長篠の戦いは日本の戦国時代における重要な戦闘の一つであり、織田信長の戦術や武田勝頼の戦略が現在でも多くの議論を呼んでいます。本記事では「三段撃ち」と呼ばれる信長の鉄砲戦術の真偽、そして武田勝頼は、なぜ鉄砲で武装された織田軍に突っ込んだのかについて考察します。
Q1: 信長の鉄砲「三段撃ち」とは何か？
信長の「三段撃ち」とは、三千挺の鉄砲を千挺ずつ三列に並べ、鉄砲隊千挺ずつが交代で発射する戦術を指します。
この戦術により、武田の騎馬集団が馬防ぎの柵に到達する前に、信長は彼らを打破したとされています。
もし、これが史実なら三隊に分けた鉄砲部隊が次々に玉を発射し、弾幕の隙を減少させ敵に対して連続的な攻撃を行うことができたでしょう。
学校教育でも、信長が戦国の覇者になれた要因の一つは、この「鉄砲三段撃ち」戦術にある、と語られてきました。
Q2: 「三千挺」という数字は正しいのか？
『信長公記』の写本には「千挺」との記述があり、その横の方に「三」という数字が記されています。
『甫庵信長記』には「三千挺」との言及があります。
この二つの資料を見ただけでも、千挺なのか、三千挺なのか、真実を捉えることは難しいのです。
正確な数は現時点で不明であり、信長がどの程度の火力を持ったのかは多くの解釈が存在しています。
よって、現時点では「信長が使用した鉄砲の数に関しては定説はない。」と言うことになります。
Ｑ3：信長の三段撃ちは史実なのか？
信長は日本の戦国時代における戦術の革新者として知られ、その中でも「三段撃ち」という戦法は特に有名と言って良いでしょう。
しかし、実際にこの戦法が行われた証拠は明確ではありません。
『信長公記』では、信長が馬防ぎの柵を利用し、そこから鉄砲で敵を狙った旨が記されていますが、「三段撃ち」に関する具体的な記録は存在しません。
また、太田牛一の自筆本でも千挺の鉄砲に関する記述はありますが、それが三段構えであったことを裏付ける資料はありません。
信長が大量の鉄砲を使用して武田の騎馬集団に対抗した事実は間違いありません。
しかし、実際にどのような戦術が用いられたかについては、明確な合意が得られていません。結果として、「三段撃ちを行ったという資料はない」ため、「史実かどうかは、わからない」という結論に至ります。
ネット上には、「三段うちはウソ」という記述されたものも見られますが、これもまた少々違います。
史実かどうかは、現時点では資料不足で「分からない」が正解でしょう。
Q4: 武田勝頼はなぜ鉄砲が待ち受ける信長軍に突っ込んだのか？
武田勝頼が信長軍への突撃に踏み切った背景には、様々な要因があります。
まず、信長軍が別働隊によって長篠城を救援していたため、武田軍は背後からの攻撃を受ける危険性を抱いていました。
この状況では、後退することは難しく、勝頼は信長軍に対抗するためにしかたなく突進したとの見方があります。
勝頼は織田軍の鉄砲の存在を認識していたし、自分たちも鉄砲をわずかな数ですが所有していたので、その脅威も認識していました。
しかし状況上、突撃を選択せざるを得なかったわけです。
Q5: 結局、長篠の戦いの結末はどうなったのか？
長篠の戦いでは、信長の鉄砲戦術が勝利に繋がったと一般的に評価されています。
信長は、鉄砲の「三段うち」はあったか無かったか分かりませんが、武田の騎馬集団が柵に迫る前に打ち破ったと言われています。
この結果、信長は武田勝頼の騎馬軍団を撃破し、戦国時代におけるその名を不動のものとしました。
この勝利が、結果的に「三千挺三段撃ち」の伝説を生んだことは間違いありません。
結論
長篠の戦いで信長の「三段撃ち」が実際に行われたかどうかは、「わからない」と言うことが結論です。
実際の戦術や戦闘状況には多くの不確定要素が存在し、史実を特定するにはまだ資料不足の状態です。
また、武田勝頼がなぜ、「不利な突撃を決断したのか」についても、まだまだ多くの不確定要素があります。勝頼の決断について、一面からだけでは説明できない複雑さがあります。
今後もこの戦いについてさらなる研究が進むことを期待します。
個人的にですが、私は、信長の「鉄砲三段撃ち」が史実であってほしいと期待している一人です。
