こんにちは、なおじです。
ばけばけ100話、節目の回にふさわしい、じわっと来る話でした。
焼き網が消えたことから始まったドタバタが、「よい嘘」という言葉で締まる——。
この脚本、本当に好きです。
元教師として、こういう「嘘の使い方」を描いた話に弱いんですよねえ。

この記事でわかること
- 錦織丈がついた「よい嘘」の真相と懐中時計の意味
- 司之介の名言「わしらの家族じゃけん」が生んだ奇跡
- ヘブンが「日本人の心がある」と筆を走らせた理由
おクマに向けられた疑いの空気

焼き網紛失から始まった不穏な空気
焼き網が見当たらない松野家では、家のなかに微妙なギスギス感が漂っていました。
そんなとき、おクマが「新しい焼き網を買ってきました。大変お世話になりました」と言い、出て行こうとします。
自分がいるせいで家族がギスギスしている——そう感じて、身を引こうとしたんですね。
ところがそのとき、錦織丈が「少し前から私の懐中時計がない」と口にします。
しかも「こんなことは言いたくないが、また誰かに……」という含みのある言い方。
家族の緊張が一気に高まる場面でした。
懐中時計は兄・友一からもらった大切な品

実はこの懐中時計、ただの時計じゃないんです。
丈が松江を離れる際に、兄の錦織友一からもらった大切な品。
友一はまだ生きていますが、丈にとっては兄との絆が詰まった時計です。
だからこそ「なくなった」という嘘の重みが、あとで増してくる——そういう伏線でもあったんですよね。
そんな特別な時計が消えたとなれば、なおさら家族の緊張が高まるのも無理はありません。
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時系列が語るおクマの無実

おクマが買い物に出ていた事実
丈は、学校から帰ってきて書斎で勉強していたとき、机の上に時計はあった、と家族に説明します。
そしておクマは、ちょうどその時間帯に買い物に出ていたことも明らかになりました。
時計が見えなくなったのは、おクマが帰ってくる少し前あたり。
ということは——おクマは取っていない、という結論になるわけです。
社会科の授業で「歴史的な論証」を教えていたなおじとしては、こういう「事実の積み上げによる証明」を見るとなんとも気持ちよくなります。
容疑者から外れた3人の理由
先生(ヘブン)とオトキさんは、時計が消えた時間帯に散歩に出ていました。
この2人も自動的に容疑者から外れることになります。
つまり、消去法でもおクマは白——。
この論理の積み重ね方、脚本がきれいですよねえ。
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司之介の「わしらの家族じゃけん」

家族一人ひとりがおクマに言った言葉
丈は「犯人はおクマちゃんじゃないから、女中を辞める必要はない。誰も君だと思っていない」とはっきり言います。
続いておフミも「そげだあね」とうなずきました。
トキも「ヘブンもやめないで、クマいてください」と続けます。
みんながそれぞれの言葉でおクマに寄り添うシーン、よかったですよねえ。
司之介の一言がおクマの心の扉を開いた
そして決定打は、司之介の言葉でした。
「当たり前じゃ、女中じゃと言っても、わしらの家族じゃけん」
この一言でおクマの顔色が変わりましたよね。
司之介という人物は、ぶっきらぼうに見えて、ここぞというときに核心をついてくる。
あの言葉がおクマの心の扉を開いた——そんな瞬間でした。
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丈と正木の「よい嘘」の連鎖

丈の懐中時計は実は手元にあった
書斎で勉強している丈に、正木が「俺は取ってないぞ」と言いにきます。
丈は「知ってるよ」と答えながら、なんとポケットから懐中時計を取り出して見せました。
取られてなんかいない——。
丈はおクマをかばうために嘘をついていたんです。
元教師として思うのは、こういう「誰かを守るための嘘」の扱い方が、子どもへの道徳教育で一番難しいところだということ。
「正直に言いなさい」と教えながら、でも「よい嘘」もある。
35年の教員生活のなかで、子どもたちにこの問いを投げかけたことが何度あったか——丈はそれを実践してみせた。心優しい男ですよねえ。
正木も「よい嘘」作戦に参戦する
ただ、丈の嘘には副作用がありました。
司之介・フミ・正木がまだ疑われたままの状態になってしまったんです。
丈はそれを解決しようと頭を悩ませます。
そこへ、司之介とフミが互いを「泥棒の犯人だろう」とにらみ合う声が聞こえてきた。
それを聞いた正木が、今度は自分の財布が盗まれたと皆に言う——つまり正木も「よい嘘」作戦に参戦したわけです。
秀才・正木が、理屈より人情を選んだ瞬間でもあったと思います。
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家族会議で二つの嘘が解けた
全員が集まった家族会議で、丈が「懐中時計が変な所に落ちていた」と発表。
正木も「財布は自分のズボンのポケットにあった」と言い添えます。
誰も何も盗まれていなかった——。
司之介が「秀才の割におっちょこちょいだな」と正木をからかうと、家族全員が笑いました。
おクマも一緒に笑う。
この笑いが100話のピークだったと感じました。
ヘブンが走り書きした「日本人の心」

熊本に書くことがない、もウソだった
丈と正木の嘘に気づいたヘブンが、突然書斎へ走り出します。
「素晴らしい、面白い」と言いながら筆を走らせる。
「嘘は嫌いだが、正木の嘘、丈の嘘はよい嘘、日本人の心があります。熊本に書くことが何もない、というのもウソ。どこにでも日本人の心はあります」
このセリフ、100話の締めとして最高だと思いませんか。
何でもない日常に宿る日本人の心
ヘブンにとって熊本は「書くことがない街」だと感じていたはずが、松野家のドタバタの中にこそ、書くべきテーマがあったという逆転の発見。
何でもない日常の出来事から「日本人の心」を見出す感性——それがヘブン(小泉八雲)の本質なんですよね。
史実でも小泉八雲は熊本時代に多くの怪談の原石を集めていますが、その背景にはこういう日常の観察眼があったんだろうと感じます。
元教師として言えば、子どもに「ものの見方」を教えるときの理想が、ここに凝縮されていました。
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嘘一つ 家族の絆 縫い直す
100話の「しょうもない」締め方が好き

松野家の朝食がトーストに戻った
エピローグは松野家の朝食がまたトーストに戻っていた、という日常の復活。
ギスギスが消えて、いつもの食卓が戻ってきた。
松野家の日常が戻ってきた、その一コマだけで十分に伝わるものがありました。
焼き網は隙間に落ちていた
そして焼き網はどこへ行ったのか——なんと、隙間に落ちていたという種明かし。
すべての騒動の発端が「焼き網が隙間に落ちていた」という、なんともしょうもない真実。
でもなおじはこういう終わり方が大好きで、笑いながらちょっと涙が出てしまいました。
節目の100話で、涙を流せてよかった。
Q&A|ばけばけ100話について
Q1 懐中時計はどういう品?
丈が松江を離れる際に、兄・錦織友一からもらった大切な品です。
友一は丈にとって尊敬する兄であり、その絆が詰まった時計を「なくなった」と言うことで、嘘の重みと覚悟が伝わってきます。
錦織友一について詳しくは👉ばけばけ吉沢亮異例の予告|あさイチ出演で錦織ロス殺到をご覧ください。
Q2 ヘブンが「よい嘘」と言った理由
ヘブンは基本的に嘘が嫌いで、正直を貫くキャラクターです。
それでも丈と正木の嘘は「誰かを傷つけるための嘘ではなく、誰かを守るための嘘」だった。
そこに日本人特有の思いやりの形を感じ取り、それが作家としての筆を動かしたのだと思います。
Q3 おクマのモデルは誰?
おクマは、番組オリジナルのキャラクターとして複数の人物をもとに作られている可能性があります。
そのなかで有力なモデルの一人として、小泉八雲が熊本時代に雇い入れた女中「お梅」の存在が挙げられています。
ただし「お梅一人がモデル」と断定はできません。
史実との比較について詳しくは👉ばけばけ おクマの史実 8年仕えた女中お梅が名作を生んだをご覧ください。
👉関連記事:ばけばけは史実と何が違う?全話感想と人物モデル一覧
筆者紹介|なおじ
なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。
退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。
道徳の授業で「よい嘘と悪い嘘」をテーマに話し合いをしたことが何度もあります。誰かを守るための嘘をどう評価するか——正解のないこの問いを、ばけばけ100話があざやかに描いてくれました。
現在は8つのブログでドラマ・芸能・政治・歴史・スポーツ・旅・学び・書評を書いています。
なおじ感想追伸:
👉ばけばけ全話の史実まとめはこちら:ばけばけは史実と何が違う?全話感想と人物モデル一覧
100話で、なおじは司之介の「わしらの家族じゃけん」の一言にもじんわり来ました。
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