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意外と知らない日本の神社の謎と、太古の神々

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「日本書紀」と「古事記」で違う、スサノオとクシナダヒメ結婚後の話

スサノオとクシナダヒメが結婚するまでは、「日本書紀」も「古事記」も同様の話となっている。
だが結婚後の話は、違っている。

「日本書紀」の話

結婚したスサノオとクシナダヒメの子に、オオナムチが登場する。
オオナムチはオオクニヌシの別名

「日本書紀」では、オオクニヌシはスサノオの子どもと言うことになる。

ただし、「日本書紀」には、他の伝承も列挙され、本文も含め全部で12の異なる伝承が載せられている。

日本書紀の別の話、「一書第四の話」

高天原から追放されたスサノオは、子のイタケルノカミ(五十猛神)を率いて、朝鮮半島の新羅に天下った。
スサノオは、一時は新羅の曽尸茂梨(そしもり)という場所に住んだが、この場所が気に入らなかった。

あるときスサノオは、「こんな所にはいたくない」と、わがままを言い出す。言い出したら聞かないスサノオは、船を造って東の倭の国に渡り、出雲の簸川(ひのかわ)の川上に到達した。

この話だと、スサノオは、高天原から一時新羅を経由して倭の神になったことになり、渡来人との関係が考えられる神と言うことになる。

日本の神と渡来人の関係は、他にも見られる。
代表的な神として八幡神を上げることができる。

八幡神は、「古事記」にも「日本書紀」にも登場していない神で、日本古来の神では無い。
八幡神を祀る宇佐神宮に伝わる史料には、『九州北部に住んでいた渡来人が祀っていた神』とされている。

八坂神社の午頭天王

午頭天王(スサノオ)を祀る八坂神社は、明治以前は祇園社と言われた。

八坂神社は、スサノオ、その妻のクシナダヒメ、そして子どもたちを祭神としている。
だが祇園社の時代は、午頭天皇とその妻子が祀られていた。

午頭天王は、頭が牛。
午頭天王は、祇園を守る神であり、渡来神としてのスサノオでもある。
午頭天王のお札には、「午頭天王と申すは素戔嗚尊なり」と書いてある。

スサノオは、「新羅の曽尸茂梨(そしもり)に住んでいた」という伝承があるが、韓国語の「ソ」とは、「牛」を意味し、「モリ」は、「頭」を意味するとも言われている。

曽尸茂梨=牛頭

と言うことになる。

ただし、古代の韓国語の表記は現在とは違っているので、『「曽尸茂梨(そしもり)」が牛頭天王を指すとは言えない』という説もある。

牛頭天王と蘇民将来

牛頭天王は、蘇民将来(そみんしょうらい)の伝説とも結び付いている。

八坂神社には、「蘇民将来の子孫なり」という厄除けの護符がある。

蘇民将来とは、人の名前。
蘇民将来は牛頭天王の別名ともいわれる武塔神(むとうしん)という神の話の中に出てくる人物。

北海の神、武塔神が結婚相手を探すために、南方の海を訪れたときのこと、
旅の途中で、蘇民将来とその弟の巨旦(こたん)の家を訪れ、一夜の宿を願った。

武塔神は、まず金持ちの弟、巨旦の所に行き一夜の宿を請うたが、巨旦はそれを断った。
次に、兄の蘇民の所へ行って「一夜泊めてくれないか」と請うた。

蘇民は貧乏だったが、快く武塔神を泊めてあげ、食事も出してもてなした。

恩義に感じた武塔神は、数年後に再び蘇民将来の家を訪れる。


自分はスサノオという神だ。やがて疫病が流行ることになる。そのときは、茅の輪を腰に付け『蘇民将来の子孫である』ことを示せば、蘇民の一族は疫病を免れることができる」と告げ、去って行った。

その後、本当に疫病が蔓延したが、蘇民将来の一族は、武塔神である牛頭天王、そしてスサノオでもある神の言いつけを守り、腰に茅の輪を付けることで疫病を免れることが出来た。

弟の巨旦の一族は、全て疫病にかかり死んでしまった。

神は、「習合」する。
この話では、武塔神はスサノオと習合して、混じり合っている。

また祇園精舎の守り神の牛頭天王と武塔神も習合しているので、「武塔神」=「牛頭天王」=「スサノオ」という習合が起こっている。

「古事記」の話

「日本書紀」に対し、「古事記」のスサノオとオオクニヌシの記述は次のようになる。

オオクニヌシはスサノオの子ではなく、6世の孫(遠い子孫)として描かれている。
5世までは親族として扱われるが、6世になると他人。

国つ神のオオクニヌシが、天孫であるスサノオの6世の孫として描かれているのが、興味深い。

因幡の素兎

因幡の白ウサギの話は、多くの人が知っている神話だろう。
オオナムチノカミ(オオクニヌシ)には、多くの兄弟の神々がいた。

それらの兄弟に、オオナムチはいじめられていた。
だが、心優しいオオナムチは、因幡の白ウサギを助ける。

だがオオクニヌシは、兄弟の神さまたちに嫉妬され、殺されてしまう。
しかし、母神さまの愛情で、幸運にも生き返り、スサノオのいる根の堅州国へ逃げた。

そこでスサノオの娘スセリビメと出会い、恋に落ちる。

オオナムチは、その後スセリビメとともにスサノオが出す試練を乗り越えていく。
そしてスサノオが眠っているすきに、スサノオの生大刀、生弓矢、天の沼琴をうばって逃げ出す。もちろんスセリビメも一緒だ。

目を覚ましたスサノオは二人を黄泉比良坂まで追いかけるが、遠くに逃げてゆくオオナムチにむかって

「その生大刀、生弓矢で、兄弟たちを追い払い大国の主となれ」と叫びぶ。

逃げ延びて地上に戻ったオオナムチは、スサノオが言った通りに兄弟たちを追い払い、葦原中国の主、つまりオオクニヌシとなった、というストーリーが古事記の内容。

まるで、イザナギ・イザナミの話のリメイクのような話だ。

また、スサノオとオオクニヌシは、出雲で試練を克服していくという点では、共通している。

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