こんにちは、なおじです。
第6週のタイトルは「白いしずく」ですね。
なおじのなかで、第6話は評価が高いんです。
なぜ、評価が高いのか!!!は、本文で…。
今朝もハンバート・ハンバートの「笑ったり転んだり」が流れる中、写真家・川島小鳥さんが撮影した夫婦写真が映し出された。
何度か聞いているうちに、違和感が薄れてきて心が温まる感じがしてきた。
人生そのものを歌っているような、そんな優しさも感じられる。
第6話はなおじ的に、明治の牛乳売りの風景が印象に残った。
それと雨清水家と松野家の複雑な人間模様が浮き彫りになってきた??
一視聴者として、そして社会科を教えていた頃の記憶を辿りながら、気になった点を綴ってみたい。

オープニング主題歌の魅力

気になっていたオープニング曲について調べてみた。
「笑ったり転んだり」を歌うのは、佐野遊穂さんと佐藤良成さんの夫婦デュオ・ハンバート ハンバート。
作詞・作曲・編曲は全て佐藤良成さんの手によるもの。
制作統括の橋爪國臣さんが「トキとヘブンの二人のありのままの空気感を飾らずに歌にしてくれる方に」と依頼したそう。
夫婦だからこそ表現できる「重なるようで重ならない」関係性が、まさにトキとヘブンそのものだね。
実はなおじ、レフカダ・ヘブン役(史実のラフカディオ・ハーン)のトミー・バストウさんが歌っているのかと思っていたんです。
なんとなく、外人さんポイ歌い方に聞こえるんで…。
白い朝 文化の音が 瓶を打つ――牛乳配達の時代を思い起こさせるような、このドラマの世界観。歌詞は「毎日難儀なことばかり 泣き疲れ眠るだけ」で始まりながら、「君とふたり歩くだけ」で着地する。明治という激動の時代を生きる夫婦の支え合いを、これほど的確に表現した歌はない。佐藤さんは小泉セツさんの「思い出の記」を繰り返し読み、「自分がセツになったつもりで一気に作った」と語っている。

ハンバート入門
北川景子さん(雨清水タエ)と池脇千鶴さん(松野フミ)の微妙な関係
今回、タエとフミの間に漂うピリピリした空気。
その背景には、家格の違いという明治特有の身分意識があったでしょうね。
雨清水タエのモデルは小泉セツさんの実母・小泉チエさん。
松江藩の上級家老の一人娘で、「御家中一の器量よし」と記録に残る美人だったそうだ。
一方、ドラマの雨清水家は松江藩に名を馳せる上級武士で、松野家よりもだいぶ格が上という設定。
北川景子さんが演じるタエが、堤真一さん演じる傳に対して尊大な態度を取るのも、実は夫より妻の方が家格が上だから。
妻が夫を見下す――現代では考えにくい構図だが、明治の士族社会では珍しくなかった。
ちなもに、なおじ家は妻が上…。
第6話で印象的だったのは、「それなら存じておりましたよ」「すでに、私の方でよきお相手を探し始めております」というタエの発言に対し、
フミが「そうだと先にお伝えいただきたかった」と返す場面。
おや、バチバチの関係?
家の格式は圧倒的に違うけど、そこには微妙な力関係が透けて見えるね。
この二人、今後何かありそう。

朝ドラ「ばけばけ」第6話の主要登場人物関係図
明治の牛乳文化と文明開化
今回のドラマで描かれた牛乳売り。
あの場面を見て、授業の合間に生徒たちと話した雑学を思い出した。
牛乳が庶民に普及したきっかけは、1871年(明治4年)に「天皇が毎日2回ずつ牛乳を飲む」という記事が新聞・雑誌に掲載されたこと。
天皇陛下がお飲みになると報じられれば、庶民もこぞって真似をする。
今も昔も「インフルエンサー」効果は絶大。
当時の牛乳は、ブリキ缶で運ばれ、「ひしゃく」を使って5勺(90ml)ずつ量り売りされたそう。
1877年(明治10年)には1合(約180ml)のブリキ缶を使った牛乳配達が始まり、都市部での流通が本格化していった。
明治政府は殖産興業と士族授産政策の一環として牛乳店を奨励しており、多くの武士が牛乳店経営に乗り出した。
刀を置いた侍が牛乳瓶を持つ――これこそ希少な文明開化のサクセスストーリーの一つ。
ドラマでの牛乳屋の「これが西洋の力だ!」という台詞は、当時の人々が抱いた憧れと期待を見事に表現していたわけ。
牛乳(ぎゅうにゅう)で急に憂鬱(ゆううつ)な士族も元気になる――そんな時代の空気が伝わってくる。

明治時代の牛乳普及の歴史タイムライン
雨清水三之丞(板垣李光人さん)の登場

今回初登場した板垣李光人さん演じる雨清水三之丞。
雨清水家の三男でトキの2歳下。
家督を継ぐ兄がいるため特に役目がなく、家に居場所を見出せず、松野家の仕事場に入り浸っている。
実在のモデルは小泉セツさんの弟・小泉藤三郎さんで、鳥を飼うことが好きだったが、働いて家計を支える気はなかったという人物。
「当たるから怖くてできなくて。いっつも人のを見てドキドキしているだけ」と占いについて語る三之丞の台詞に、せんちゃんたちが「えー乙女!」と笑う場面は微笑ましかった。
三男坊の切なさと、どこか浮世離れした雰囲気――板垣さんの繊細な演技が光る。
三之丞がこれからの物語にどう絡んでいくのか。トキとの関係も含めて、目が離せない。
松野勘右衛門おじいさんの和歌
小日向文世さん演じる勘右衛門おじいさんが和歌を詠んだ場面――あれ覚えてます。
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を
この歌は、『古事記』に収められた日本最古の和歌。
素戔嗚命(すさのおのみこと)が、八岐大蛇を退治した後、妻となる櫛名田比売のために宮殿を建てる際に詠んだとされる。
「八重垣」は幾重にも重ねた垣根のこと。妻を守りたいという、真っ直ぐな思いが込められている歌。
この和歌をトキの婿探しの場面に挟んでくるとは――脚本家のセンスに思わず膝を打っちゃいました。
良き夫とは「八重垣」を作れる男性のこと。
妻を守る覚悟がある人のことなんだと、静かに語りかけてくる。
実は勘右衛門のモデル・稲垣万右衛門こそ、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の日本名「八雲」を命名した張本人。
この和歌から「八雲」の二文字を選んだわけ。
小泉八雲の名の由来となる和歌を、何気なーくぶち込んできた!
社会科教師として、👏👏👏👏👏👏👏
授業の合間にこの歌をネタとして、「日本最古の和歌だよ」と紹介すると、決まって「ラブソングじゃん!」と言われたんだよね。
今だったら、「そう『ばめばけ』のオープニング曲ハンバートハンバートが歌う『笑ったり転んだり』の元歌は、この和歌なのかもね。」と鼻の穴を膨らませて語ったと思う。
『神話の時代から、日本人は愛する人を守りたいという思い』を、歌に託してきたという事実がすごい。
そんな和歌をこのドラマでこんな形で活かしてきた。
脚本家の教養と遊び心――いや、これぞ「うがち」というものだろう。
古の言葉に新しい命を吹き込む。
まさに朝ドラの醍醐味。
なおじの中で、6話の評価が高いのはこういう理由。

次回への期待
トキの婿探しが本格化し、三之丞も物語に絡んでくる中で、雨清水家と松野家の関係はさらに複雑さを増しそう。
特にタエの「私の方でよきお相手を探し始めております」という発言が、今後どう展開するのか気になるところ。
占いで「やっと、やぁっと沈む」トキの舟のように、彼女の結婚も…。
それとも思わぬ波乱が待っているのか。
明治という激動の時代を背景に、家族の絆や人と人との繋がりを丁寧に描く「ばけばけ」。
妻からは「ドラマばかり見て」と呆れられているが、これも「研究」なのだと言い訳しながら、次回の放送を心待ちにしている自分を発見!
みなさんは第6話をどう見ましたか?
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