こんにちは、なおじです。
現代でもSNSで一つの投稿が炎上し、人生が変わってしまう事例を目にします。
ばけばけ86話はまさに、明治時代の炎上でした。
梶谷の新聞記事一つで、おトキが「ラシャメン」呼ばわりされ、町中から後ろ指を差される。
真実と無関係に、噂だけが一人歩きする怖さを痛感しました。

この記事でわかること
- おタエ様の「おごれるもの久しからず」という忠告の意味と、その的中の悲しさ
- 庄田が生徒の前で失恋を告白した理由と、おサワへの想いの深さ
- 史実ではおサワと庄田は結婚する(モデルは本庄太一郎と渡部トミ)
- ヘブンとおトキの抱擁シーンが、なぜ町の人々に誤解されたのか、文化的背景
- 「ラシャメン」という言葉に込められた明治時代の差別構造
おタエ様の言葉が胸に刺さる

「おごれるもの久しからず」の重み
おタエ様(北川景子)の礼の仕方が、本当に美しい。
所作の一つひとつに品格が宿っていて、見ているだけで背筋が伸びる思いがします。
そして、おトキに告げた言葉。
「おごれるもの久しからず」。
平家物語の冒頭部分です。
町を歩けばキャーキャー言われるほどの人気者になったおトキ。
確かに、少し浮かれていたかもしれません。
おタエ様はその様子を見て、優しく、しかし厳しく釘を刺したのです。
調子に乗った生徒に伝えた言葉
なおじは35年間教師をしてきましたが、生徒が少し褒められて調子に乗り始める瞬間を、何度も見てきました。
そんな時、頭ごなしに叱るのではなく、「今が大事な時だよ」「周りをよく見てごらん」と声をかけます。
調子に乗っている時こそ、足元が見えなくなる。
これは教育現場でも、人生でも同じです。
おタエ様の言葉には、そういう深い愛情が込められていましたよね。
ここ、見ていてどう感じましたか?
忠告の 声の優しさ 胸に沁む
庄田の失恋告白、生徒の前で見せた心の傷

生徒への自己紹介で「振られた」と告白
86話では、庄田だけが登場しました。
生徒たちへの自己紹介の場面。
そこで庄田は、振られたばかりだと告白してしまうのです。
人前でこんなことを言う明治人は、おそらくいません。
やや女々しいと感じる方もいるかもしれません。
しかしなおじには、これが庄田にとって相当に大きな心の傷になっているという表現だと感じました。
ドラマだからこそ許される演出かもしれませんが、それだけおサワへの想いが深かったということでしょう。
史実では二人は結婚する
なおじとしては、できればよりが戻ることを願っています。
史実ではどうなのでしょうか。
調べてみると、庄田のモデルは本庄太一郎という教育者です。
松江出身で、東京帝国大学文科の特約生となり、のちに各地の校長を歴任した人物。
そしておサワのモデルは渡部トミ(本庄トミ)と山脇房子の二人を参考にしたキャラクターとされています。
実は、本庄太一郎と渡部トミは実際に結婚しているのです。
ドラマでも第23週で二人に変化が起こるよう。
すでに公開されている事実があったのですが、ここでは伏せておきますね。
さて一度は断ったサワですが、正規の教師になった後、庄田と結ばれるのでしょうか。
第23週をこうご期待。
👉関連記事:ばけばけ85話おサワ庄田求婚を断る理由と野摘み花束の伏線
振られても 生徒の前で 胸を張り
ヘブンとおトキ、町での抱擁が運命を変える
虫の話をするヘブンの無邪気さ
ヘブンと錦織が町はずれを歩いています。
ヘブンは次に「虫について書きたい」と錦織に話します。
自然科学への興味を持ち続けるヘブンらしい発言です。
錦織さんは静かに聞いていますが、自身にも秘密があることが以前の回で描かれていました。
錦織さんの学歴詐称という爆弾が、これからどう動くのか、気になるところです。
👉関連記事:ばけばけ83話感想|サワと庄田の初デートと錦織の決意
抱きあげた瞬間、空気が変わった
そこへ、おトキが声をかけます。
「ヘブンさん」。
ヘブンはおトキを見るなり、抱きあげたのです。
町の人たちが、その瞬間を目撃しました。
キャーキャーと騒ぐ声。
でも、その声の質が少し違う気がしたのは、なおじだけでしょうか。
欧米では挨拶の一つかもしれません。
しかし明治時代の日本で、異性が人前で抱き合うことは、考えられない行為でした。
既婚の男女であっても、それは異様な光景と見なされてしまいます。
ヘブンには悪気がない。
おトキも驚いただけ。
それでもこの瞬間が、全てを変えてしまう伏線…。
見ていて、胸が詰まりました。
借金完済の喜びが一瞬で消えた夜

銭太郎の「悔しい」の裏にある優しさ
ついに、松野家の借金が完済されました。
銭太郎は口では悔しがり、ダラクソなどと汚い言葉を吐きます。
でもなおじには、その言葉の裏が見えた気がしました。
銭太郎は決して暴力を振るわない。
口は悪いけれど、根は善人。
むしろ心底では、松野家が借金から解放されたことを喜んでくれているかのよう。
必死でその善人ぶりを外に出さないようにしている。
そんな銭太郎の不器用さが、なんとも愛おしい。
フルコースでもてなす松野家の粋

そして松野家は、銭太郎に夕飯をフルコースでふるまうのです。
借金で苦しめられたはずなのに、恨みではなく感謝を示す。
この粋な振る舞いに、なおじは「ああ、こういう家族なんだな」と改めて感じました。
そしておトキが、ぽつりと言います。
「またいつか勉強してみたいな」。
ヘブンから教わったことへの感謝。
学びへの意欲。
明治時代の女性にとって、学問は限られた機会でした。
だからこそ、この一言が重く響きます。
トキの夢想の中では、おサワが先生…。
(おサワと庄田、どうなってしまうんでしょう。それも気になる…。)
新聞記事が全てを壊した

しかし。
ついにやってしまいました。
梶谷の新聞に、おトキがヘブン先生と一緒になったことで借金を返してもらったという記事が掲載されてしまったのです。
真実は違います。
おトキはヘブン先生と相思相愛。
ヘブン先生に怪談を伝授する師匠ですらあったわけ…。
決して、借金返済を狙って妾になったのではありません。
ところが新聞には、そうは書かれていない。
おトキは、ラシャメン(妾)…。
町の人々の目には、「外国人男性の愛人になって金をもらった」と映ってしまう。
事実がどうであれ、噂が真実になる。
現代のSNS炎上と全く同じ構図です。
なおじは社会科教師として、こうした「情報の暴力」を何度も授業で扱ってきています。
それでも、こうして目の前で起きると、本当に苦しい。
一枚の 紙が家族を 追い詰める
「汚らわしい」という声が町を覆う

このシーン、本当に辛かったです。
ラシャメンという言葉の暴力
新聞記事が出た後、町には「汚らわしい」という声があふれます。
そしておトキは、ラシャメンと呼ばれるようになります。
ラシャメンとは、外国人を相手にする遊女や、外国人と親密な関係を持つ女性への蔑称です。
ラシャ(羅紗)という外国製の毛織物から派生した言葉で、明治時代には激しい差別の対象でした。
実際には何の関係もない。
それでも一度そのレッテルを貼られたら、もう剥がせない。
👉関連記事:ばけばけトキが女中を断った理由|明治女性の立場とラシャメン差別
なおじは35年間、差別の歴史を授業で教えてきました。
部落差別、民族差別、性差別。
そしてこの「ラシャメン差別」も、明治時代の開国がもたらした、新しい形の差別だったのです。
事実よりも噂が優先される。
この構図は、今も昔も変わらないのです。
司之介の怠惰さとおフミの現実感のなさ
司之介が「仕事をやめてしまうか」と言い出します。
司之介はおトキの父親。
ちょっといい加減な男です。
自分が作った借金なのに、ヘブンが返済してくれたと勘違いしている。
だから仕事を辞めようかなどと、怠惰なことを考え始めるのです。
一方おフミは、「どっちでもいい」と言うのです。
司之介は「おフミ、それどころではないよ」と戸惑います。
おフミはぽわーとした人。
優しいけれど、現実をきちっと考える力に疑問を感じる場面です。
夫の怠惰な考えを「どちらでもよい」などと、肯定してしまう。
なおじは教師時代、こういう保護者の組み合わせを何度も見てきました。
一方が現実逃避し、もう一方がそれを許してしまう。
この二人の対応が、この先の松野家をどう動かすのか。
少し心配になりました。
ここ、見ていて息が詰まりませんでしたか?
世間の目 避けるか向き合うか 夫婦揺れ
【感情の変化を整理する表】
| 人物 | 借金完済時 | 新聞記事後 | 背景にある事情 |
|---|---|---|---|
| おトキ | 喜びと感謝、学びへの意欲 | ラシャメン呼ばわりされる恐怖 | 明治女性の立場の弱さ、外国人への偏見 |
| 司之介 | 借金から解放された安堵 | 仕事を辞めようかと怠惰な考え | 自分が作った借金なのに、ヘブンが返したと勘違い。いい加減な性格 |
| おフミ | 穏やかな喜び | 「どっちでもいい」と現実感なく | 優しいが現実をきちんと考える力に欠ける。夫の怠惰を許してしまう |
| 銭太郎 | 口では悔しがるが心底喜んでいる | フルコースを楽しむ | 根は善人だが、善人ぶりを必死で隠す不器用な性格 |
| 庄田 | (登場せず) | 生徒の前で失恋を告白 | おサワへの想いが深く、相当な心の傷を負っている。史実では後に…。 |
| 町の人々 | (おトキを持ち上げていた) | 「汚らわしい」と攻撃 | 噂だけで判断する集団心理 |
Q&Aで振り返る第86話
Q1:おタエ様の「おごれるもの久しからず」は、なぜこのタイミングだったのでしょうか?
A:おトキが町で人気者になり、少し浮かれていた時だからこそ、おタエ様は釘を刺したのだと感じます。明治時代の女性にとって、「目立つこと」は危険でもありました。その予感が、悲しいほど的中してしまいます。
Q2:庄田が生徒の前で失恋を告白したのは、なぜですか?
A:明治の男性が人前でこんなことを言うのは異例です。でもそれだけ、おサワへの想いが深く、相当な心の傷を負っているということでしょう。ドラマだからこその演出かもしれませんが、なおじとしては二人がよりを戻すことを願っています。
Q3:史実では庄田とおサワは結婚するのですか?
A:はい。庄田のモデルは本庄太一郎、おサワのモデルは渡部トミ(本庄トミ)と山脇房子です。本庄太一郎と渡部トミは実際に結婚しており、ドラマでも第23週で何かが起こるのだとか…。
Q4:ヘブンがおトキを抱きあげたのは、文化の違いですか?
A:そうです。欧米では挨拶や親愛の表現として自然な行為ですが、明治時代の日本では考えられないこと。この文化的ギャップが、誤解と差別を生む土壌になってしまいました。
Q5:銭太郎はなぜ口では悔しがっているのに、フルコースを楽しんでいるのですか?
A:銭太郎は根が善人なのだと思います。松野家が借金から解放されたことを心底喜んでいるが、それを素直に表に出せない。不器用で、善人である本質を必死で隠そうとする彼のキャラクターが、この場面によく表れています。
Q6:司之介が「仕事を辞めようか」と言い出したのは、なぜですか?
A:司之介はちょっといい加減な男です。自分が作った借金なのに、ヘブンが返済してくれたと勘違いしている。だから「もう働かなくていいかな」と怠惰なことを考え始めるのです。おフミも現実感がなく、それを許してしまいそう。この二人の組み合わせが、少し心配になります。
Q7:これからおトキはどうなるのでしょうか?
A:町中から「ラシャメン」と呼ばれる厳しい状況です。でも、おトキには強さがあります。そして家族の支えもある。この困難を、どう乗り越えていくのか。明日以降が気になります。
筆者紹介|なおじ
元社会科教師として35年間教壇に立ち、明治時代の女性差別や開国期の社会変化を数え切れないほど生徒たちに教えてきました。
現在は8つのブログ(ドラマ・芸能・政治・歴史・スポーツ・旅・学び・書評)を運営しています。
ドラマ記事では、キャラクターの「心の揺れ」をていねいに感受しつつ、社会科教師として培った歴史的・社会的背景でシーンの奥行きを解説するスタイルを大切にしています。