2025年10月20日放送のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」第16話。
見終わった後、しばらく画面を見つめたまま動けなかった。
銀二郎さん(寛一郎)が、あまりにもかわいそうで。
家族のために必死に働いているのに、報われるどころか「恥さらし」と罵られる。
視聴者からは「不憫すぎる」「もう逃げて!」という悲鳴に近い声が殺到。
明治という時代の理不尽さが、こんなにもリアルに胸に刺さるなんてね。

傳の死、そして工場閉鎖という絶望
雨清水傳(堤真一)が亡くなった。
あの温かな笑顔が、もう二度と見られない。
織物工場は閉鎖が決まり、トキ(髙石あかり)たち女工は全員解雇。
松野家の収入源が、完全に途絶えてしまった。
そこへ、まるで獲物を狙う鷹のように現れたのが借金取りの森山善太郎(岩谷健司)。
森山は容赦なく返済を迫る。
そして、ついにトキに向かってこう言い放った。
「遊女になる日がやってきそうじゃのう」
冗談ではない。本気の脅しだ。
それなのに松野家の面々は相変わらずお気楽で、「なんとかなる」ムード。
まるで台風接近中に「まだ大丈夫」と言い張る人たちみたい。
でも、銀二郎だけは違った。
一人、深刻な危機感を抱いた銀二郎は、愛するトキを守るため立ち上がる。
銀二郎の献身~朝から朝まで働き続けた男
銀二郎は、トキを守るため森山に仕事を紹介してもらう。
もともと荷運びと彩色の内職をしていた銀二郎。
それだけでは足りず、遊郭での客引きまで始めることに。
朝から朝まで働き続ける銀二郎。
昼夜問わず、休む間もない。
真面目で誠実な銀二郎は、自分を犠牲にして家族を支えようとした。
でもね、その献身的な姿勢が、皮肉にも理不尽な結末を招くことになるんだよ。
昼も夜も 働く婿を 恥と言い
勘右衛門との衝突~「格」か「飯」か
ある夜のこと。
銀二郎が遊郭で客引きをしているところを、勘右衛門(小日向文世)と司之介(岡部たかし)に見つかってしまった。
「家格が下がる」
勘右衛門は、そう言って銀二郎を責め立てる。
銀二郎は、ついに堪忍袋の緒が切れた。
「格を気にしとる暇はございません!」
まっとうな意見だよね。
生活が苦しい中、体を張って働いている。
その銀二郎の言葉には、魂の叫びが込められていた。
しかし、勘右衛門は冷たく言い放つ。
「お主が恥をさらして得た金など、松野家にはいらぬ」
このシーンには、本当に胸が痛んだ。
必死に家族のために働いている銀二郎に対して、武士の面子ばかりを気にする勘右衛門。
明治の武士たちは、「格」を食べて暮らしていたのだろうか。
茶碗に盛られた飯より、家格という見えない何かの方が大事だったのか。
あまりにも理不尽で、多くの視聴者が銀二郎に同情の声を寄せた。
家格より 茶碗の飯が 重かろう
銀二郎の提案~二人で生きよう
深夜に帰宅した銀二郎は、トキに切り出した。
「遠くの町で2人で暮らそう」
松野家での生活に限界を感じた銀二郎。
トキと二人だけで、新しい人生を始めたいと願ったのだ。
「私もあなたとずっと一緒にいたい」
トキはそう答えたが、即答はできなかった。
家族を捨てることができないトキの気持ち。
理不尽な扱いに耐えられない銀二郎の気持ち。
二人の間には、埋められない溝が生まれてしまった。
そして翌朝早く――。
銀二郎はトキに手紙を残して、出奔してしまった。
「私のせいだ…」
自分を責めるトキ。
愛する夫を失った悲しみと、家族への責任。
その間で揺れ動くトキの姿が、痛々しかった。
勘右衛門の決断~武士の魂を売った祖父
銀二郎がいなくなり、絶望の淵に立たされたトキ。
しかし、ここで勘右衛門が動いた。
勘右衛門は、武士の魂である鎧や刀を古道具屋に売った。
そのお金と銀二郎の居場所をトキに渡す。
「跡継ぎを連れ戻してまいれ」
孫を想う祖父の愛情が、ここに表れているよね。
普段は厳格で面子にこだわる勘右衛門。
でも、トキの幸せを誰よりも願っているんだ。
まるで質屋に持ち込む武士の終活みたいだけど、これが勘右衛門なりの愛情表現なんだろう。
こうして、トキは初めての東京へと旅立つ。
果たして銀二郎を連れ戻すことはできるのか?
鎧脱ぎ 祖父は人間 戻りけり
個人的な感想
銀二郎さんかわいそう。
なんて理不尽な。
明治時代ってこんなだったのかねー。
家格ばかりを気にして、実際に生活を支えてくれている人の努力を踏みにじる。
銀二郎のいい人が、つぶれてしまった。
でも、爺さんの理不尽さが際立ってしまったけど、この爺さんを嫌いになれない。
なんでかな、と思ったら、私の爺さんにどことなく似ているからかもしれない。
子供のころ、父親から聞かされた爺さんの逸話を思い出す。
酒好きの爺さんから、小学生の父が20キロ近くも離れた町にある酒屋に酒を買いに行かされた話。
その話が、妙に鮮明に頭によみがえってきた。
なんと理不尽なと思いもしたが、どうしても嫌いになれなかった私の祖父…。
人の心って不可解だ。
勘右衛門も同じなんだよね。
理不尽で頑固で、銀二郎を追い詰めてしまったけれど、最後には自分の大切な刀や鎧を売ってまで、トキの幸せを願っている。
時代の波に翻弄されながらも、自分なりのやり方で家族を守ろうとしている。
そんな不器用な愛情が、小日向文世さんの演技から伝わってくるんだ。
寛一郎さんが演じる銀二郎も素晴らしかった。
真面目で誠実で、でも理不尽な扱いに耐えきれずに出ていってしまう。
その苦悩が、表情の一つ一つから伝わってきたね。
明日からの展開が気になって仕方ないよ。
トキは銀二郎を連れ戻せるのか?
そして二人の運命はどうなるのか?
視聴者の反応~共感の嵐
SNS上では、銀二郎への同情の声が殺到。
- 「銀二郎さん、かわいそすぎる」
- 「あまりに不憫で涙が出る」
- 「もう逃げて!」
- 「これは離婚されても仕方ない」
といったコメントが相次いだ。
一方で、勘右衛門の不器用な愛情に注目する声も。
最後に刀を売ってまでトキを助けようとする姿に、「嫌いになれない」「憎めない」という感想も多く見られた。
堤真一さんが演じた傳の退場を惜しむ声も多く、「もっと見たかった」「早すぎる」といった声が寄せられた。
第16話の主なキャスト
役名 | 俳優名 |
---|---|
松野トキ | 髙石あかり |
山根銀二郎 | 寛一郎 |
松野司之介(トキの父) | 岡部たかし |
松野フミ(トキの母) | 池脇千鶴 |
松野勘右衛門(トキの祖父) | 小日向文世 |
森山善太郎(借金取り) | 岩谷健司 |
雨清水傳 | 堤真一 |
雨清水タエ | 北川景子 |
語り | 阿佐ヶ谷姉妹 |
次回予告~錦織友一との出会い
第17話では、トキが1週間と2日かけて東京・本郷の下宿「荻野屋」にたどり着く。
そこで出会うのが、松江随一の秀才・錦織友一(吉沢亮)。
銀二郎との再会はあるのか。
そして二人の運命はどうなるのか。
目が離せない展開が続く。
みなさんは第16話をご覧になって、どう感じましたか?
銀二郎の行動は正しかったと思いますか?
それとも家族と共にいるべきだったと思いますか?
ぜひコメント欄でご意見をお聞かせください!
次回の感想記事もお楽しみに!