こんにちは、なおじです。
「私を社長にしてください!」
牛乳屋から引きずり出されながらも、必死に叫ぶ三之丞の姿。
見ていて、切ないやら、呆れるやら、複雑な気持ちになりました。
武家のプライドと現実のギャップが、これほど残酷に表れた場面はありませんでしたね。
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」第29話(11月6日放送・第6週「ドコ、モ、ジゴク。」)は、前回の衝撃から続く、タエ(北川景子)と三之丞(板垣李光人)の厳しい現実が描かれた回でした。
この回のネタバレ感想を、元社会科教師の視点から語っていきますね。

この記事で分かること
- 三之丞が牛乳屋に仕事を求めにくる場面の詳細
- 「私を社長に」という三之丞の衝撃発言の背景
- タエの教育が三之丞に与えた影響
- トキがタエの物乞い姿を家族に言えない理由
- 錦織の再訪問と焦りの様子
- トキと三之丞の再会シーン

錦織の再訪問~焦りを募らせるヘブンの女中探し
前回、タエの物乞い姿を目撃して衝撃を受けたトキ。
その夜、錦織(吉沢亮)が再びトキを訪ねてきました。
ヘブン(トミー・バストウ)の女中が決まらず、焦る錦織は、もう一度トキに頼み込みます。
しかし、このときはまだトキの決意は固いままでした。
錦織は落胆しながらも、なんとか説得しようと試みますが、トキの心は揺れながらも「武士の誇りを守る家族のため」という強い意志で断り続けます。
武家の嗜みを身につけた女性という条件が、いかに見つけるのが難しいか。
錦織の焦りは、日に日に増していきました。
三之丞の仕事探し~牛乳屋での衝撃的な申し出
ある日、司之介(岡部たかし)が働く牛乳屋に、三之丞が仕事を求めてやってきました。
最初は普通の求職かと思われましたが、話は思わぬ方向へ転がっていきます。
「実は、こちらで働かせてもらえませんか」
牛乳屋の社長が「何ができるのでしょうか」と尋ねると、三之丞は答えました。
「人を使うことができます。以前、父の織物工場で社長を代わりに務めていたことがあります」
社長は人手不足で雇えないこともないと考えましたが、三之丞の次の言葉に絶句します。
「私を社長にしてください」
配達や力仕事ではなく、「社長」という立場を求める三之丞。
当然ながら、そんな都合のいい話があるわけもありませんよ。
社長は最初は冗談かと思いましたが、三之丞は本気。
「あなたが社長になるなら、今の社長の私はどうなるのか」と問う牛乳屋の社長に
「それはおいおい考えましょう」と言う三之丞。
社長は当然ながら「お引き取りください」と!
しかし三之丞は引き下がりません。
社長に外へつまみ出されながらも、「待ってください!お願いします!私を社長にしてください!社長にしてください!」と叫び続けるのでした。
その一部始終を、司之介は目撃していました。
松野家での報告~心配する家族とトキの沈黙
帰宅した司之介が家族に三之丞の話をすると、松野家の面々は驚きとともに、タエと三之丞のことを心配しました。
安来の親戚に身を寄せていたはずの二人が、なぜ松江に戻ってきて、しかも三之丞がそんな仕事の探し方をしているのか。
みんな不思議に思います。
トキは、昼間にタエが物乞いをしている姿を見てしまったことを、この場で言い出せずにいました。
家族を心配させたくない気持ちと、あの衝撃的な光景を言葉にできない複雑な思いがあったんですね。
三之丞のその後~続く「社長に」の懇願
三之丞は別の店でも、同じように自分を社長にしてほしいと頼みます。
「私は雨清水家の人間です。社長になるにはふさわしい人間…」
しかし当然、どこに行っても相手にされません。
ある店では突き飛ばされた三之丞に、たまたま通りかかったヘブンが手を差し出しますが、三之丞は「けっこう」と断り、フラフラ去っていきます。
タエの元に帰った三之丞は、何か買ってきてほしいと頼まれ、もう一度松江の街へ。
そこで、シジミを売り歩いているトキとばったり再会しました…。
なおじの感想~武士の誇りと現実のギャップ
この回は、明治という時代の価値観の転換期に翻弄される人々の姿が、本当にリアルに描かれていましたね。
三之丞の「私を社長にしてください」という発言、最初は「えっ?」と思いましたが、よく考えると本当に切ないんです。
教師時代、歴史を教えながらよく生徒に話していました。
「武士というのは、支配する側の人間だったんだよ」と。江戸時代の武士は、商人や農民を管理する立場。
だから「人を使う」というのが、彼らのアイデンティティだったんですね。
三之丞は武士の家に生まれ、「人に使われるのは恥」という教育を受けてきました。
タエからも「武家の誇りを守りなさい」「社長のような仕事に就きなさい」と教えられてきたのでしょう。
それが、三之丞にとっての当たり前の価値観だったんです。
でも、明治の世はそんな甘くありません。
身分制度が崩壊し、誰もが下働きから始めて、努力して這い上がっていく時代になりました。
ところが、タエの教えがそれを許さない。
三之丞も、母の言いつけを守ろうと必死なんですね。
板垣李光人さんの演技が素晴らしくて、三之丞の純粋さと世間知らずさを見事に表現していました。
牛乳屋の社長に引きずり出されながらも「社長にしてください!」と叫ぶ姿、滑稽でもあり、哀れでもあり、時代の犠牲者の象徴でもありました。
トキちゃんが、タエ様の物乞い姿を家族に言えずにいる場面も胸が痛かったです。
言ってしまえば家族が心配するし、かといって黙っているのもつらい。
髙石あかりさんの繊細な表情が、そんな葛藤を物語っていました。
ここでちょっと歴史の話をさせてください。
明治維新後、旧武士階級の多くが職を失い、生活に困窮しました。
「士族の商法」という言葉があるくらい、商売に不慣れで失敗する士族が多かったんです。
プライドが邪魔をして、地道な仕事に就けない。三之丞の姿は、まさにその典型例ですね。
「誇りより 飯が大事と 気づく日は」
この川柳、前回も使いましたが(笑)、この回にもぴったりですね。
誇りだけでは生きていけない時代の到来。
それを受け入れられるかどうかが、明治を生き抜く鍵だったんです。
次回、トキと三之丞が再会するシーンから始まりますが、トキは三之丞に何を告げるのでしょうか。
タエ様の運命も気になるところです。
なおじは、続いて30話を視聴します!
主なキャスト
- 松野トキ:髙石あかり
- レフカダ・ヘブン:トミー・バストウ
- 錦織友一:吉沢亮
- 稲垣タエ:北川景子
- 稲垣三之丞:板垣李光人
- 松野司之介:岡部たかし
- 花田平太:生瀬勝久
- 江藤安宗(知事):佐野史郎
まとめ~ばけばけ第29話のネタバレ感想Q&A
Q1:第29話の一番の見どころは何ですか?
A:三之丞が牛乳屋で「私を社長にしてください」と懇願する場面です。武士の誇りと現実のギャップが、これほど残酷に表れたシーンはありませんでしたね。板垣李光人さんの演技も圧巻でした。
Q2:なぜ三之丞は「社長になりたい」と言ったのですか?
A:武士の家に生まれ、「人を使う立場」が当然と教えられてきたからです。タエからも「武家の誇りを守りなさい」と教育され、下働きは恥だと思い込んでいました。明治時代の価値観の転換についていけなかったんですね。
Q3:三之丞の仕事探しは本当にあった話ですか?
A:ドラマではフィクションですが、明治維新後の旧武士階級には、こうした「士族の商法」で失敗する人が多くいました。プライドが邪魔をして地道な仕事に就けず、生活に困窮する士族は少なくなかったんです。
Q4:トキがタエの物乞い姿を家族に言えない理由は?
A:言ってしまえば家族が心配するし、かといって黙っているのもつらい。あの衝撃的な光景を言葉にできない複雑な気持ちと、家族を心配させたくない優しさがあったからですね。
Q5:次回の展開はどうなりますか?
A:トキと三之丞が再会し、トキが三之丞にタエの物乞い姿を告げる展開が予想されます。三之丞はその事実をどう受け止めるのか、目が離せませんね。
*前回の記事はコチラ→第28話の記事
*次回の記事はコチラ→第30話の記事
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三之丞の「私を社長に」発言、衝撃的でしたね。
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