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ブギウギ靴磨き少年達彦の親:親友タイ子(藤間爽子)の変貌

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ブギウギ:親友タイ子(藤間爽子)の変貌

タイ子はスズ子と仲の良い幼なじみ。芸者の母とそれなりに夢をもって生活していた。
だが、今のタイ子は戦争未亡人となり病魔に冒され、極貧にあえぐ泥沼の生活苦。
それでも、一人息子の達彦にはプライドを持って生きることを願っている。

息子は、けなげに母を支えて働いている。
息子の名は達彦。
有楽町界隈で靴磨きをして小銭を稼いでいた。

達彦との関わりで、久しぶりにタイ子と再会したスズ子。
だがタイ子は、「切り裂くようなまなざし」でスズ子をにらめつけ「帰ってくれ」とせまる。

いったい、何が仲良しのタイ子をここまで変貌させてしまったのか

タイ子の変貌は、戦争にあった。
夫を戦争で失い、助けてくれる親戚も失い、孤立無援となってしまったタイ子。
しかも、自身は病魔に冒され、日々の暮らしは幼少の息子に頼らざるを得ない。

だが、プライドだけは捨てられない。
おそらく芸者の子、お目かけさんの子とさげすまれる幼少時代の経験が、「プライドだけは失ってはいけない」という、強い信念を生んだのだろう。

タイ子は、その信念を息子にも日々伝えていた。
「自分の惨めな実体」と「プライド」の狭間であえいでいるときに、スズ子が目の前に現れた。

それまでぶつける先が見つからなかったタイ子の感情の矛先が、すべてスズ子に向かうことになる。
それが、あの鋭いまなざしとなって表現されたのだろう。

惨めな自分。
成功していて、何の不自由もないように見える友へやっかみ。
友の成功を喜びたい気持ち、そしてうらめしさ。

友の成功を素直に喜べない、自分のさもしい気持ちに気づき、自己嫌悪する自分。

それらのぐちゃぐちゃした気持ちが、スズ子の出現で一瞬にはぜる。
「キッ」とスズ子をにらみつける迫力有る眼光。
藤間爽子さんの演技に多くの視聴者が、「ドキッ」としたことだろう。

タイ子が象徴しているもの

「パンパンのラクチョウのオヨネ」・「靴磨きの少年達彦」・「変貌してしまった幼なじみタイ子」は、戦後のすさんだ世相の象徴なのだろう。

タイ子の、

「スターさんには関係ありません。」

「生きていくのに精一杯や。地べた這いつくばってなんとか生きてんのに、夢を叶えたスズちゃんとうちとでは天と地や。」

という言葉に、スズ子は何を感じただろうか。

自身も、母を失い、弟を失い、最愛の愛助を失ったスズ子。
タイ子の言葉を聞いて、

「それでもへこたれたらアカン。」
「必死に、生きなあかん」

と思い、自分に言い聞かせ、タイ子にもそれを望んだはず。

確かに、スズ子にとって第一は愛娘愛子だ。
だが、自分が必死に生きること、歌うことが、「オミネ」「タイ子」「達彦」も、そして日本中の人々の心も勇気づけることに繋がる。

スズ子は、無意識のうちにそう感じたはず。

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