪われたがり」だと言い訳するトキに、「いや、それでも君の心がほしい」と真正面から言ってくれる人。
学生時代、そう言ってもらえた経験があるかないかで、その後の自己肯定感ってかなり違ってきます。
あなたは、どの場面で一番ぐっときましたか。
コメント欄で教えてもらえると、なおじももう一回見返したくなります。
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筆者紹介|なおじ
なおじは元社会科教師として教育現場に35年。
指導主事を5年、校長を11年経験してきました。
退職後はボランティアで子どもたちに勉強を教えつつ、朝ドラや時代劇の中に「歴史と社会のリアル」を探す日々。