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深い学びにするために、型より質にこだわれ(『何を考えさせるのか』に焦点を当てよ)

sawa
目次

「主体的で対話的な学習」を、深い学びにするためには?

 文科省の使う用語としては、「主体的・対話的で深い学びの実現」として,小学校学習指導要領(平成29年告示)第1章第3の1(1)、中学校学習指導要領(平成29年告示)第1章第3の1(1)に

第1の3の⑴から⑶までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題
材など内容や時間のまとまりを見通しながら,児童の主体的・対話的で深い
学びの実現
に向けた授業改善を行うこと。
 特に,各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力,
判断力,表現力等や学びに向かう力,人間性等を発揮させたりして,学習の
対象となる物事を捉え思考する
ことにより,各教科等の特質に応じた物事を
捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくこ
とに留意し,児童が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら,
知識を相互に関連付けより深く理解したり,情報を精査して考えを形成
たり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したり
ることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること

小学校学習指導要領および中学校学習指導要領:総則より

 とあります。

深い学び実現のための問題点はどこにあるか

 では、多くの教員はこの記述から「主体的・対話的な学び」をどう捉えるでしょう。
 ある教員養成ゼミは、そのサイトで「主体的・対話的で深い学びの実現」について、次のように述べています。

 アクティブラーニングには、さまざまな手法があります。代表的なものとして、「Think-Pair-Share」「ジグソー法」「ラウンドロビン」「ピア・インストラクション」「KP法」があります。

 「Think-Pair-Share」では、ある課題について自分で考え、その考えをもとに他人と意見交換をします。そして、最後に全体で考えて意見をまとめるという手法です。

 「ジグソー法」では、グループ内で一つのテーマを分割し、それぞれが一つの内容について勉強します。その後、学んだ内容を持ち寄り、協力して一つの答えを導き出す手法です。

 「ラウンドロビン」では、グループに分かれ、あるテーマに関して各人が順に意見を述べていきます。

 「ピア・インストラクション」は、与えられた課題に対し、解答までに至るプロセスや根拠をグループ内で教え合う形式です。

 「KP法」は紙芝居プレゼンテーションの略で、黒板を使用せず、紙に授業の内容をまとめて説明する手法です。

ある教員人材センター:「アクティブラーニングの意味をわかりやすく解説!導入する目的は?」より

 これらの学習形態は、我々が教員になったころ、つまり昭和の終わりから平成の初期に、すでにありました。当時の若い社会科教師は、これらの学習形態の有効性について、日々検証授業を重ねてきたのです。
 そして、日々の授業で行うアクティブラーニングが陥りがちな危うさについても、すでに気付いています。

追究すべきは、「型」ではなく、「何を深く考えさせるのか」という点にある。

 多くの社会科教師が、「型」にこだわり過ぎてしまいました。
 もし、現役の先生方が、同じように「型」に問題意識がフォーカスされているのであれば、それは大きな問題です。そしてこの問題こそ、「深い学び」実現の鍵となるでしょう。
 「ジグソー法」や「ピア法」で授業を構成すれば、何を対話させても良い。明確に意識しないまでも、潜在的に多くの教師がそのように捉えてしまっていました。
 その結果、何が「基礎・基本」で、何が「応用」なのか、本時の授業で身に付けさせたい知識は何なのかが不明確になる、ということが多く起こってしまったのです。
 形は、「主体的・対話的な学習」になっていても、「中身が無い」のでは、「深い学び」にはなりません
 問題は「型」ではありません。「何の知識について対話的な学習を仕組むのか」という指導者の明確な目的意識なのです。
 「問題解決(的な)学習」から、言葉だけ「アクティブラーニング」とか、「主体的・対話的な学び」と変わっても、「深い学び」は、次の30年でも実現できないでしょう。警鐘を鳴らしておきます。

基本に返ることが大切

社会科は、内容教科です

 学力の基礎・基本として、これだけは学びましょうと、日本全国、どの地域のどの学校の、どのクラスも、同じ目標で同じ内容について学びましょうと、学習指導要領とその解説で決められているのです。
 学習指導要領およびその解説には、その単元でどのような「社会的事象のもつ意味」について学ぶかが示されています。教科書を読んでも良いのですが、小学校第3学年、第4学年のように地域素材が学習対象となる場合は、教科書以上に学習指導要領に返ることをおすすめします。学びの基本は、学習指導要領に示されています。何を学ばせれば良いのか確かめるときには「基本に返る」ことが一番です。
 例えば小学校第3学年で学ぶ身近な地域の学習では、

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
 ア 身近な地域や自分たちの市の様子を大まかに理解すること。
 イ 観察・調査したり地図などの資料で調べたりして,白地図などにまとめること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
 ア 都道府県内における市の位置,市の地形や土地利用,交通の広がり,市役所など  
  主な公共施設の場所と働き,古くから残る建造物の分布などに着目して,身近な地
  域や市の様子を捉え,場所による違いを考え,表現すること

小学校学習指導要領社会科解説

 教師は、「身近な地域の学習」が深い学びとなるための出口は、「地域は、場所によって土地の使われ方や、立っている建物に違いがあることを捉え」「それはなぜだろうか」という課題を設定する必要があります。
 この課題を「主体的・対話的に」学ぶことで、初めて「深い学び」が実現されます。
 例えば、

「道路の左側(内陸側)は、人が住んでいる家がいっぱいあるけど、右側(海側)は人が住んでいる家が一軒も無い。どうして」

 この課題について、子どもたちが自分たちの仮説を立てます。
 「道路の右側は海があるから、砂が飛ぶからじゃない?」
 「虫がいっぱい居るんじゃ無い?」
 「土地の値段が高くて買えないんじゃないの?」

 そして、それぞれが(またはグループが)、自分の(自分たちの)仮説の正しさを証明するために、二次調査をします。
 その結果、道路の右側は埋め立て地だったこと(社会的条件)
 土地の高さが低いので、津波などの被害に遭わないよう、人の家は建てない決まりがある(自然条件・社会条件)
 砂地で、建物を建てるには土地の改良が必要(砂地:自然条件)
 などを追究して、

 自分たちの町は、道路を挟んで右側と左側で違いがある。それはなぜかというと○○ということだ。

 など、「自分たちの住んでいる地域は、(自然的条件や社会的条件から)土地の使われ方に違いがある、に関わる概念を自分なりの言葉を使って表現すること」が出口です。
 決して、単元の出口となる概念を「教師がまとめて」「子どもたちに復唱させる」学びではありません。表現される言葉は子どもたち自身の思考を等して、思い思いの表現となるはずです。


 社会科という教科は、内容教科として、「このような内容を学びなさい」とあらかじめ学ぶ劇内容が決められています。この点を無視したら、「学力低下」が起こります。しかし、同時に数学などのように表現される解は、一律に同じ表現には鳴りません。個性を伴う表現となります。
 ここが肝心す。

結論として

 「主体的・対話的な学習」を、「深い学び」とするためには、教師が、「何を考えさせるのか」という目的意識をしっかり持つことがポイントとなります。それ無しで、学びの「型」にばかりとらわれると、「深い学び」の実現は難しくなります。

sawa

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