4. 国家安全保障への影響
「個人情報の漏洩が国家安全保障に影響するって、大げさじゃない?」
そう思われるかもしれません。でも、実はとても深い関係があるんです。どういうことか、一緒に考えてみましょう。
まず、個人情報の集積が国家レベルの情報になり得るということです。
例えば、ある国の政府関係者や軍人たちのスマートフォンデータが大量に漏洩したとしましょう。これらの情報を分析すれば、その国の重要施設の位置や、政府の動きまで推測できてしまうんです。
実際、2018年に米軍関係者の運動記録アプリのデータが公開され、世界中の米軍基地の位置が明らかになるという事件がありました。これ、ただの運動記録が国家機密を暴露してしまったんですよ。
「えっ、そんなことがあったの?」
そうなんです。個人の何気ない行動が、国家の安全を脅かす可能性があるんです。
さらに深刻なのが、サイバー攻撃の問題です。日本の情報収集能力が低いということは、裏を返せば、サイバー攻撃に対する防御力も弱いということなんです。
「具体的にはどんな危険があるの?」
例えば、2015年に起きた日本年金機構の情報流出事件です。
約125万件もの個人情報が流出しました。これは単なる個人情報の問題ではありません。国の重要なインフラが攻撃を受けたということなんです。
もっと最近では、2022年9月に起きた警視庁のサイバー攻撃事件。約38,000件もの捜査情報が流出しました。これは、国の治安維持能力を直接脅かす事態です。
「でも、日本は平和な国だから大丈夫じゃない?」
残念ながら、そう単純ではありません。
実は、日本は世界有数のサイバー攻撃標的国なんです。2021年の調査によると、日本は世界で2番目にサイバー攻撃を受けている国でした。1位のアメリカの約31%に対し、日本は約19%。3位のドイツの約5%を大きく引き離しています。
「えっ、そんなに狙われてるの?」
そうなんです。日本の技術力の高さや、地政学的な重要性が理由だと考えられています。
さらに、日本の情報収集能力の低さは、外交や安全保障政策にも影響を与えています。
例えば、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際、日本は独自の情報収集能力の不足から、アメリカからの情報に大きく依存せざるを得ませんでした。
これは、日本が国際情勢を独自に分析し、適切な判断を下す能力が制限されているということを意味します。つまり、日本の外交・安全保障政策の自立性が脅かされているんです。
「それって、本当に深刻な問題だね…」
そうなんです。
個人情報の保護と国家安全保障は、実は表裏一体なんです。では、こういった問題に対して、日本はどのような法制度を持っているのでしょうか?次は、その点について詳しく見ていきましょう。