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防衛の視座 「日本の防衛環境は世界で最も厳しい」という意識を、国民はもっているか

総合的な国力
目次

国防・民間先端技術開発には、産・官・民の一体化が必要

 政府は年末までに「国家安全保障戦略」と「防衛計画大綱」、「中期防衛整備計画」の3文書を改定する計画を示した。
 これに対し読売新聞が令和4年11月11日より「防衛の視座」と銘打って提言を試みている。東・南シナ海で一方的な現状変更の試みを続け、また北朝鮮は異例の頻度でミサイルを発射し続けている。さらにウクライナではロシアの身勝手な理屈によって領土侵犯が行われている。
 大切なのは、これらの出来事がすべて日本の隣国に関わっているという事実だ。日本人はこれらの出来事が自分とは関わらないどこか遠くの世界で起こっていることと捉えるのではなく、「自分事」として捉えなければならない。世は新たな危機の時代に突入した。

 「日本の防衛環境は世界で最も厳しい」河野克俊・前自衛隊統合幕僚長はこう指摘する。
 防衛力強化は日本の平和と安定を守るために避けて通れない。防衛力の基盤となるのは「総合的な国力」で、経済力や科学技術力を含めて底上げする視点が不可欠だ。政府が一体となり、経済界、学術界とも連携し、総力を挙げなければならない。

読売新聞令和4年11月11日

 河野克俊・前自衛隊統合幕僚長が指摘するように、「日本の防衛環境は世界で最も厳しい」という認識を持つことが大切だ。しかし本当に国民がこの意識を持っているかどうか不安になる。
 偏向性の高いメディアにより、なんとかこのことから目を逸らそうとしているように感じられてならない。「 某大臣を罷免するとか」「特定宗教にのみ目を向けるような報道するとか」。
 本当に必要な議論に国民の目が向かないように、意図的に放送内容を決定しているように思えてならない。また、多くの国民がその意図に見事に乗り「日本に必要な論点」から目を背けられてしまっている。

 日本の「総合的な国力」を上げるためには、経済界学術界とも同じ方向を向いて努力する必要がある。にもかかわらず、M製作所などは中国に大きな生産拠点を持つとか、日本学術会議では兵器に係る研究は一切しないとか。「常識が通じない日本の周りの諸国」に、合わせるような動きを見せる経済界や学術界。
 これで本当に日本の「総合的な国力」を底上げすることは可能なのだろうか。

 現在、人工知能(AI)や量子技術などの先端研究分野では、民生と軍事の境などない。米国、中国はもちろん、多くの先進国では、「先端技術の優位性が国力を決する」と考えている。
 当然、日本も産官学一体となり取り組まなければ他国に遅れを取る。また、この分野(防衛に関する先端研究)への投資は、経済成長の牽引役となり得る。
 当たり前のことだ。

 例えば、民間ではリスクが高すぎて参入できなかったGPS技術などは、米国の国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)の革新的技術によって誕生した。今では軍事技術のみならず日常生活になくてはならない技術となっている。このように、国防に活用できる民間先端技術の発掘産・官・民が一体となって取り組まなければ「総合的な国力」をアップすることなどできない。

防衛に反対する「日本学術会議」の見直しを

 日本では防衛関連の先端研究は官学の連携からは程遠いと言われている。それは科学者の代表機関である「日本学術会議」が防衛への関与に反対してきたからだ。

 なぜ反対なのか。

戦時下で科学者が戦争に加担させられたとの「教訓」が残っているから。

だという。

 岸田首相は「学術界には研究を防衛と絡めてはいけないという風潮がある」と言った。
 さらに、小林鷹之・前科学技術相は、学術会議の梶田隆章会長に官民一体で国力を高める必要性を訴え

「日本の科学技術力はどんどん低下している。流れを反転させ、学術界の存在感を高めるべきだ」

 と述べた。

日本の科学技術関連予算の現状と急がれる健全な科学技術関係予算の審議の在り方

 日本の科学技術関連予算は年4兆円超で、約5割は文部科学省が握っている。

 予算配分は、政府主催の総合科学技術・イノベーション会議が道筋をつける。しかし、そこに防衛省は入っていない。

「日本学術会議」の主張に縛られて、防衛に関する討議ができないような会議ではいけない。少なくとも防衛省や国家安全保障局など省庁横断的に会議の在り方を刷新し、「国の防衛」にも視点を当てて科学技術関係予算を討議する仕組みを整えるのが急務だろう。

対サイバー司令塔の設置急務

読売新聞より

 日本のサイバーセキュウリティーのレベルは、米国の同盟国中で最下位だそうだ。これについては米国のデニス・ブレヤ元国家情報長官が今年4月、自民党本部で講演し、日本の体制の貧弱さに警鐘を鳴らしている。

日本がもしサイバー攻撃を受けた場合、電力や鉄道などの重要インフラ(社会基盤)は機能不全に陥る危険性があるが、日本では省庁や企業ごとの個別の努力頼みの側面が強い。

と述べた。

 確かに、今年3月には、自衛隊としてサイバー防衛隊が発足した。しかし、隊員は540人。これで足りるはずがない。同様の部隊が中国では17万5千人、北朝鮮ですら6千8百人居るそうだ。いくら日本人が優秀だとしても、500対7千、500対18万では勝負になるわけがない。

 またウクライナ戦争では、ロシア軍がインフラ設備を攻撃している。ロシアのウクライナでの電気・ガス・石油施設への攻撃は物理的なものが多い用だが、近代戦ではインフラへのサイバー攻撃が予想される。日本有事でも起こるだろう。
 そのときの備えはどうなっているのか。

米国のインフラへのサイバー攻撃への対応

 米国では重要インフラへのサイバー攻撃に対し、国土安全保障庁がサイバー軍と連携して対処することになっている。敵国がサーバーなどに侵入し、攻撃の兆候を見せないか常に監視する。さらに発信元の特定を行う「積極的サイバー防御」を行っている。

 すでに、このようなシステムが構築され、機能している。対して日本はどうか。500人で一生懸命に取り組んでいるだろうが、結果は推し量れる。

 日本も積極的サイバー防御を行う方針を年末までに改定する国家安全保障戦略に明記し、行使に向けた法整備を進める必要がある。

読売新聞令和4年11月11日

 日本の現状はこの通りだ。

 まず、「年末までに改定する国家安全保障戦略に明記」する作業をする。
 さらに法整備をする。
 それからやっと実働か。

 これが日本の実態。中国だのみ、北朝鮮頼み。「頼みますから、日本の防御が整うまで暴挙に出ないでいただきたい。」とお願いするのか。

サイバー攻撃を見据えた司令塔機能の設置も急務

 現在、政府には「内閣サイバーセキュリティーセンター」がある。読売は、これを発展するなり、新たな司令塔に権力委譲するなりして、新組織を設置し、積極的サイバー防御を指揮する役割を担わせる必要性を訴えた。

 守りに徹すれば、攻撃されないという幻想的な「平和主義」では国を守れない厳しい現実を直視し、サイバー対策も大胆に見直すべき時が来ている。

読売新聞令和4年11月11日

 「幻想的な「平和主義」では国を守れない」、まさにその通りだ。

 日本人は、「厳しい現実を直視」することを避ける傾向がある。「汚いモノはみない」「汚い言葉は遣わない」という日本人固有の言霊思想が、ここでは悪い方に作用している気がする。
 まずは、「厳しい現実をしっかり直視する」ことが必要だ。そのためには、メディアの在り方が健全で有る必要がある。メディアすべてに求めているのではない。保守的な放送局があるなら、同数の革新的な放送局があっていいから、全体として真実が確認できるような体制が望まれる。

 現実を直視する「虎ノ門ニュース」のような番組が地上波で流れる日を夢見ていたが、その願いが叶う前に、肝心の「虎ノ門ニュース」の放送が終了することになってしまった。非常に悲しい。

 国を憂える有志で、財力をもっただれかが、ネットでいいので虎ノ門ニュースのような番組作成を引き継いでくれないものだろうか。

読売新聞より

抑止のためには「反撃能力」が不可欠

 北朝鮮の相次ぐミサイル発射は、日本のミサイル防衛では対応できないと感じさせる。日本のミサイル防衛は、イージス艦が8隻。地対空ミサイルのPAC3が34基。この防衛システムは2003年度のもので、その当時のミサイルは単純放物軌道を描いて飛んでくるもの。現在の変速軌道で飛んでくるものを想定していない。

 北朝鮮は、今年すでに50発を越える弾道ミサイルを発射している。中国は中距離弾道ミサイルを1900発持っている。これらに対応するために、防衛能力の整備を急がなくてはならない。

 反撃能力1956年の政府の国会答弁保有できるとの見解が示されたが、政治的にタブー視されてきた。しかし、「矛は米国に委ね、日本は盾に徹する」という軽武装路線が許される時代は終わり、米国も日本の積極的な役割を求め、トマホークの売却に応じる方向で調整が進んでいる。

読売新聞令和4年11月12日

 反撃能力の保有については、66年前から「可」とされている。それにもかかわらず、「タブー」視され、公然と議論することが出来なくなっている。しかし、読売の言うとおり、もうそういう時期は過ぎた。現実をきちっと直視していかなければならない。

 専守防衛という言葉が国会で初めて登場したのは、55年7月の杉原荒太防衛長官の答弁。さらに中曽根康弘防衛庁長官による70年の防衛白書には、「自衛のため必要かつ相当のものでなければならない」と明記され、「反撃能力」をもつことは「可」であったはずだ。

 憲法上の限界として、長距離爆撃機や攻撃型空母、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を例示し、「他国に侵略的な脅威を与えるようなものは保有できない」としたが、制約は限定的だった。
 だが、保革のイデオロギー対決が強まった70年代を通じ、専守防衛非武装中立を主張した革新勢力によって政府を非難する口実に遣われた。

読売新聞令和4年11月12日

 「他国に侵略的な脅威を与えるようなものは保有できない」、を「専守防衛非武装中立」のことであると「政府を非難する口実」にしてしまった野党。
 「反撃能力」がいつのまにか、実際には使えない能力になってしまった。
 健全な批判ではなく、単なる揚げ足取り、「困らせてやれ」程度の低い意志による下卑た行動原理では、国の安全を守ることはできない。

 慶応大の細谷雄一教授(国際政治学)は「野党世論を懐柔するため、防衛力整備に次々縛りをかけ、気付いたらがんじがらめになってしまった。と指摘し、「国際法と憲法、政策上の制約を整理し、最も望ましい安保政策を検討すべきだ」と提起する。

読売新聞令和4年11月12日

 その通り。訳が分からない状態で、「自国を守ることは悪」と捉えるように誘導された議論を「国際法と憲法、政策上の制約を整理」して、普通の国が普通に行っている、自国を守るために「最も望ましい安保政策を検討すべき」だ。「専守防衛」に平時も有事もない。

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