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坂井孝一著『承久の乱』書評|武士政権確立と後鳥羽上皇・実朝の再評価

目次

ネット上の評価

以下は、坂井孝一著『承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱』に関するネット上の評価を項目ごとにまとめたものです。

評価ポイント1:後鳥羽上皇と源実朝の再評価刺せてくれた本

  • 後鳥羽上皇の人物像
    従来「無謀な倒幕者」とされてきた後鳥羽上皇が、北条義時追討を目指した戦略家であり、多才な文化人として描かれています。『新古今和歌集』編纂を主導し、和歌や蹴鞠など多方面で活躍した優れた「王」として再評価されていて学びになりました。
  • 源実朝の再評価
    実朝が「文弱で孤立した将軍」というイメージを覆し、政治家としても文化人としても優れた能力を発揮していたことが示されていました。『金槐和歌集』や後鳥羽との良好な関係など、実朝の多面的な姿が明らかにされている点が秀逸です。

評価ポイント2:歴史的意義と新解釈

  • 承久の乱の位置づけ
    本書は、承久の乱を単なる「朝廷対幕府」の対立ではなく、日本史における「武士政権確立」の象徴的な転換点として描いています。特に、乱後に六波羅探題が設置され、西国支配体制が強化された点が詳述されていました。なるほどと、納得です。
  • 倒幕ではなく義時追討
    後鳥羽上皇が目指したのは倒幕ではなく北条義時追討であったという新解釈が提示され、従来の通説を覆しています。

評価ポイント3:文学的・文化的背景への洞察

  • 和歌と文化
    後鳥羽上皇や源実朝が和歌や蹴鞠など文化面で果たした役割が深く掘り下げられていました。『新古今和歌集』や『金槐和歌集』に込められた意図や背景も詳述されており、中世文化への理解が深まる内容となっていました。
  • 臨場感ある描写
    承久の乱そのものだけでなく、その前後の社会や文化的背景にも触れており、歴史書でありながらスピード感ある筆致で読ませる構成になっていました。

読者からの反響

好意的な感想

「後鳥羽上皇と源実朝へのイメージが変わった」「歴史的転機を多角的に描いている」「臨場感あふれる合戦描写」など好意的な評価が多く見られます。

  • 現代社会との比較
    現代社会との関連性を意識した記述(リーダーシップ論や組織運営など)が随所にあり、歴史から学べる教訓として読者からも高く評価されています。

批判的な感想

  • 情報量の多さ
    一部読者からは情報量が多すぎて消化しきれないという声もあります。また、専門用語や歴史的背景を知らないと理解しづらい部分もあるとの指摘があります。
  • 著者独自の解釈への賛否
    後鳥羽上皇や源実朝への新解釈については賛否両論があります。一部では「過去の研究成果を否定しすぎている」といった批判も見られます。

総評

坂井孝一著『承久の乱』は、従来の通説を覆す新しい視点から承久の乱を捉え直し、その背景や影響について多角的に考察しています。

特に後鳥羽上皇と源実朝という二人の主要人物への深い洞察は、本書ならではの魅力です。

また、歴史的事件だけでなく、その文化的背景や現代社会との関連性にも触れており、多くの読者から高い評価を得ています。

一方で、情報量や専門性の高さから初心者には難解だと感じる部分もあるため、基礎知識を持った読者向けと言えるでしょう。

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承久の乱6

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