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ばけばけ おクマの史実モデルはお梅?!元教師が人形の墓を深掘り

こんにちは、なおじです。

NHK朝ドラ「ばけばけ」熊本編に突入して、新キャラ・おクマが登場しましたよね。

「あのキャラ、実在したの?」

「史実のモデルって誰なんだろう?」

そう気になった方、多いんじゃないでしょうか。

元社会科教師のなおじが、明治時代の史実資料をひもときながら、おクマのモデルの謎に迫ります。

おクマ

この記事でわかること

  • おクマのモデルとして最有力の「お梅」の実像
  • 女中・お梅が生んだ名作「人形の墓」の誕生秘話
  • 小泉八雲が女中たちを「家族」として扱った深い理由
  • 「雪女」「ある女の日記」を生んだ他の女中たちの軌跡
目次

おクマとはどんなキャラ?熊本編の幕開け

第96話で始まった九州の新生活

朝ドラ「ばけばけ」第96話から、熊本編がスタートしました。

ヘブン(トミー・バストウ)とトキ(髙石あかり)が松江を離れ、第五高等中学校(現・熊本大学の前身)の英語教師として九州へ赴任。

松野家には司之介・フミ夫妻、書生の丈・清一、車夫の永見も同行し、大所帯での新生活が始まります。

元社会科教師としては「第五高等学校」という名前だけで胸が躍ります。

当時の超エリート教育機関ですからね。

👉関連記事:ばけばけ96話熊本で暇地獄!史実と軍都が不穏すぎ

謎めいた女中・おクマの第一印象

そこに加わったのが、松野家の女中・おクマ(演:夏目透羽

初登場シーンから厳しく、とっつきにくい印象を与える彼女。

熊本名物・蓮根料理を持ってきた初日から司之介とひと悶着を起こすんですよね。

ドラマでは第99話でクマが「女中を辞める」と宣言するシーンも描かれ、その「意外な身の上」が明らかになっていきくのだそう。

おクマの史実モデルはお梅?証拠を探る

熊本で新たに雇われた女中・お梅

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史実では、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は松江からお米という女中を連れて熊本へ移住し、さらに熊本で新たに「お梅」という女中を雇い入れたことが記録に残っていました。

長谷川洋二著『八雲の妻 小泉セツの生涯』には、こう記されています。

出雲の今市の出で八百に代わっていた女中のお米(奉公始め十九歳)、松江の西洋料理屋から引き抜いて呼び寄せた松、熊本に来てから雇い入れたお梅がおり

ドラマのおクマが「熊本で新たに雇われた女中」という設定は、史実のお梅の存在とぴったり符合します。

「人形の墓」に秘められたお梅の物語

蘭子2

このお梅こそ、ハーンの名作短編「人形の墓」(1897年、『仏陀の国の落穂』所収)のモデルなんだとか。

作品に登場する少女・イネ(10〜11歳)は、次々と家族を亡くした悲しい身の上をハーンに語ります。

祖母の必死の抵抗も虚しく家族は次々と世を去り、残されたイネと妹は別々の家にもらわれます。

話し終えたイネは、自分の不幸がハーンに乗り移ることを恐れて座布団のぬくもりを追い払おうとしますが、ハーンはあえてそのまま座る——その場面が、作品のクライマックスです。

一人の女中の半生が、100年以上読み継がれる文学作品に「化けた」。

ドラマのタイトルが「ばけばけ」というのも、何か意味深に感じてしまいますよね。

なおじは、第99話を見た後にこれを知りました。
(99話が、別の視点で見えてきた‥。)

👉関連記事:ばけばけ99話おクマ女中辞めるってよ!才能と役割の哀しい物語

ドラマのおクマと史実お梅の「キャラ分裂」構造

ただし、ドラマのおクマがそのままお梅と同一人物かというと、少し複雑な事情があります。

史実のお梅が「人形の墓」の語り手(イネ)になったという話を、ドラマでは「吉野イセ」という別キャラクターが担っているとも指摘されているそう。

整理するとこうなります。

史実のお梅の要素ドラマのキャラクター
熊本で新たに雇われた女中おクマ
「人形の墓」イネの語り手吉野イセ(と推測)
8年間小泉家に仕え続けたおクマまたはイセ

つまり、おクマは史実の複数の女中の要素を組み合わせたドラマ独自のオリジナルキャラクターと見るのが、現時点では最も整合的な解釈かも。

ハーンが女中を家族として扱った深い理由

明治の女中は「行儀見習い」だった

元社会科教師として言わせてもらうと、明治期の中流以上の家庭における「女中」という存在は、現代のアルバイトとはまったく違う意味合いを持ちます。

寝食をともにし、主家の子どもを育て、時には嫁ぎ先の紹介まで関わる——良家への「行儀見習い」という側面が強く、主従を超えた家族同然の絆がそこにありました。

歴史の授業で「封建制度と人間関係」を教えるとき、いつもこの「奉公と絆」の文化は生徒に一番伝えたかったテーマの一つです。

差別経験者ハーンが感動した日本の縁

マーサ

ここが、なおじが今回最も伝えたいポイントです。

ラフカディオ・ハーンは若い頃にアメリカで差別を受けた経験があります。

元奴隷出身の女性と結婚したことで職を失い、社会的孤立を経験した人物でした。

そういう傷を持つ人間が日本に来て、「契約ではなく縁と信頼で結ばれた主従関係」に出会ったとしたら——深く感動するのは、必然だったんじゃないでしょうか。

差別を受けた人間が、縁と信頼の文化に感動する。

これって、人生の皮肉というより、ある種の必然だとなおじは感じています。

👉関連記事:シャーロット・ケイト・フォックスの現在!3児の母で朝ドラ復帰

女中たちが生んだ名作——7人の軌跡

八雲家に仕えた女中は、おクマ(お梅)だけではありません。

それぞれの女性が、八雲の名作の「種」を持っていたのです。

女中と名作の対応表

女中名主な滞在地文学への貢献
お梅熊本・神戸・牛込「人形の墓」のモデル(少女イネ)
お米松江・熊本・神戸・牛込「ある女の日記」の原点(先妻の日記を届ける)
お花牛込「雪女」誕生のきっかけ(父・宗八が伝説を語る)
おろく牛込働き者で正直者。一雄を叱るエピソードが残る

元社会科教師として感動するのは、これだけ多くの「名もなき人々」が世界的文学の礎になっているという事実です。

👉関連記事:ばけばけ96話熊本で暇地獄!史実と軍都が不穏すぎ

日記を届けたお米の誠実さ

お梅以外で特筆すべきはお米

松江から熊本・神戸・東京まで9年間仕えた彼女は、嫁ぎ先で偶然見つけた先妻の日記を正直にセツに手渡しました。

その日記が、名作短編「ある女の日記」(1902年、『骨董』所収)の原点となりました。

「自分のものではない日記」を正直に届ける——その誠実さが文学を生んだというエピソードは、どんな授業より心に刻まれますよね。

「雪女」の種を蒔いたお花の父・宗八

雪女

さらに驚きは「雪女」(1904年、『怪談』所収)です。

あの幻想的な物語の原型となる伝説を八雲に伝えたのは、女中・お花の父・宗八さん(東京府西多摩郡調布村の農家)でした。

女中一人を雇ったことが、巡り巡って「雪女」という世界的怪談の誕生につながっている。

採用担当者が一番驚くエピソードかもしれません。

人と人のつながりって、本当に面白いですよね。

Q&A よくある疑問

Q1. おクマの実在モデルは誰ですか?

史実の小泉八雲家に「お梅」という女中がいたことは確認されており、おクマのモデルとして最も有力視されています。

ただし、ドラマ公式が「お梅がモデル」と明言したわけではなく、複数の女中の要素を組み合わせたオリジナルキャラクターという見方が現在は主流です。

「お梅がベースにいる」という理解が、現時点で史実に最も近い解釈です。

Q2. お梅は「人形の墓」のどの登場人物に対応しますか?

作品に登場する少女・イネ(10〜11歳)がお梅の語りをもとに造形されたとされています。

ドラマ「ばけばけ」ではこのイネに対応するキャラクターが「吉野イセ」として別に描かれており、おクマとイセで役割が「分裂」している可能性も指摘されています。

Q3. 小泉八雲はなぜ女中たちとそれほど深く関わったのですか?

ハーン自身が人種差別による苦労を経験した人物だったからこそ、日本の「縁と信頼で結ばれた主従関係」に強い感動を覚えたと考えられます。

女中たちを単なる使用人ではなく家族の一員として扱い、その生き様に創作の源泉を見出したことが、数々の名作誕生につながりました。

あなたは熊本編のおクマ、どんな印象を持ちましたか?

「ここは史実と違う気がする」「こんなシーンが気になった」という感想があれば、ぜひコメント欄で教えてください。

なおじも一緒に考えます!

👉ばけばけ全話の史実まとめはこちら:ばけばけは史実と何が違う?全話感想と人物モデル一覧

筆者紹介|なおじ

なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、
指導主事を5年、校長を11年務めました。
退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。

社会科・歴史専門として、近代日本と外国人の関わりを授業で何度も取り上げてきました。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の作品は「怪談」の授業でも定番の一冊でしたから、今回のばけばけ熊本編はことさら胸に刺さります。

現在は8つのブログでドラマ芸能政治歴史スポーツ学び書評を書いています。

おクマ

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